1.ゲーム開始のその前に
「作戦会議だっっ!」
バンと机を叩いて始まったその会議は進展なく終わろうとしている。
「おーい、意見出せー」
無言のまま時が過ぎていく。
こんな筈ではなかった…。
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1時間前。
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「「作戦会議?」」
「ああそうだ。俺たちには不可欠だろう?」
「いやーもういいでしょ!」
俺達のチームは3人で活動している。本当は、前のゲームが3人チームだったので、この人数なのだが、World Gameでも3人でやろうと言ってくれた。
「ゲーム開始までは、いつまでも愚考すべきだと、思案するぞ!」
まあ、威張ってるのが、池戸 項差だ。見ての通り、絶賛無職病だ。
※説明しよう。無職病とは、ゲームや、アニメ、その他ソーシャルメディアのキャラの台詞を真似したり、そのキャラの生き様を真似したりする病気である。古くは、厨二、または、中二と呼ばれ、無職人が増えた今では2人に1人は発症したことがあると回答するほどに世界的に小問題で大規模な病気である。
「もう!愚考した案ばっか出すのは池戸じゃない!」
今、池戸に怒っているのは、丘屋 凛華。10年くらい長く一緒にゲームをしている。まあ、親友みたいな物だ。
「だいたい、四国の過疎化した村をリスポーン地点に選ぶって言ったのは池戸じゃないか。」
「トリテンの言うとおりだよ!あんなに強引に押し倒したのに、今更変えるって何?」
あ、トリテンとは俺の事です。
いっつも使ってるユーザーネームがトリテンだから、いつの間にか馴染んでしまったらしい。
本名は、佐吉 忉利と言います。よろしく。
「おいトリテン!誰に向かって喋ってんだ?」
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てな訳で。
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「で、他に意見があるのか、池戸?」
「フッ!よくぞ聞いてくれた!やはり我の生死の源たる所以があるのは暗き……
「そう言うのはいいから。」
「む?ならば霊山を所望する」
「「霊山?」」
「作用。日本三大霊山の恐山、比叡山、高野山が良いかと。」
「「いや、流石に……」」
「何だ?凛華?恐れているのか?」
「そ、そうじゃないけど」
「声が震えているぞぉ?どうした?」
「何でも無いわよ!」
「本当は怖くてチビりそうでは無いのか?」
「流石にそこまでじゃ無いわよ!」
「お?『そこまで』という事はやはり恐しいのか!そうか!」
「全然怖くないわよそんな物!」
「そうかー。やはり、苦手なものは誰しもあるのかー。凛華は恐しいのかー。………恐山だけに」
「「………。」」
「………え?」
それからだ。今まで続いていた会話が途絶え、意見も全く出なくなったのは。
「おーい!意見だせー」
俺が2分に1回くらいこう言っているのだが、全く進展しない。
「もうお開きでいいか?」
俺がしめようとしたその時。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいいいいいいいいい!!!!!」
「何だ?」 「うるさい池戸!」
「この3人で活動するのにピッタリなところが分かった」
「何処だ?」
「そこは……新火島だぁぁ!」
「新火島……だと?」
そこは、50年前の噴火でできた新しい島である。
八丈島の東に海底火山の噴火により、突如現れたその島は政府の管理下にあった。
「そうか!そのくらい何も無いし、知名度も低いから、俺ら3人の島にしちまえるのか!」
「作用!どうだ?この案!」
「「異議なし!!」
こうして、俺らのチームのリスポーン地点が決まった。
次回に少し説明します。