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51 コロ舎

 なんかいろいろあったり、納得できないこともあったが、無事帰宅。濃い買い物だったぜ……。 


「ハハル。後部ハッチを開くからな」


 荷台の隙間に埋もれるハハルに声をかけた。


「う、うん」


 よかった。息はあるようだ。


 後部ハッチを開け、輸送機から出る。


「おじちゃんお帰り」


 と、ハルマやカナハたちが出迎えてくれた。いいよな、こう言うの。


「ただいま。なにもなかったか?」


 見た感じ、これと言った変化はないようだが。


「なにもないよ。あ、魚四匹も釣ったよ!」


 ほー。初めてで四匹も釣るとかやるじゃないか。そう言う才能があるのか? ってまあ、初日じゃわからんか。しばらくさせて才能があるなら次にいくか。


「そいつは凄いな。翡翠(ひすい)に食わせてやれ」


「うん!」


 元気でよろしい。


「さあ、荷物を下ろすんで手伝ってくれ」


 やることいっぱい、さっさと済ませてしまおうと、皆に指示を出した。


「あんちゃん、もう一杯だよ」


 最低限の買いをしたつもりだが、元々一人暮らしの家であり、そんなに収納力はない。六人分が入るわけがなかった。


「しょうがない。保存庫を作るか」


 ってことで、魔力1000を使い、コンテナサイズの保存庫を作ったのだが、味噌や醤油、酢、味醂、魚、野菜、塩や各種香辛料を一緒に纏めて入れたら、結構な魔力がかかることがわかった。


「いろんなものを一緒に入れたのが原因か?」


 まあ、そんな理由だろうが、今はしょうがないと諦めるか。専用のを作るにしても少量を保存するために魔力を費やすのも惜しい。


 それに、優月(ゆうげつ)より大きい輸送機も作りたい。元々、優月はハハル用に作ったものだし、移動用店舗でもあるからな。


「ミルテ。米はすべて保存庫ーー家のは一番保存庫と命名するか」


 今作ったのは二番保存庫でよろしく。


「米は一番保存庫に入れて、清酒にして粕はコロ猪の餌にする」


 使わないからと処分機能をつけてたが、餌にして有効利用しよう。あ、魚の骨も一緒に混ぜれば栄養あるかもな。


 そこは万能さん任せ。採取ドローンは毎日二十四時間稼働させているし、コロ猪を美味しくしてくれる餌を調合してくれるだろうよ。


 優月(ゆうげつ)から檻を下ろし、ピギーと鳴くコロ猪の様子を見る。


 コロ猪は繁殖力が高く、一月くらいで今の大きさになるのだが、環境に弱いと言われ、住処が変わると簡単に死ぬと言われている。


 まあ、住処さえ決まれば、その繁殖力を活かして一気に増えたりもする、便利なんだか不便なんだかわからない生き物なのだ。


「これと言って問題はなさそうだな」


 死んだら死んだで肉にすればいいと思ってたが、問題なく生きてるのなら殖やす方向でいこう。


 魔力5000を使ってコロ猪の……豚舎? 猪舎? まあ、コロ舎でいいか。そんな拘りないし。とまあ、生命維持機能のついたコロ舎を作った。


「……大きいね……」


 牛なら二十頭は入るだろうコロ舎を見て、ハルマが茫然とした感じで呟いた。


「明日もコロ猪を運んで来るし、殖やすからこのくらいは必要なんだよ」


「凄い。おじちゃん、こんな魔法も使えるんだ」


 豪胆なカナハは素直に感心している。いや、純情だからか?


「アホみたいに魔力を消費するがな。皆でコロ猪をコロ舎に入れてくれ。あと寝床用に藁も」


「あんちゃん、藁はもうないよ」


 あ、背負子一つ分しか持ってこなかったっけ。


「ちょっとどころか、相当考えなしだったな」


 餌と建物があればと、安易に考えていたが、世話や寝床、糞などの処理をまったく考えていなかった。それに、運動させる場所も必要だ。


 いずれは大量生産も考えてはいるが、今は卸し先がないし、保管するのも魔力がいる。今は地産地消を心がける時期だろう。


「そもそもとして、人手が足りんか」


 カナハ、ハルマ、ハハルには予定があるし、ミルテとハルミには家の仕事をしてもらいたい。あと、畑をしたいので、そっちも任せたい。


 お袋やおばちゃん連中を雇いたいところだが、村から通ってくれと言っても断れるだけ。住み込みも無理だろうな~。


 まあ、今はこの人数で回すしかないか。いろいろ足りてないことが多すぎるし。


「おじちゃん。(あし)ならいっぱい生えてるよ」


 と、ハルマ。ナイスな提言だ。


「よし。ハルマにこれをやる」


 万能素材で作った刃渡り三十センチのナイフ(鞘とベルトつきね)を渡した。


「今日からお前のだ。それで(あし)を集めてこい」


 ナイフとおれを交互に見返し、一分近くかけてその意味を理解した。


「任せて! いっぱい集めくる!」


 そう言うと、(あし)が生えてるとろへ駆けていった。まだ話は終わってないってのに……。


「ハルミとハハルも頼む。ちゃんと背負子を持ってな」


 あと、二人にも刃渡り二十センチのナイフを渡す。


「わかった。いっぱい集めてくるね! いこう、ハハルねーちゃん!」


 休みたいって顔をするハハルの手を取り、弟同様駆けていくハルミ。ガンバレ。


「ミハルは翡翠(ひすい)の飯を頼む」


 飯はまだかいな? ってな目でこちらを見る翡翠(ひすい)。言っとくが、お前に食わせるために持ってきたわけじゃないからな。


「わかった。夕飯も作るね」


「おう。頼むよ。カナハはおれと柵作りだ」


 一気に作れなくないが、カナハには万能素材でいろいろ作ることも任せたい。その練習として柵作りだ。


 カナハの肩に手を置き、マギスーツに魔力1000を追加する。


「魔力が追加されたのはわかるな?」


「う、うん。なんだかお風呂に浸かってる感じ……」


 まあ、魔力を纏っているようなもんだしな。そんな感覚になるんだろう。


「おれが補助するから慌てるな。まず、おれの魔力をカナハに通して柵を作るから、魔力の流れ感じ、作られていく柵をよく見るんだ」


「わ、わかった」


「じゃあ、やるぞ」


 まずは腕くらの太さをした一メートルの杭を作り、地面に突き刺す。


「わかったか?」


「……な、なんとなくは……」


「最初はそんなもんでいいさ。もう一本作るぞ」


 一メートル離れて杭を作り、地面に突き刺す。


「こう言う杭を作ると頭の中で思い浮かべることをイメージと言って、魔力を物質化するのを錬金。速く的確にイメージのもの作ることを錬成。変形、分解もあるが、今は作ることをイメージしろ」


 さらに三本杭を作り、あとはカナハにやらせる。


「長くなって短くなっても構わない。歪んでもいい。あとで調整できるから恐れず挑め」


 そう言って柵を作らせた。 

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