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231 オン商会

 工場と言ってもマーメイドスーツの元は腕輪なのでワンルームくらいあれば事足りる。


 一度に十二個創れる建物に変身。材料は魔力(魔石)なので五分もしないで完成させた。


「一応、移動できるよう朝日に脱着できるようにしておきました」


 ワンルームくらいなので朝日で運べるようにしておいた。別に銅羅町どうらまちでなくてもいいからな。


「それは助かります。あの、可能であればあと五つほど作ってもらえないでしょうか? 各湾岸基地から注文が多くて対処し切れないのです」


「人魚、そんなにいるので」


「正確な数はわかりませんが、人魚の国は八ヶ国あり、シーカイナーズだけでも三千人はいます」


 人魚の国、八ヶ国もあるのかよ! 海の中、生命に溢れてんな!


「……それだと五つでも足りないようですな……」


「正直に言えば、あと五十は欲しいかと」


 八ヶ国ともなれは最低でも一千万人はいるだろう。そうなれば五十でも足りないだろう。


「カイナーズホームで材料をいただきます」


「はっ! すぐに連絡致します」


 カイナーズの通信は全世界に通じるんだ。いや、人工衛星とか打ち上げてるんだからできて当然か。


 十分くらいしてカイナーズホームと連絡がついたようで、シュンパネでカイナーズホームへと飛んだ。


「いらっしゃいませ、タカオサ様」


 あの店長ではなく、軍服を着た青鬼やドワーフっぽいヤツらが迎えてくれた。


「話はヘイウットより聞きました。なんなりとお申し付けください」


「では、空母一隻をいただきたい。それと、生産する場所を望むならそこに作りますよ」


 銅羅町から運ぶのも面倒だろう。なら、カイナーズが望む地に作ったほうが後々楽だろう。おれが、な。


「では、魔大陸にお願いします」


「わかりました。シュンパネでいきますか?」


「少々お待ちください。連絡を入れますので」


 そりゃそうか。連絡もなしにいったら迷惑だよな。


「こちらでお待ちください」


 と、いつの間にか椅子とテーブルが用意されており、すぐにコーヒーを出してくれた。いや、手際がよすぎだろう。


 心の中で突っ込みながら椅子に座り、出されたコーヒーを飲みながら待っていると、東洋人顔の四十くらいの男たちが転移して来た。


「チャンター様、お久しぶりです」


 ドワーフっぽい一人の男が列から抜けて、チャンターと呼ばれた男の下へ向かった。


 名前からして大陸の者か。


「オン商会の会頭です」


 オン商会? 会頭? ってことはリュウケンさんの上司になるのか?


 すぐに席を立ち、オン商会の会頭のところへと向かった。


「初めまして。チャンター・オン殿。望月タカオサと申します。リュウケンさんにはお世話になっております」


「これはご挨拶遅れて申し訳ありません。リュウケンよりタカオサ殿の話は聞いております。よき商売をしてくださりありがとうございます」


 やはり大商会の会頭は違う。一瞬で頭を働かせ、謙虚に挨拶を返してきた。


「偶然とは言え、こうしてタカオサ殿と出会えてよかった。もう好き勝手に動ける身でなくなってしまいましてな」


「オン商会は辺境にも名が届く大商会。無理ないことです」


「ふふ。常識がある方で助かります。無理難題を言う非常識はあのバカ一人で充分ですからな」


 おそらく、ゼルフィング商会のべーってヤツのことを言っているのだろう。どんだけ非常識をばら蒔いている男なんだ?


「また時間を作ってタカオサ殿のところへ挨拶へ参らしていただきます。あなたとはよき商売をしたいですからな」


「天下のオン商会の会頭にお越しいただくのは申し訳ない。こちらから挨拶に参りますよ」


「いや、理由がないとカイナーズホームにも来れない身。そちらにいく理由を奪わないでくだされ」


 やはり大商会の会頭は違う。格が上だ。


「わかりました。いつでもお待ちしております」


「ありがとうございます。そのときはお世話になります」


 お互い一礼して別れた。


 チャンターさんを見送り、姿が消えてから席へと戻り、冷めたコーヒーをいっきに飲み干した。


 ハァ~。リュウケンさんやサイレイトさんでも荷が重いのに、あんな大物と対峙しなくちゃならないとか胃が痛いぜ。


 お代わりのコーヒーをもらい、残り僅かな頃、連絡にいっていた青鬼さんが戻って来た。


「遅くなり申し訳ございません。用意が整いましたので出発致します。よろしいでしょうか?」


「はい、問題ありません」


 残りのコーヒーを飲み干し、席を立った。


 転移場所に移動し、青鬼さんのシュンパネで魔大陸へと飛んだ。 

大人になったチャンターさん。

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