6.経験値稼ぎ。
レベル上げ。
RPGをやった事がある人なら、一度はやった事のある作業。
しかし、このWorld Gameでのレベルの仕様。どうなんだろう。
まず、ステータスはスキルが、ないと見れないので何がどーなってんだがさっぱりわからん。
まぁ、俺達はそう文句を言いつつ淡々とレベル上げという作業を続けているのだが。
それを、今3日同じ作業をしている。
「飽きた」
「流石にな」
池戸も丘屋も疲れている。体は全然動くが、精神がやばい。レベル上げのをしようと決めた日はまだ良かった。
しかし、2日目、3日目になって流石に飽きてきた。しかも、ステータスが見られないのでモチベーションも上がらない。
ここで、俺達のやっているレベル上げを紹介しよう。
1.ブルーウルフ狩り。
新火島には、3つエリアがある。砂浜エリア、森エリア、平原エリアに分けられる。この中で平原から森のエリアにかけて生息するブルーウルフは、食料確保の観点においても重要な役割だ。因みに、賞味期限という概念は無く、アイテムボックスにさえ入れておけば腐敗する心配はない。
2.森の奥深くにいた動く大樹の討伐
これは、丘屋が見つけたモンスター。一体なら余裕で立ち回れるが、2.3体いるとかなりきつい。なんてったって、あのトレントは範囲魔法が得意だ。1体なら魔法の隙でかなりボコボコにできるが、2.3体だと意外と賢く、順番に魔法を撃ち、攻撃する隙がとても少ない。これは、1時間もやれば、ヘトヘトだ。
3.海辺に打ち上げられた不思議モンスター討伐
これは3日に1回くらいの割合でしか遭遇しない。なんだろう。頭と手は……熊で、背ビレは鮫のような感じ。尾は、イルカみたいな横ヒレだ。
正直言って気持ち悪い。しかし、これがなかなか美味い。ブルーウルフばかりで飽きていたので、ダメ元でたべたら旨味たっぷり、ワイルドな味だが、魚っぽさもあるような味わい。最初は来て欲しくない奴だと思っていたのだが、最近はもうこれを楽しみに待っている程だ。
そんな訳で、俺達のレベル上げは10日目を迎える。
そんな朝。
いつものように浜辺に打ち上げられた謎モンスターがいないか、チェックしに行くと、浜に木で作られた小舟と2人のプレイヤーがいた。
「「あ。」」
その2人は俺達がいた事に驚き、二度見した。
「あの?何の用で来たんですか?」
「こっ、こ、ここに住んでいる人で、ですか?」
「あったりまえよ。君達は?」
「と、隣の島から来ました。宜しくお願いします!」
と、隣だと?確か、一番近い島は八丈島だけど結構遠いはずだぞ?
「え?何日掛かったの?」
「そ、それが何故か一日で着きまして…」
「えぇ?」
「た、多分ですが、漕いでる時に称号?だったかをゲットしたのでその影響?かなと思います」
はぁ。凄えなスキルさん。の前に…
「そういえば、何用でこの島に?」
「そこは、ちょっとお恥ずかしい話なのですが、僕達、ギルドから追い出されて…」
「え?ギルドってあのギルド?」
「はい。まあささやかながらギルドを作ってたのですが、意見が真っ二つに割れて、大喧嘩して僕とスーチカはこの島に逃げたのです。」
「まあ、詳しくは俺の仲間と聞こう。歓迎しますんで」
「「ありがとうございます」」
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話を纏めると。
俺達のいる野宿施設に案内して寛いでいるパーシとスーチカさんは八丈島にリスポーン地点においていて、そこにはチームが4つほど点在していた。
最初は、仲良くやっていたのだが、あるチームに【ステータス閲覧】のスキルを持った人が現れたらしい。そうして、みんなレベル上げをするようになったのだが、狩場の取り合いが始まり、バトルも始まる程険悪ムードになったらしい。
そして、1つのチームが他のあるチームと狩場をかけてデュエルした事から始まり、完全に崩壊して、身の危険を感じた為、こうして逃げてきたようだ。近々こちらまで追手がくるらしい。
「というわけなんだが」
「全く、トリテンも良くこんな問題に突っ込むわねー」
「まあ、それが奴だしな」
馬鹿野郎。
「お前らは阿保か?」
「「「「は?」」」」
俺の問いに皆が?マークを浮かべる。
「完全にチャンスじゃねーか!!」
「ちょっと待って下さい!どこがどうなってチャンスなんですかっ!」
パーシが困惑の表情で言う。
「馬鹿野郎!こんな美味しいイベントあるかっ!」
「俺達は八丈島を征服するっ!」
「「「「は、はぁぁぁぁぁ!?」」」」
やっとバトルが始まります。