4.ダンジョンボス
「来なさい!ボッコボコにしてあげるわ!」
「舐めんなよ!」
その言葉を合図に二つの影が動く。
「ほらっ!」
相手がその獣のような爪で振りかざし、向かってくる。
流石に食らったらひとたまりも無さそうなので、避ける。
すると、相手はもう片方の腕つまり、荊の方を伸ばして来た。
ぐぁぁ!
荊が俺の足に絡まり、棘が俺の皮膚を傷つける。
それは想定外だったな…。
俺は荊を抜けて、一旦距離を取った。
このまま逃げ続けるだけではジリ貧なので、ブルーウルフ戦で沢山取った石を投げつけながら相手の攻撃を見極め、避ける。
バシッバシッ!
相手には、当たっているがいかんせん威力が足りないようだ。
石戦法が使えないとなると…。結構やばい。
周りに何かあるか?
くそっ!何でこんなにダンジョンなのに綺麗にしてあるんだよ!
こうなったら逃げるか……。
そう思って、少しずつ後ずさりしていると、何か入り口に気配を感じた。
「やっ…り、な…もなか………ゃん!」
「…み、そ……はお……た……ぶ…せる!」
「も…帰ろう!」
「何を言っている!道は続…てるのに…き返す奴があるか!」
「……ん?」
何か聞き覚えのある声。
「うわっ!行き止まりだよ!ほらっ!」
「いや、これは扉だな。開け!新世界へのゲートよ!」
「「「………。」」」
「「忉利!!」」
「池戸と丘屋!」
「良かった。助かった。すぐ前にいるダンジョンボスを倒すのを手伝ってくれ!」
「「ダンジョンボス?」」
「私がこの憂いのダンジョンの長、魔族ケーミカバルだ!」
「「え??」」
まあ、色々あって事態が分かってなさそうだが、まあいい。
「フフフ。獲物が増えて良かった。私の経験値となり、消え去るが良い!」
ふ。チームが集まった今、勝つ未来しか見えないな!
「俺たちの経験値となってくれ」
「強がりも今のうちさ!すぐに叩き潰す!」