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225 夫の甲斐性

 これにてプリッシュからの依頼、終~了~。


 と言うことにはならなかった。


「フェヴィブの生産をお願いします! 最低でも二百機は欲しいので!」


 なんて軽くお願いしてくれる。フェヴィブ一機作るのにうん億もの魔力を使っている。金にしたら数十億円だ(いや、適当だけど)。ポンポン作ってらんないよ! 


 とは言えない。望むものを望むだけと約束してしまったのだからな……。


 カイナーズホームへと戻り、戦闘機やら戦艦、戦車などを片っ端から万能さんに取り込んでもらった。四日かけて、な……。


「つーか、どんだけあんだよ!」


 四日もかけたのに、戦艦や戦車がまだズラリと並んでいる。取り込むのだって四日かかったのに、出すのにどれだけの時間を費やしたんだよ! チートにもほどがあるだろう!


「あとはうちで作ってレガロさんに渡すので話を通しておいてくれ」


 さすがに家族の元に帰ってゆっくりしたいよ。


「わかりました。ありがとうございます!」


 スペースカイナーズのヤツらの敬礼に見送られ、シュンパネの発着場へと向かった。


「──あ、妻たちにお土産を買うのを忘れてたわ」


 万能さんがあれば大体のものは出せるが、それでは情緒(?)がないし、妻たちへの労いにもならない。と言うか、夫としての配慮が問われるわ。


「すまない。妻への土産を買いたい。戻ってくれるか?」


 案内役のコンシェルジュへとお願いする。


「はい。畏まりました。なにをお買いになりますか?」


 と問われて言葉に詰まった。おれ、妻たちの趣向、なんも知らんわ……。


「と、とりあえず、甘いものが売っているところに頼む」


 ミルテは甘いものが好きだし、女中たちと食えるものがいいだろう。装飾品とかまったくせんし、化粧品はミルテの肌に合うものを万能さんが作ってくれるからな。


「只今、饅頭博覧会をしています。お土産にするとよいかもしれませんよ」


 なんだよ、饅頭博覧会って? 誰に向けての商売戦略なんだよ?


「そ、そうか。買っていってみるか」


 まあ、おれも饅頭は嫌いじゃない。と言うか、黒糖饅頭と栗饅頭が食いたくなってきたわ。


「金はどうしたらいいんだっけ?」


 なんかそんな話をしたような記憶があるが、そのあとが衝撃的なことの連続で思い出せんわ。


「マーメイドスーツなどの代金から引くので気に入ったものはわたしに申しつけください。こちらで引いておきますので」


 あ、ああ。そうだったな。ってか、マーメイドスーツの値段、まだ設定してなかったよな?


「饅頭もいろいろあるんだな」


 異世界に転生してわかる饅頭の豊富さよ。


「とりあえず全種類、十箱ずつくれるか」


 何種類あるかわからんが、少なくても百種類はありそうな感じだ。


「畏まりました。緑茶などもいかがでしょうか? お茶もいろいろ取り揃えて降ります」


「そうだな。適当に見繕ってくれ。気に入ったのがあればまた買いに来るからよ」


 緑茶はあまり飲まんが、漬物を食うときは飲みたくなる。あ、なんだか漬物食いたくなった。


「ついでだから漬物も頼む。あるかい?」


 ないって言われるほうがびっくりだけどな。


「はい。たくさんありますのでよさそうなものを用意します」


 ミルテのお土産はそれでいいか。アイリはどうするかね?


 アイリはアイリで買い物したはずだし、アイリが買わなそうなのを選ぶか。


「口紅を売ってるところを頼む」


 アイリは化粧などしないが、戦い時には紅をしていることがある。この世界の紅は粗悪なものが多いから、いいのをプレゼントしてやろう。


 化粧品売り場に案内してもらうと、女が結構いて、なんか近寄り難かった。


「ゼルフィング家のメイドが化粧するようになってから増えてきました」


 と、コンシェルジュが教えてくれた。


「種族に関係なく女は美しくいたいか」


 まあ、結構なことじゃねーの。適当な感想だけどよ。


 ショーケースに並んだ口紅を見せてもらい、アイリの唇に合いそうなものを三本選び、各十本買った。


 次はハルナか。ハルナはなにがいいんだ?


「──本が欲しい!」


 と、ハルナからおねだりが入った。


「本? で、いいのか?」


 お土産としてはどうなんだ? とは思うが、ハルナが欲しいと言うなら買ってやるのが夫の甲斐性である。


「本は売ってるかい?」


「はい。木乃左衛門ととらがありますが、どちらにいたしますか?」


 木乃左衛門は本屋なのはわかるが、とらってなんだ?


「とら、とは?」


「漫画やライトノベル、同人誌を主に売っている本屋です」


「きっとエリナが関わっている本屋ね」


 エリナとは双子の姉、だっけか? 


「旦那様。とらでお願いします」


 とハルナの要望によりとらやらに向かった。


「……ここだけなんか世界が違うな……」


 ファンタジーとかSFとか超越した、よくわからない世界だ。


 アニメは観てたが、こう言う店にはいったことはなかった。元の世界はファンタジーよりファンタジーな世界だったんだな……。


「とりあえず、棚の端から端まで買って欲しい」


 大人買いか! とは突っ込んだものの、ねだられたら買ってしまうおれ。甘い夫だぜ……。


 とらを休業させ、家族がいるうちへと帰った。

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