表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の家族、膨大な魔力で世を救う!  作者: タカハシあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/233

114 海竜退治開始

 準備が整ったので三賀町(さんがまち)へと出発する。


 ハハルは新しく作った青色の優月(ゆうげつ)で。カナハは紅緒(べにお)で。おれは満月に狛犬が描かれた輸送機ーー名を光月(こうづき)を操縦して向かった。


 上昇して工場に目を向ければ、輸送機が二機並んでおり、シミュレーションをしている情報が流れて来る。


 ……サイレントさんも操縦を覚えるんだ……。


 まあ、あの人は最前線に立ってないと死んじゃいそうなタイプだし、まじ自分が、なんだろう。責任者としてはどうかと思うけどよ。


 張り切るカナハに引っ張られ、あっという間に三賀町(さんがまち)上空に来てしまった。


「カナハは先行して海を眺めていろ。ただし、遠くにはいくなよ。まだ計器の見方を覚えてないんだからよ」


 覚えさせようとしたら一晩はかかる。まあ、こちらから誘導したり操縦を奪ったりできるが、面倒なので止めてくれ。


「わかった。町が見える距離までにする」


「あと、海竜を発見したからって攻撃したりするなよ。引き上げる道具はおれのほうに積んでるんだから」


「わかった」


 父さん、マジウザいとか言わないから助かる。今生を生きたおれでもその罵倒に勝てる気はないからよ……。


「ハハル。昨日の場所に降ろせな」


「わかった」


 ハハルは遠慮なく言いそうなので余計なことは言わない。間違えてから注意すればいい。


 ……って、そう言えば、何事もそつなくこなしてて失敗とかしてないな、ハハルって……。


 緩やかに降下していく優月(ゆうげつ)を眺めながら、ハハルの成長? 進化? に恐れながらおれも降下した。


 光月(こうづき)から出ると、ここを任せたヨシハさんーーではなき、ヨシハと部下が二人が待っていた。


「おはようございます、タカオサ様」


「おう。ご苦労さん」


 上下関係が骨の髄まで染み込んだヨシハや行商隊の連中は、命令口調のほうが働きやすいと言われ、しょうがなく上から口調にしているのだ。


 ……前世のおれも今生のおれも上に立ったことないから苦手なんだよな……。


 一家を立てたからには傲慢な口調も使いこなさなくちゃならんのだから慣れるしかないか。


「荷の運び込みは終了か?」


 国請け負いの荷は腐らないように保存庫に移し、おれに買い取って欲しい荷は万能倉庫に移すよう命令を出していたのだ。


「へい。終了させております」


「仕事が早くてなによりだ。では、今日から土地を均す仕事をやってくれ。重機やパワースーツの使い方は覚えたな?」


 全員にパワースーツを与え、重機の扱い方や計画をシミュレーションさせて覚えさせたのだ。一晩ゆっくりとな。


 ……いい歳になると頭が固くなり、覚えるのに時間がかかるのですよ……。


「まだ何人か覚えきれてない者がおりますが、すぐに働けると思います」


「頑張るのはいいが、無茶はするな。適度に休め。うちは、望月(もちづき)家は働く者を蔑ろにはしない。しっかりと働く者には飯も酒も出す。給金も払う。これを忘れるなよ」


「へい! わかりました!」


 ヨシハが力強く返事をする。うちに欲しい逸材だな。


「もし、今回のことで責任を取らされ、首になったりしたら望月(もちづき)家が面倒を見る。それも忘れるな」


「へい!」


 更に力強く返事をした。わかってくれてなによりだ。


「買い出し組は何人だ?」


「四人です」


「意外と少ないんだな」


 食い物を買い出しに出る者が行商隊には一人か二人はいるものだ。すべての食料を持って歩けないからな。


「長けてなければ後四人は追加できますが、あの四人なら充分かと」


 まあ、街道が通れない今、そう物が買えるとは思えない。四人で充分か。


「わかった。四人でいい。では、仕事を頼むぞ」


「へい! ロクロ、ハイベイ、シガル、ライド、しっかり働いて来いよ」


 名前を呼ばれた四人は、四十半ばくらいで、いかにも慣れた感じの顔つきをしていた。


 よろしくお願いしやす! と合唱する四人を連れて格納庫に向かう。ちなみに、ハハルはちゃんといますからね。


 格納庫は閉め切りにして、シャッターを下ろして帰った。


「ハハル。お前にもここの権限を渡しておく」


 そのデータをハハルの頭の中に送った。


「このピリッとした感じ、なんとかならないの? あたしの頭をもっと大切に扱ってよ」


「ピリッとだけで終わるハハルの頭は頑丈にできてるから安心しろ。並みのヤツなら頭痛と吐き気に襲われてるから」


 異常だからな、お前の頭って。


「……あたし、絶対、父さんと同じ血が流れてるよね……」


 そりゃそうだろう。同じ系譜なんだから。なに当たり前のことを言ってんだ?


「はぁ~。なんでもいいよ、もー」


 ため息をつき、シャッターを操作するハハル。なんなんだ、いったい?


 すべてのシャッターが開かれ、待機中になっているシミュレーターを停止させ、寝ていたパイロットたちを起こした。


「しゃきっとしろ、お前たち!」


 目覚めすっきり仕様にしたが、脳内の情報処理が追いついてないのかぼんやりとしていた。


「ロクロ。こいつらに飯を食わせて買い出しの説明を頼む。終わったら買い出しに出てくれ」


 たぶん、見た目とおれの近くにいることからして、買い出し組のリーダーはロクロだろう。違ってたらすまん。


「へい、お任せくだせい」


 その辺の計画は入れてある。問題があればそれぞれの才覚で対処してください。


「こいつはおれの娘で、名はハハル。望月(もちづき)家の商いを任せる。こいつも混ぜて話し合ってくれ。ハハル。金を渡してやってくれ。終わったらおれのところへ来い」


「わかった」


 お前もお前の才覚で乗り切ってくれ。つーか、任せる。いいようにやってくれ。


 後はハハルに任せ、おれはイズキへと乗り込み、港へと向かった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