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205 ライフライン

 数は力なり。


 とはよく言ったもので、千人以上ものカイナーズが凄い勢いで町の瓦礫を片付けていく。


「……重機とか反則だろう……」


 ここが異世界と忘れてしまうくらい重機やダンプが右や左に動いていた。


 ……カイナーズ、どんだけチートなんだよ……。


「おそらく、ネット通販系の能力だと思うよ。まあ、空母とか出せる能力って意味わからないけど」


 おれの──と言うか、万能スーツを通して片付けを見ているハルナが推測を語ってくれた。


「嫌なチートだ」


「ふふ。相手もそう思ってるんじゃない。タカオサ殿には万能変身能力とわたしの無限の魔力があるんだからね」


 そう、だな。カイナーズを率いているヤツがどんなのかわからないが、レガロさん辺りはおれらのチートは推測してるはずだ。


「失礼します! 工事予定地の整地が終わりましたのでご同行お願いします!」


 エンター……ではなく、ラフィーヌの甲板でカイナーズの伝令兵がやって来た。


「わかりました」


 光月こうづきでいけばすぐだが、整地はカイナーズ主導でやっている。縄張りは守るのがよい関係でいられるものだ。伝令兵のあとに続いた。


 ラフィーヌから降りると、ハンビィー、だっけ? が、停車しており、それに乗って整地したところへと向かった。


 なんだか乗り心地がよくないのな、ハンビィーって。これならまだ軽トラのほうが乗り心地がいいぞ。


 ドライブを楽しむ暇もなく整地した場所へと到着。ニッカポッカを穿いた赤鬼さんにドアを開けてもらい外へと出た。


 ……どんだけ元の世界の文化を取り込んでだよ? メチャクチャすぎんだろうが……。


 なんて思いはあるが、おれも同類なのだから非難はできぬ。と言うか、三つの能力を神から授かっている時点で好き勝手していいと言われてるのと同じだ。


「タカオサさん。ご足労ありがとうございます」


 サイレイトさんとリュウランさんがいて、あと、ニッカポッカ軍団がいた。


「いえ、これも商売。お気になさらず」


 工場を建てる代金として食糧の輸入をお願いした。


 万能変身能力と無限の魔力があれば充分賄えることは可能だが、食糧生産にだけ力を注ぐことはできん。これからを考えてスカイラプターの量産もしなくちゃならないし、家を纏めなくちゃもならん。割ける手間はどんどん割かなければならんのだ。


「それで、どこに建てますか?」


「区画されているところにお願いします」


 サイレイトさんに案内され、区画を見て回った。


 区画は、屋敷の近くに建てた工場を参考にしたようなもので、工場と工場の間は百メートル以上離れていた。


 これは、この時代で考えられる考えではないな。前世の記憶がある者の考えだ。


「区画してなんですが、これだけの土地を勝手に占拠しても大丈夫ですかね?」


 そんなもん知るかとばかりの区画であり占拠であるが、サイレイトさん──噂に聞くゼルフィング商会なら一方的な搾取はしないはずだし、地域還元するだろう。なんなら地元雇用も考えていても不思議ではない。サイレイトさんの顔がそう言っている。


「問題ありませんよ。あったとしてもこちらで対処しますから」


「ふふ。なんとも心強いことです」


「もちろんですよ。町に税を払っていただける優良商会。優遇するのは当然です」


 工事も町の範囲。税を払ってもらうのは当然だし、いてもらう努力はするべきさ。


「あはは。やはりタカオサさんは手強い。しっかりなさってる」


 手強いのはそっちだろう。確実にこの国に食い込んでいる上に拠点を築いた。もう離すことも不可能な状況である。


 だがまあ、毒を食らわば皿までだ。こちらに食い込んで来るならこちらも食い込むまで。ゼルフィング商会やカイナーズを利用するまでだ。


「これでも一家の長。家族を守るために養わなければいけませんからね」


 こちらは世界に飛び出す気はない。家族と家臣を守るために小さく鋭く纏まるほうへ向かうまでだ。


「羨ましいことです」 


「真似してくれても構いませんよ」


 そう言って第一区画とチョークで書かれた区画の中央へと向かった。

 

 万能変身能力で朝日を生産できる工場へと変身する。


 これを変身と呼んでいいのかわからないが、拡大解釈すれは変身である。まあ、細かいことは気にすんな、である。


 工場を脱いで? 外に出る。


「あちらの工場と同じにしましたが、変えて欲しいところがあるなら遠慮なく言ってください」


 工場勤めはしたこともなく工場見学したくらいの知識。足りないところはいくらでもあるだろうし、しばらく働いたならなにか要望は出て来るだろうよ。


「でしたら下水道や下水処理などお願いできますか? うちの者たちは贅沢に慣れすぎ簡易トイレでは納得してくれないのですよ」


 わかる。屋敷のトイレも水洗で洗浄装置をつけたら大好評。もうそれじゃないと困るとミルテが言ってたよ。


「わかりました。なら、先に下水処理場──いや、上下水道を造らなくちゃダメか」


 造るならそこからやらないとダメだか。


「あ、それはカイナーズがやりますので大丈夫ですよ。できれば工場で完結できるようにしてもらえると助かります」


 ライフラインまで造れる技術があんのかよ、カイナーズって!


「わ、わかりました。ではそのようにしますね……」


 もう銅羅どうら町はゼルフィング商会とカイナーズに任せたほうが発展しそうだぜ……。



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― 新着の感想 ―
[一言] こっちで読むのでカクヨムの方には星を献上して終わりです
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