もしかしたら……修羅場?
ちょーっとだけ、書けましたので更新します。一人でも読者が居るなら俺は更新する。
「……ところでハジメ、お前に会いたがっている奴がいるんだが、今日は時間空いているのか?」
コラマさんにそう言われて、別に用事はなかったし、いや待て……別にこの人と出掛ける訳じゃないし、付いてくるだろう二人の存在も加味して……いやいや、そもそも相手は誰なんだ?
「時間は空いてますが、相手は一体誰なんですか?俺の会ったことのある人ですか?」
俺の返答と質問にジョッキを傾けてから、ポツリと一言、
「私のような背の高い均整の取れたグラマラスなヒト、と言ったら……どうする?」
「……一応会ってみます!」
間髪入れず即答した自分が、少しだけ嫌になった。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
とりあえず三時には青葉を出て、向こうにはこちらから連絡しておく、と言うコラマさんとは店で別れて歩き出す。勿論お荷物シスターズもご同行……お前達は金魚のフンか?
「だってぇ~説得も終わってないのにぃ~ハジメさんが心変わりしちゃったら……つきみの存在理由も揺らいじゃいます!」
「ルナはハジメ様がどなたと会おうと構いませんが、もし悪女だったりした時は……全身全霊を以て完全消去を目指します。」
つきみとルナは各々の気持ちを籠めて、まだ見ぬ相手(コラマさんの知り合いなら変なヒトじゃないだろう)への不安と敵意を顕にするけれども……何故に待ち合わせ場所が河川敷なんだろ?……番長みたいだな。
とにかくバスで近くまでやって来た俺と二人は、スマホのGPSで位置確認をしながら河原の方へ進もうとすると……一人の背の高いグラマラスな女性が俺の事を呼び止めた。……コラマさん!このヒトなんですかっ!?
「How do you do, Hajime. I'm working for Ellen MacGregor Sporting Goods and an engine about American security. Well, you and lucky Misa, oh, Mr. Luna's small wooden stand is aimed at an engine in a certain country. It's the truth which has no falsehood that I say. I'll recommend to go with us and secure safety of a body by all means. If possible, you seem to report it and accompany...,....(……あなたがハジメさん?私はエレン・マクレガー、米国の安全保障に関する機関に勤めている者です……あ~っ!面倒だわっ!アンタ狙われてるのよ!?後ろのギャル二人とワンセットでね!!さっさとコッチの空軍基地から渡米した方が身の為よ!!判った!?※※意訳です※※)」
「は、はい!?あー、えっと……ドゥユーライクテレビジョン?」
俺の渾身の英会話術に固まるつきみ以外の二人……ルナが小声でそのヒトに何か呟くと、彼女の表情が和らぎ【やれやれ……こんな会話も出来ないなんて、身体だけ立派で中身は赤ちゃんみたいなものよねぇ~】みたいなゼスチャーを見せたような気がするぞ……?
「……この女性は、私達二人を監視する組織から派遣された方、だそうです。」
「あ、あー、そうだよね?うんそうそう!……で、何が?」
俺がルナに詳細を正そうとした瞬間、もう一人長髪赤毛の女性が……何なんだ一体!?
「Мы обречены! Я не позволю нарушений! ... Я установил здесь предложить ваш рычать, вы, ребята! Я Саша Бог любви. И не придет с нами?(なんてこと!?抜け駆けは許さないわよ!……こっちが先にオファー取り付けたんだからあんたこそ引き下がりなさいよ!私はサーシャ・ゴドロフ。さ、我々と一緒に来てくださらない?)※※意訳です※※」
……なんかドンドン増えていくんだが?米国のヒトはフワフワとした金髪をなびかせて、紺色のスーツをビシッと着こなした【私は国家の威信を賭けてやって来ました!】みたいなタイプで、
……もう片方のロシアから来た女性は、長く赤い髪の毛を束ねて青い瞳が特徴。濃緑色のスーツを羽織って若干ラフなイメージで、【豊かな恵みを与えてくれる大地は慈母たる存在!】とでも言いたげなボリューミーなスタイル……。
「【……さぁ!私と一緒に参りましょう!!】……と、二人の地球人は言っています。」
「えええぇ……ちょ、ちょっと待ってくれませんか!?こう、なんと言うか唐突というか、いきなりと言うか……っ!?」
気がついたら二人は俺の目の前に立ち塞がり、俺に向かって手を差し伸べながらコッチに来いコッチに来い、と手と目で訴え始めていた……こ、これは新手のナンパ……んな訳ないだろう!!
