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光の家族、膨大な魔力で世を救う!  作者: タカハシあん


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166 尊い誓い

 怒濤の一日が過ぎて序列を示す日がやって来た。


 とは言っても朝は普通で、ハハルがいない朝飯となり、終わるとなぜかハルナが用意した服を着ることになった。


「……いや、紋付き袴って……」


 姿見の鏡に写る自分に思わずそんなことを呟いてしまった。


「しかもファンタジーなテイストが混ざってないか?」


 前世で紋付き袴などテレビでしか観たことしないが、これは正式な紋付き袴じゃないとは確実に言えるぞ。


「ちょっとアレンジしてみました。テへ」


 テへ、じゃないよ。まったく……。


「お似合いですよ、旦那様」


「そう言ってもらえるのは嬉しいが、おれの御披露目じゃないんだから普段ので構わんだろうに」


 これがなんかの授賞式なら喜んで着るし、誇らしくも思うだろうが、序列を示すのに必要ないだろう。


「立派な姿を見せるのも当主の役目だよ」


「ハルナさんの言う通りですよ。みすぼらしい姿では侮られますからね」


 まあ、わからないではないから着ることは着るけどさぁ、軍服系のほうが威厳とかありそうでよくね?


 などと盛り上がっている女に言える根性はおれにはない。なので自分を納得させるほうに力を入れよう。うん。


 おれ、悪くないぞ。自信を持て!


「しかし、なんでお前らは大正風なんだ? おれが紋付き袴なら着物だろうに」


 どこのハイカラさんだよ。いや、似合ってるけどさ。


「ミルテどのとわたしの髪はロングだから着物は似合わないのよ。それにわたしらはタカオサどのより目立ってはいけないの。タカオサどのの左右に立ち、支えている図を見せるのよ」


 そう言うものか? 反論の言葉が出んから黙ってるがよ。


「父さん。用意できた?」


 と、別の部屋で着替えていたハルマがやって来た。


「ハルマは鎧武者風か」


 そう言えば、前世で鎧武者なアニメがあったな。ってか、なんで鎧武者風なのよ?


「ハルマどのには青が似合うのでこんなんしてみました」


 ドヤ! とばかりにハルナが胸を張った。


「……お前、完全に自分の趣味に走ってるよな……」


「ここで趣味を出さなければいつ出すのよ! 今でしょ!」


 そんな前世のネタを出されても知らねーよ。


「戦いにいくわけじゃないんだから軍服っぽいものでよかったんじゃないか?」


「そうもいかないわよ。ハルマどのは跡継ぎで左軍の大将。望月家(もちづきけ)の武を司っているのを見せなきゃいけないんだから」


 それも理解はできるが過剰すぎんだろう。ハルマ、まだ十歳だぞ。見せろとかなんの無茶振りだよ。でも、似合っているのは似合ってるよな。


「会った頃より男の顔になったな」


 ハルマと向き合い、緊張も不安も見せてない息子に感心してしまう。


「そりゃ、父さんの跡を継ぐんだもの、下なんか見てらんないよ」


 真っ直ぐとおれを見ながらそう言った。頼もしいことだ。


「……ミルテに感謝だな。よく育て上げてくれた。しかも、おれたちの意志を継いでくれた。生きて来た証を残してくれた。初めてそれを見たとき、涙が出るくらい嬉しかったものだ……」


 おれたちのやって来たことが無駄ではないと証明してくれたんだ、カナハがいなかったら泣いてたぞ。


「これから望月家(もちづきけ)が大きくなるにつれ、おれとハルマが血が繋がってないことを問題視するヤツが出て来るだろう。だが、なに一つ恥じるな。隠しもするな。笑ってこう言ってやれ。おれは望月ハルマ。タカオサの息子だってな」


 おれも何度でもお前を息子と呼ぶ。おれの自慢の息子だと。


「うん! おれは望月ハルマ。父さんの息子だ!」


 なんだか照れ臭くてモジモジしそうになるのを必至に堪え、息子に笑顔を見せ続ける。


「それでこそおれの息子だ」


 頭をわしゃわしゃとしてやる。


「もちろん、カナハもだ。兄貴と姉貴の間に生まれたが、五年前からおれたちの意志を継いで来た自慢の娘だ」


 振り返り、無表情で佇む娘に笑いかけてやる。


 子どもたちに平等の愛情を、とは難しいものだが、それでも二人はおれの子だ。できる限りの愛情を注ぎたい。


「お前たちには、血より尊い誓いを継いでくれた。それがおれは嬉しいんだ」


 昔、仲間たちと誓った。


 生きろ。生き抜け。こんなクソったれな世の中に負けるな。死ぬ間際、いい人生だったと笑って死ぬんだ、と。


「だが、まだだ。いや、始まったばかりだ。おれたち家族で幸せな未来を勝ち取るぞ」


 なにより言い出しっぺのおれが生きている。ならば、その誓いを果たすべく今日を生きてやるさ。


「よし。望月家(もちづきけ)の力を見せてやるぞ」


 ミルテ、ハルナ、ハルミ、カナハ、ハルマを見回すと、なんとも頼もしく頷いてくれた。


「いくぞ」


 おれが先頭に立ち、部屋を出た。

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