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218 意味がわからん

 誰も答えを教えてくれないままに宇宙服? に着替えたプリッシュが戻って来た。


「背中の羽はどうしたんだ?」


 よくそれで飛んで来たな。羽はイミテーションだったのか?


「服の中に入ってるわ。飛んでるのはベーの力ね」


 どう言う力なんだ? 意味わからんわ。


「そ、そうか。なら、外にいくか」


 どこから出るんだ? と、コンシェルジュさんを見た。


「こちらです」


 フェヴィブを戻し、案内されたところに向かったら駅だった。駅!?


「カイナーズホームは広いからね、電車を走らせてるのよ」


 どんだけなんだよ、ここは? スケールが大きすぎんだろう。


 一両車輌の電車に乗り込み、しばらくすると地下? に降りた。


「地下も地下で謎の空間になっているな」


 なせか公園があったり池があったりと、どうして造ったかおれの頭では想像もつかないよ。 


「逆によく三年で出られたなと思うよ」


 まあ、店員に聞けば数ヶ月で出れると思うがな。


 電車は数キロほど進むと、中央ターミナルっぽいところにつき、乗り換えをしてさらに降下していく。


 トンネルへと入り、三十分くらいしてからトンネルを抜けた。


「…………」


 広がる世界に絶句してしまう。


「ここは、ヤオヨロズ国。多種族多民族が暮らす地下ダンジョン国よ」


 プリッシュの言葉が上手く入って来ない。なんなんだこれは!?


 しばらく見入っていたが、なんとか我を取り戻すことができた。


「……よく創ったものだ……」


「いろんな人たちが頑張ったからね」


 転生者が集まれば数十年でこんなアニメみたいな都市──国が創れるんだな。よく纏められているものだ。


「そうか。敬服するよ」


 何人もの転生者を纏めるだけでも大変だろうに、これだけの国を創る。おれには絶対に無理だ。


 電車はまたトンネルに入り、やや上昇している。


「どこに向かっているんだ?」


「空港よ。東や南の大陸と交流があるからね。そのうちタカオサのところにもいくかもね」


「距離的に難しくないか?」


 どのくらい離れてるかわからんが、少なくとも数千キロは離れているはず。そんな長距離を飛べる乗り物なんてあるのか?


「所々に中継港があるから問題ないわ。まあ、シュンパネがあるからちょくちょくは飛んでないけどね」


「ゼルフィング商会が有名になるはずだ」


 外界との繋がりが薄かった国でもゼルフィング商会の名は知られていた。よくよく考えなくてもそれは異常なことだ。自給自足が大半の世界で別の大陸まで手を伸ばす理由がわからんわ。


「ベーが動いたあとにゼルフィング商会が後始末しただけなんだけどね」


「迷惑な話だな」


「まったくよ!」


 まるで一番の被害者とばかりに憤慨するプリッシュ。いろいろあったようだ……。


 それから十分ほどして地上に出て、さらに四十分ほど走ったら空港に到着した。


 ヤオヨロズ国、下手したら二十三区くらいの広さがあるんじゃないか?


「周りの国はなにも言って来ないのか?」


「ベーが黙らせたわ」


 国を黙らせる個人とか意味わからんわ。


 空港には飛空船が何十隻と停泊しており、なんか元の世界のC−130まであった。


 ……世界観がメチャクチャだな……。


 駅に着き、外に出ると軍用車輌が停まっており、それに乗って二十分ほど走ると、無人の滑走路に到着した。


「シュンパネで来たら一瞬じゃなかったか?」


「ヤオヨロズでは決まった場所でしかシュンパネの使用が許されてないのよ。衝突事故が起こるからね」


 そ、そんなことがあるんだ。シュンパネ、使い方に気をつけよう。


「カイナーズの実験飛行場よ」


 なにを実験するかは訊かないでおこう。おれの常識が崩壊しそうだから。


「タカオサ様。準備が整うまで先ほどの乗り物を見せていただけませんか?」


 フミと名乗ったドワーフっぽい女がお願いして来た。


 準備? なんの? とは思ったが、まあ、試作宇宙機のお披露目みたいなもの。関係者を呼ぶのだろうと勝手に解釈して試作宇宙機を出現させた。


「もう一機出しておくよ」


 一度作ってしまえば手間はかからない。まあ、魔力は大量に消費はするけどな。


「操縦法は座席について睡眠学習で覚えるようにしてある。試しにやってみてくれ」


 他種族にも通じるかわからんからやってみてくれ。


「ねぇ、タカオサ。これに名前はあるの?」


「特に考えてはいないな。必要ならそちらで勝手に決めてくれ」


 今はそこまで頭が回らんよ。


「ん~。じゃあ、フェヴィブにするわ」


「なんか意味があるのか?」


「昔住んでいたところにいた竜の名前よ。友達だったの」


 竜が友達? 妖精の交遊関係はよくわからんな。


「そうか。なら、フェヴィブと呼ぶよ」


 特に異論もないしな。


「あれ、色は変えられる? なんか味気ないし」


「変えられるよ。どんな色にする?」


「白くして」


 と言うので灰色から白くする。


「うん。ステキ!」


 おれには味気なく見えるが、プリッシュが満足しているなら構わんよ。


「タカオサ様。こちらは青くしてください。あと、黒い線で──」


「座席に座ってできるようにするよ」


 おれに絵心はない。好きなようにやってくれ。


「ありがとうございます!」


 フミが小躍りしながらフェヴィブへと乗り込んだ。


 準備が整うまで、一服して待つことにした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 前回からの続きで考えたらヴァンドレッドディータを思い出してしまうカラーですね(笑)
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