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221 宇宙

 しばらく飛んでいると、朝日型宇宙機から呼出音が入った。


「こちらタカオサ。どうした?」


 通信を繋いで返事した。


「よかった。繋がりましたか」


 出たのはミラクモ少将(ドワーフっぽい男ね)だった。


「朝日型宇宙機の操縦法はわかりましたので、宇宙へお願いします」


「いきなりでいいのか? 慣熟訓練したほうがいいんじゃないか?」


 睡眠学習で操縦は覚えられても実践は違う。訓練をするのとしないとでは大違いだ。


「バルキリアアクティーで宇宙にいったことはありますので問題ありません」


 あの体型で乗れるものなのか?


「まあ、大丈夫と言うならわかった。一旦、実験飛行場に戻る。そちらは宇宙へいってくれ。そちらを目標にするから」


「了解です」


「フミ。戻るぞ」


「わかりました」


 朝日型宇宙機が上昇していくのを確認してあから実験飛行場へと戻った。


 垂直離着陸が可能だが、せっかく立派な滑走路があるので滑空着陸した。


 滑走路の駐機場へと移動させると、フミのフェヴィブが続き、青いバルキリアアクティーも降りて来た。


「上手いもんだ」


 おれは万能さんに上手くしてもらってるが、バルキリアアクティーは操縦を覚え乗りこなしてと、そいつの努力が必要だ。万能さんがいなかったらオレには一生乗れないだろうな。


 バルキリアアクティーが駐機場に入り、コクピットが開いて十五歳くらいの少年が現れた。


 カナハと同じくらいか? いや、西洋風の顔立ちだから下かもしれんな。


「あの歳で凄い腕だ」


「母親はもっと凄かったわよ。包丁一本で竜を捌いたり、バルキリアアクティーで004の群れを倒したりとメチャクチャだったわ」


「どんだけ化け物なんだよ?」


「母親になって落ち着いたんだけど、息子が受け継いだかのように暴れ回ってるわ」


「周りはいい迷惑だな」


 ルヴィーやらリューやらがいたら騒がしい毎日だろうよ。


「まあ、親が親だからね、子どものやることなんてまだ可愛いものよ」


 そう言えるだけのことをやってきたってことか。本当に周りは苦労したことだろうよ。


「プリッシュ! その人がタカオサさん?」


「そうよ。ちゃんと挨拶しなさい」


 まるで親のような眼差しをヴィアーに向けた。


「ヴィアードゥリッヒ・ゼルフィングです。初めまして!」


 元気な少年だ。


「おれは、望月タカオサだ。よろしくな」


 どちらも握手文化じゃないので、軽くお辞儀した。


「凄い飛行機ですね! バルキリアアクティーより滑らかなんて凄いです!」


「悪いわね。血がそうさせるのよ」


 母親もこうだったわけか。言われるほうは圧倒されっぱなしだな。


「乗りたいならもう一機出してやるよ」


 三機目ともなれば慣れたものだ。三十秒で作ることができた。


 ……万能さんの学習能力は凄いもんだ……。


「ヴィアー。おれの手を握れ」


「は、はい? わかりました」


 差し出されたヴィアーの手を握り、今着ているパイロットスーツを取り込み、フェヴィブ用へと改造させた。


「うわー! 凄い! 頭の中にフェヴィブの操縦法が流れてくるよ!」


「本当に化け物だな。カナハですら覚えるのに眠ったのに」


 どんな頭をしてるんだ? 凄まじいまでの情報量なのによ……。


「カナハがいてくれて助かったわ」


「ん? なぜだ?」


「同年代でヴィアーと張り合えるのがいないからよ。ルヴィーですら敵わないからね」


 ルヴィーは体を動かすのに長けた感じだしな。操縦は人の域だろうよ。


「タカオサ様。観測準備が調いましたのでお願いします」


 スペースカイナーズの者が報告に来た。


「わかった。プリッシュはどうする? Gキャンセラーが働くとは言え、慣れるまで結構な重量が体にのしかかるぞ」


 フェヴィブに学ばせて改良していく。最初の数秒は凄いGがかかるはずだ。


「大丈夫よ。べーの力があるから」


 よくわからんが、プリッシュが大丈夫と言うなら大丈夫なんだろう。ウソを言うタイプじゃないからな。


「マドリカ。前に乗って操縦してみろ。おれが補助するから」


 パイロットの基本になるのはマドリカだろうから、マドリカを基準としてフェヴィブを改良していけば他も乗りやすくなるだろう。


 ……化け物や天才を基準にすると、一般人には乗れないものができるからな……。


「わかりました」


 バルキリアアクティーに乗っているヤツはファンタジーから卒業したヤツばっかりだな。


 フェヴィブへと乗り込み、マドリカの判断で起動、チェックを任せる。


「発進用意OKです」


 OKって言うんだ。ほんと、自重しない転生者ばかりだよ。いや、おれが言える資格はないけどよ。


「マドリカにフェヴィブを譲渡する。マドリカ機として表示する」


「わかりました。朝日型宇宙機へ。マドリカ機、滑走路に移動します」


 時速四キロで滑走路へと移動し、発進位置についた。


「プリッシュ。気をつけろよ」


「アイアイサー!」


 統一ねーな! 


「──フェヴィブ、マドリカ機、発進します!」


 推進機が出力全開。座席へと体が埋もれた。 


 万能スーツによりおれはなんともないので、マドリカの意識がなくならないよう注意しながらマドリカ機の様子を確認する。


 なんの問題もなく、数分で宇宙へと到達した。


 まったく、前世の記憶が蘇ってから半年くらいで宇宙へ来るとか、来年には星系から飛び出してそうだぜ……。


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[一言] 発信用意OK?どっかに電波かなんか送信・送達するん?
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