「ルナッ!!何とか穏便にお二方に引き下がって頂けないか頼んでくれ!!」
俺がそう言うと、エレンとサーシャは双方とも【思った通りね……】といった様子で俺から離れると、エレンの方には大使館ナンバーのSUV、サーシャの方には大きなバンが走り寄り急停車し、中から各々の護衛らしい複数の男達が取り囲む……しかもみんな手に見たことのないような銃器を持って……って、こ、ここは日本だよな……?
「全く……まさか日本に派遣されるのに、日本語が話せない訳無いじゃない?飽きれちゃうわ……!」
エレンは流暢な日本語でそう言うと、鋭い視線をサーシャに向けて、
「Я не собираюсь получить его с вами, ребята в дружественной стране, которую мы? ... Однако если вы бы отнять не три человека, применения силы и Учиха и вы?【私達は友好国であなた達とやり合うつもりはないわよ?……ただ、もし仮に実力行使で三人を連れ去ろうとしたら、容赦はしないから。】」
そんなエレンの言葉に一瞬だけ眉を歪めたものの、すぐに表情を柔らかなものにしたサーシャも、
「Есть слишком много нажимаем удачу, вы хотите?! Здесь становит природой, то, что вы, ребята должны понять, что мы хотим.【そちらこそ、余り調子に乗らないで頂きたいわ?こちらがその気になれば、貴方達なんて何の障害にもならないということをきちんと理解して頂きたいわね……】」
と言いつつ、一歩も引かない構えを取っていた。……と、ここにきてずーっと沈黙を守ってきたつきみがプルプルと震えだし、やおら俺の前に立つと腰に手を当てて怒鳴りだした!!
「あ~っ!もう頭来た!!ウチの旦那様と私達を縄張り争いの杭みたいに扱って!!ルナ!私も~我慢の限界!!」
「……姉様、それは私も同様です。米国での一件以来、いつも何らかの監視を受けている感が有りましたが……不可侵なんて建前に過ぎなかったようです。誠に遺憾です……つまり、頭来ました。」
おいおい、この二人は何を怒ってるんだ?ロシアもアメリカも、引き下がるって言ってるじゃん……俺は二人を止めようと一歩踏み出そうとしたが……あれ?何かにぶつかって進めないぞ?
「ハジメ様、どうやら既に向こうのどちらかは先手を打ったみたいですね……まさか、光学迷彩を実用化してたなんて……まぁ、私には通用しませんが?」
ジジジ……ッ、と油が弾けるような音がして、突然俺の前に銀色のボディーアーマーを着た兵士が現れて、俺に向かって伸ばしていた手を脇からつきみが掴み、
「……ッ!?」
「へっへ~ん♪捕ま~えたッ!!ルナちんやるぅ♪」
余裕の笑顔でその風変わりな兵士に密着するつきみ、そして各々が驚愕の表情で凍り付く中、然も当然と言わん風のルナ。
「いくら光学迷彩を使っても、大気の移動量や熱量の可視化を分析すれば、即座に捕捉可能です。……ステルス迷彩まで導入していたら、難易度は上がりますが。後は姉様の視界にこちらの分析画像を同期させれば終了です。」
「……私の旦那様に手を出すなんて……タダで済むと思わないで下さいませ!」
そう啖呵を切ったつきみだけど、相手は自分よりも大きくて強そうな……強そうな……?
「つきみはっ!今、とーっても怒っていますっ!!」
素早く相手の背中に取り付くと、背後に振り向こうとした相手の肩に手を掛けて、その勢いをそのまま利用して身体を浮かせ、トンッ、と軽やかに頭の上で逆立ち倒立し、
「……つまり!手加減出来ませんッ!!」
頭の両側に手を掛けたまま鉄棒の逆上がりみたいに膝を揃えて、後頭部に強烈な膝蹴り……え?で、でも……頭の周囲から火花を散らしながらその頭が宙に舞い……ガシャン!と地面へと……って、ええええええぇ~っ!?
「ん?何だか変な手応えだわ……あ、もしかしてパワードスーツか何かだった?」
頭の抜け落ちた下に、プロテクターを着けたもう一つの頭が見えたかと思ったら、逃げ出すバッタみたいに軽々とジャンプして、そのまま消え去ってしまいました……。
隠し玉が簡単にばれちゃったのは果たしてどちらの陣営なんでしょうかね?そんな感じで次回へと続きます。