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210 意味不明なことばかり

「おれは、望月タカオサ。名があるなら名乗れ」


 リビーダンの前に立ち、魔力を解き放つ。


 魔力には圧がある。


 何次元かは知らんが、魔力を持つ者なら魔力を感じられることはでき、魔力が10000を超えたら物理的にも感じられたりする。


 今のおれは、3000くらい出している。通常の人の域から出た容量だろう。


 翡翠とかも威嚇するときはこのくらいだ。まあ、あまり出しすぎると相手を発狂させたり失神させたりする。脅しに使うには気を使うのだ。


 リビーダンたちは一瞬にして硬直するが、そのうちの一人は気丈にもおれを睨み返して来た。


 おそらく、リーダー的立場の者だろう。


「半魚人や魚人、人魚は見た目通りじゃないからね」


 羽妖精がおれの威圧などないかのように横に来た。


 ……最強と言うのはウソじゃなさそうだな……。


「何歳か見分けるコツはあるのか?」


「目、かな? 瞳孔が濃いほど年配みたいだけど、見分けるには時間はかかるわね。わたしもなんとなくわかるくらいだし」


 他の者と見比べてこいつの瞳孔は確かに濃い。だからって何歳なんてわからんけどよ。


 まあ、年齢がわかったところでそれを汲んでやる必要はないのだから下と見ればいいさ。この世に平等なんてないんだからな。


「無理なものは下がっていろ」


 と言ったけど、誰も出ていく気配はない。


 こちらはスーツを纏っているから問題なかろうが、ゼルフィング側はなんで平気なんだ? このくらいは慣れていると言うことか?


「大丈夫よ。ルヴィーもリューも神経図太い血筋だから」


 おれは神経質な性格だから母親の血が濃いのだろう。うん。


 ならと、魔力を徐々に上げていき、5000で失神してしまった。


「凄い魔力だこと。ちょっとした人外クラスね」


 ちょっとした人外がそこら辺に溢れているような言い様だな。


「アイリ。他にいないか偵察を出してくれ」


「わかった」


「カイナーズにも応援してもらったらいいんじゃない。索敵のプロだからさ」


 プロとか出て来るとか、元の世界の言葉が当たり前のように使われている感じだな。


「アイリ。カイナーズに話を通してくれ」


 カイナーズとは条約的なものを交わし、こちらが配置した浮標から得た海流データを渡して、カイナーズからはGPS信号をもらっているのだ。


 ……難しいことは万能さんになんとかしてもらってます……。

 

「了解した。あ、そうだ。カイナーズから常駐員をこちらに置けないか相談されていたんだ。どうする?」


「アイリの判断で決めていいよ」


 丸投げと言わないでくれよ。すべてをおれ一人で判断してらんないんだよ。


「なら、こちらで決めておく」


「ああ、頼むよ」


「ふふ。ラブラブね」


 ラブラブって、誰だよ、ファンタジーな世界にそんな俗っぽいこと教えたヤツは? 


「愛しの妻だからな。それより、来てもらって助かったよ。なにか礼をしないとな」


 ってか、天下のゼルフィング商会になにを返したらいいんだ?


「それならマーメイドスーツを売ってくれないかしら? もちろん、それ相応の値段で買わしてもらうわよ」


「マーメイドスーツを?」


 あんなもの買ってどうしようってんだ? 海に強い種族なら雇ってるだろうに。


「人魚に着せるのよ」


「人魚に? 必要か?」


 人魚がどんな生き物かは知らないが、マーメイドスーツは人が海で使うもの。海で生きてるものに必要は感じないんだがな?


「人魚ってね、海で生きる人魚と淡水で生きる人魚がいるのよ。ゼルフィング商会はその二つの人魚を雇っていて、同じ場所に集めるのが一苦労なの。あれがあればどこでも集められるのよ」


 に、人魚、マジ意味不明……。


「売ってくれと言うなら売るのもやぶさかじゃないが、人に合わせたものだ。人魚がどう言う生き物かわからんことにはなんとも言えんな」


 人魚と想像して浮かぶのは人魚姫くらいだよ。


「そうね。なら、人魚を呼ぶわ」


「……簡単に呼べるんだ……」


 まあ、シュンパネがあるんだから可能だろうけどよ。


「うん。集めて来るから一時間ちょうだい」


「あ、ああ。わかった」


 と返事したら羽妖精が消えた。へ?


「ごめんなさい。プリ、どこでも転移できるから」


 はぁ? どこでも転移できる? 意味不明なんだが……。


「父さん。プリが帰って来るまでお茶にしよう」


 理解が追いつかなくて戸惑っていると、カナハがそう提案してくれ、そうだなと食堂に場を移した。


「好きなのを選んでくれ」


 食堂には売店を設置し、元の世界と同じもの──いや、成分的には体に優しく、最高級品を置いてある。


「ルヴィー、リュー、なに食べる?」


「うちの売店より品数がいいわね」


「ね、姉さん! うちにないハーゲンダ○ツがあるよ!」


「本当だ!? 凄い! 期間限定だって!」


 うちにない? そんなことがあるのか? カイナーズのトップは転生者だろう? これまでのことからして元の世界のものは出せる能力だと思うんだがな?


「スナックの袋もデザインが違うよ」


「そうね。うちで見たことがないものもたくさんあるわ」


 つまり、カイナーズのトップとおれの間には時間的差がある、ってことか?


 まったく、意味不明なことばかりだぜ。

タカオサたちとカイナには十数年の差があります。

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