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光の家族、膨大な魔力で世を救う!  作者: タカハシあん


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84 典型的

「……あんたと、その子どもでか……?」


 懐疑的な目でおれとハルマを見る。


「ああ。カグナ鳥なら二人で充分だからな」


 実際、手慣れた者にしたらカグナ鳥は標的でしかない。弓が得意なら新人の傭兵でも狩れるくらいだ。もっとも、海を渡ってきて疲労が溜まっているこの時期なら、ではだがな。


 肉にするなら一月後が最良だろうが、体力と警戒心がついたカグナ鳥は本職でも難しくなるのだ。


「……手ぶらのようだが、魔術士なのか?」


「魔術士ではないが、魔術は使えるよ」


 パチンと指を鳴らし、火の玉を生み出してみる。


「……あ、あいつ、不知火(しらぬい)だ……」


 と、人馬組(じんばぐみ)から声が上がった。へ~。おれを知っている者がいるとは驚きだ。千花村(せんけむら)にはきたことないんだがな。


「ゴズ、知っているのか?」


 村長代理のヨシアが、ゴズと名乗った者に問うた。


 見れば、ゴズと言う男は、人馬組(じんばぐみ)の中でも体格がよく、二十代から三十代が多い中で四十代だった。


 ……たぶん、元傭兵だな……。


 生まれ育ったところがあれば、引退すると大体帰るからな。まあ、いい扱いは受けないがよ。


「ヨシア様。不破の町を襲った百人近い山賊団をたった十名の傭兵団が倒した話は知ってるだろう?」


「あ、ああ。鬼人団(きじんだん)のことだろう」


 それはあだ名。正式には弐和団(にわだん)だ。弐和ハイトとが結成させたからな。


「その鬼人団で参謀役として、団を纏めていた男だ。だからって侮らないほうがいい。頭でっかちであの化け物集団で生きてはいけない。不知火と二つ名を持つ男も充分化け物だ」


 失敬な。あの連中から比べたらおれは人だよ。人の領域で頑張ってたよ。


「昔の話さ。今は人の親だよ」


 なんてニヒルに笑ってみせる。前世のおれが言ってみたかったこと、ベスト6らしい。


 ……前世のおれがバカすぎる。今生のおれを悶え殺す気か……。


「あんたに依頼したい」


「するなら現役の傭兵にしたほうがいい。それが確実だ」


 確かにおれのいた傭兵団は、ほとんどが化け物だったが、普通の傭兵団だって充分化け物である。火を吐いたり、岩を噛み砕くような化け物に挑もうするんだからな。


「もう依頼した。だが、傭兵団がきてくれないのだ」


 はん? きてくれない? 傭兵団は魔物退治で食っているようなもの。依頼を出せば一団や二団は手を上げるはずだぞ。


「ほとんどの傭兵団が行商隊の護衛に取られてるのだ」


 まあ、護衛もいい金になるが、護衛は信用が一番。どこでもいいわけじゃない。それに、魔物退治を専門としている傭兵団もいる。


「ーーあ、開拓か」


 開拓するにはまず、周辺の魔物を駆逐せねば安全に開拓することはできない。駆逐しても集まるから定期的に駆逐する必要があるから、ほぼ数年は専属みたいな形になる。


「いろいろ弊害が出てるものだ」


 戦争後、お上の力は著しく弱くなり、強権をふるうことはなくなったが、流通を抑えられた村に逆らう術はない。否応でも従うしかないのだ。


「金は払う。依頼を受けてくれ」


 今のおれなら引き受けたところで難なく狩れるだろう。だが、せっかくの機会だし、ハルマに傭兵のお仕事がどんなものか学ばすか。上手くいけば千花村(せんけむら)に恩も売れるしな。


「受ける受けないはまずは、事情と報酬次第だ。意地汚いと罵るなら、自分の命を喜んで差し出す傭兵団に頼むことだ。おれは、そう言われてまで受けたいと思うほど優しくはない」


 まあ、その程度の罵詈雑言に気にするようでは傭兵は勤まらないが、だからって聞きたいものじゃない。仕事は気持ちよくやりたいからな。

 

「わ、わかった」


 と、屋敷に案内され、なにか立派な畳の間に通された。


 花木村(はなきむら)の村長宅にこんなのがあるか知らんが、ここまでのものはなかなかないんじゃなかろうか? 結構羽振りのよい村なのか?


 すぐに女中らしい女が茶を運んでくる。


 一礼して茶に手を伸ばし、茶を飲む。ハルマに目を向けて同じく茶を飲ませる。拙いのはご愛敬でお許しを。


「さすがですな」


 とは、礼儀を知っていたことにだろう。交渉はおれがしてたからな。


「まあ、傭兵も商売ですからね」


 傭兵も強ければ許されるものではないし、強いから依頼がくるわけじゃない。営業しなくちゃならない場合もあるし、情報を集めないとならないときもある。この傭兵団に依頼を頼みたいと思わせる必要もある。待っていれば儲かる商売ではないのだ。


「そう言えるのは不知火様だからでしょうな」


 まあ、交渉事に強い傭兵団は、そうはない。一流どころは別だが。


「傭兵団もいろいろですから」


「そうですな。不知火様のように理性的だとよいのですが」


 いろいろと相手してきたのだろう。ご苦労様だ。


 

「それで、依頼とは?」


「赤目を退治してもらいたい」


 やはり、赤目か。沼地に現れる魔物は大体それだ。だが、それだけに対処法は昔からあり、守っていれば回避できるもの。それができない、または破れば、赤目はすぐにやってくる。そして、繁殖する。村の存亡に関わるくらいに、な。


「何匹、確認しました? 大きさは? そして、何人、年寄りを捨てましたか?」


 おれの言葉に息を飲む村長代理のヨシア。どこまでも典型的な事態だよ……。

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