89 客
カグナ鳥とキノコの鍋は大変旨かった。
翡翠も気に入り、千花村からキノコを買い出してから三食カグナ鳥とキノコの鍋を食っているほどだ。
早速、万能ハウスを作ってキノコを増やし、買い取ったもので乾燥させて大丈夫なものは乾燥させ、向いてないものは水煮にして保管してある。
ちょくちょく千花村に通い、カグナ鳥もたくさん狩っているので貯まる一方だ。あと、赤目の子も買い取っている。
赤目の子は、一メートルくらいのときは肉が柔らかく、唐揚げにしたらべらぼうに旨く、ハルマなんかは毎日毎食食っているくらい。
もうカグナ鳥より赤目の子を狩るのに夢中で、アンカーガンを半日でマスターするほど。もう毎日のようにいきたいとねだるので、優月と同じ輸送機ーー天烏を与えてしまったほどだ。
ミルテには与え過ぎだと怒られたが、千花村の子と仲良くなり、一緒に赤目の子を狩っているそうだから多目に見てください、だ。
手間はかかるが、赤目の子ならカエルでも餌にすれば釣ることはできる。そう言う技や赤目の子の唐揚げで、配下になりそうな子を見つけて欲しいものだ。
それと、大元の赤目は皮を剥いで、ブーツやベルト、ジャケットにし、肉は天宝の肥料としました。一応、翡翠に出してみたが、硬くて大雑把な味で旨くないとのことだった。
おれも試しに一口食ってみたが、うん、二度と食わなくても後悔しない味と硬さだった。赤目は子のうちに食うべきものだな。うん。
天宝も栄養があれば生るものらしく、与えれは与えただけ旨くなるらしい。まあ、翡翠の談なので、天宝はたまに収穫にいくくらいでいいだろう。先日収穫した天宝は三十以上ある。
ただ、問題なのは不老長寿の効果があるってことだ。
長く生きたいってものには喉から手が出るほど欲しいものだろうが、今の状態で長生きすると考えたら子どもには食わせられんし、貧乏人に食わしても苦痛が続くだけ。売るにも相手を選ぶ必要があるのだ。
生きるには力と金がいる。そんな必要条項を満たしたヤツなんていそうでそうはいない。
この国を治める天帝も先の戦で力は衰え、今を維持するのが精一杯。国を傾けるような金は出せないだろうよ。
大陸に売るとしても伝はなく、下手に目をつけられるのも困る。大陸の商人のえげつなさは、この国の商人の比じゃないんだからな。
今のところ、天宝を食うのはおれとミルテだけ。不老長寿に興味はないが、翡翠がまっしぐらするだけあって大変美味しく、デザートとして最高なのである。
それと、天宝には肌や髪を活性化させる効果もあるのが、ミルテが日に日に綺麗になっていっている。
おれ? おれはレベルアップする能力が原因か、昔から肌や髪はよかったので効果はないに等しいです。万能変身能力で身体管理してるので体調も万全。三十六歳の体とは思えないくらい快調です。
今日も元気でご飯が旨いと、万能変身能力を使わず、素の体で斧を振るい、開墾に励む毎日を送っていると、村にいっているはずのハハルが現れた。
「どうした?」
優月が飛んできた反応はなかったから、歩いてきたようだ。
「おじちゃんに会いたいって人が村にきたの」
「おれに? 三賀町の商人か?」
そう仕向けた行動をしたが、まだ二十日くらいしか経っていない。くるとしたら三十日くらい過ぎてからと思ってたんだがな。
「その人らもだけど、大陸の商人もいたよ。タルにいちゃんの話だと、なんか行商隊みたいに荷馬車いっぱいできたみたい」
行商隊みたいに、だと?
国に寄る行商隊が主だが、商人に寄る行商隊も少なからず、いや、それなりに多いか。戦争の後は特に……。
「代表とはあったのか?」
「ううん。タルヤにいちゃんが伝えにきたの。おじちゃんを連れてこいって」
まあ、そんな団体できたら田舎の村長はビビって、慌てて走り番を走らせるか。その姿が容易に想像できるわ。
「わかった。いくと先に伝えてくれ。さっぱりさせてからいくからよ」
レベルアップするとは言え、人を三人纏めたような木を切るのは一苦労。汗もかけば汚れもする。汗臭いままいくのは失礼だろう。
「わかった。あ、タナ爺がまた酒を分けてくれってさ。魔力はもらったから」
びっくりしたことにタナ爺の魔力は90もあり、それを知ってからは門番を止め、魔力を売って暮らしているのだ。しかも、おれに雇われる形で村の外、いずれ街道へと続く場所を切り開いてもらってるのだ。
「じゃあ、村にいくついでに渡しておくよ」
飯を食わし、天宝を食わせたら元気になることなること。全盛期ばりに働いているよ。
あれだけ働いてくれるなら清酒くらいタダでも惜しくはないのだが、ケジメと毎日を生きる活力になるなら売買がいいだろう。
まずは、さっぱりさするために風呂へと向かった。
ちなみに、数日前に我が家をさらに改築して立派な風呂を足しました。