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87 作業

もうストックなし。ギリギリで回してます。

 使い方や取り決めを話してたら二時を過ぎてしまった。これでは今日中に終わらなくなるぞ。


「ハルマ。カグナ鳥を狩る前に赤目を退治するが、ここにいるか? これと言っておもしろいもんでもないし」


 熱い展開はない。戦いと言うよりは作業になるだろう。


「父ちゃんの邪魔にならないならいきたい」


「そうか。なら、こい」


「え、いいの?」


 キョトンとするハルマ。


「構わんよ。赤目を狩るのは簡単だからな。あ、おれだから簡単なだけであって、普通なら傭兵十人による退治になるから勘違いして挑むなよ」


 今のハルマでは飲み込まれて終わりだからな。


「おれ、しようと思うほどバカじゃないよ」


「なんだ、お前くらいの年代なら一人で狩ってやるぐらい言うもんだぞ」


 恥ずかしながらおれは言いました。まあ、黒歴史なので誰にも言わないけどさ。


「……おれ、絶対に言わないと誓うよ……」


 なんで誓うんだよ? 子どもの強がりに揚げ足を取るようなことはせんし、やらせたりはしないぞ。


 まあ、いい。チャッチャとやりますか。


 神無月(かんなづき)を万能空間から出し、魔力を3000まで吸える吸魔弾を二十発作り出した。


「父ちゃん、赤目の居場所ってわかるの?」


「わかるぞ。赤目は魔物だから魔力反応があるからな」


 気配や熱は隠せても魔力だけは消せない。魔力が見えるおれには丸見えである。


 が、沼は広いので偵察ドローンさんに探してもらってます。


「結構、離れて活動してるようだな」


 大きな魔力反応は六つ。やはり四匹だけではなかったか。


「高いので総魔力が2000。小さいのは1500もないのか。しけてやがる」


 最近、魔力インフレを起こしてるから1500が少なく感じやがるぜ。


「近いところからやるか」


 距離にして二百メートルちょい。魔力は二番目に高いヤツか。


「よし、いくぞ」


「うん!」


 ハルマがついてこれる速さで駆け出した。


 赤目騒動で草を刈ることができなかったのだろう、伸び放題である。


 赤目は水にも入れる蛇だが、獲物は大体地上で捕まえる。これは小さな頃の名残と言われている。水の中には赤目を食べる蟹やら亀がいるからだ。


 ……赤目は十段階で評価したら、下から数えて二くらいだろうな……。


 もちろん、一匹での評価ね。四匹、いや、六匹いたら五くらいにはなるんで。


「ハルマ。そこで止まって見ていろ」


「うん!」


 止まる気配を感じ、背負っていた神無月(かんなづき)を構える。


 赤目は草木に隠れているつもりだろうが、おれの肉眼でしっかりと見えている。


 濃い緑色をした赤目だが、二十回以上も狩っていれば魔力反応を見なくても識別できるようにはなる。まあ、狩るには時間はかかるけどな。


 人を丸飲みできるようなサイズが、すべての体を隠すこと不可能であり、どこかは晒している。


 そこに吸魔弾を射ち込めばハイ終~了~。簡単なものである。


 尾のほうに周り、つかんで陰から引きずり出す。


「サイズの割に魔力が少ないな」


 やはり急激に大きくなっただけでは魔力は増えんようだ。残念。


「……と、父ちゃん、死んでるの……?」


「いや、魔力枯渇で衰弱しただけだ。半日もしたら動くかもな」


 蛇は生命力が高いから魔力枯渇では死にはしないだろう。


「これ、食うの?」


「さすがに人を食ったものを食うのは気が引けるから肥料にするよ」


 天宝(てんぽう)の栄養にすればいいだろう。翡翠(ひすい)の話では、栄養が満たされると生るらしいからな。


 とは言え、朝日(あさひ)に積んでては夜になってしまう。今日は網に入れて明日取りにくるか。


「さて。次はあっちか」


 魔力反応からして一番大きいのだな。距離はまた二百メートル先か。縄張りは半径二百メートルなのかな?


「よし。次はあっちだ」


「わかった!」


 さっといってさっと捕獲。すぐに網で包んで次へと駆ける。


 三、四、五、六匹と難なく捕獲。三十分もかからず無事終~了~。お疲れもしてませんでした。


 が、さすがに走りっぱなしのハルマはお疲れ模様。道なき道を二キロ以上走れば当然か。お疲れさん。


「おもしろくなかっただろう?」


「……ううん。スッゴくおもしろかったよ……」


 ゼーゼーと息をつきながらそんなことを口にした。どこにおもしろ要素があった?


「そうか。じゃあ、村に戻るそ」


 やきもきしていることだろうから、ヨシアさんを安心させてやろう。


 村長の屋敷に戻ると、なにか出たときと変わらない配置で立っていた。時間でも停止してたのか?


「タ、タカオサさん、どうでした!?」


「終わりましたよ」


 と言ったら首を傾げるヨシアさん。理解できないようだ。まあ、理解されたらされたで頭を心配するがな。


「赤目は全部で六匹。今は眠らせて網で包んであります。人馬組(じんばぐみ)を走らせて確認してください」


「ーーーー」


 なんとか我を返して現実に目を向け、気合いを入れるためか、自分で自分の頬をひっぱたいた。


「お、おい、今すぐ確認してくるんだ! 全員でいけ!」


 ヨシアさんの命令に人馬組(じんばぐみ)が動いた。しっかり手綱は握っているようだ。


「タカオサさん」


「まあ、信じられないのは仕方がありません。それは人馬組(じんばぐみ)からの報告か、自分の目で確かめてください。ただ、回収は明日にさせてもらいますよ。おれたちは、カグナ鳥を狩りにきたついでに赤目を退治したんですからね」


 なに言ってんだこいつ? 的な目を向けられるが、それは時間が解決してくれるだろうと、生暖かい目で返した。


「では、カグナ鳥を狩らしてもらいますね」


 チャッチャと狩って、暮れる前に帰りましょう。

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