ご近所さんこんにちは
さぁ、またまた更新ですぜ?遠慮せずに肩まで浸かって行ってくださいな!いかがわしい稲村ワールドにようこそ……♪
……ぽかり、ゆるゆら……す……ゆろら。
煙りは色を変えながら、捻れるように舞い昇り、ばらけて宙に消えていく。
……セクサロイドと結婚?……火星?アホか。有り得ん。しかもあんなポチャ体型の豊満ボディなんて……どっちかっつーと、同じマンションのコラマさんみたいな背の高いスラッとした感じの方が好みだけど。
そうそうこんな感じでタンクトップ姿で迫られたらきっと俺は……うぉっ!?
「……君は何故いつもそうやってボーッとしてるんだ?話し掛けても上の空じゃないか。私が暗殺者ならば三回は殺せているぞ?」
俺の脇にいつの間にか立っていた御本人はそう言うと、腕組みしていた手を伸ばして俺からタバコを掴み取り、灰皿の上で捩るように揉み消しながら呆れたようにそう言った。
彼女はコラマさん……このマンションの五階の住人で、流暢な日本語を喋る正体不明の外国人。職業不詳、出身不詳……ただし、お金持ちらしいと大家さんは言っていた。
「ハジメ様、どーしたんですか?あんまり悩むと禿げますよ?って……うにゃ?誰ですかこの美人さんは?」
ドアを開けてひょっこりと顔を出したつきみが、コラマさんを見ながらそう言って外に出て、
「初めまして!私はつきみ、こちらで新しくお世話になる押し掛けニョーボーですッ!よろしくです!」
聞き捨てならない事故紹介をしながらニッコリ笑うこ奴は、コラマさんに向かってそう言いながらペコリとお辞儀をした。……機械の癖にニョーボーかよ。
「……ふむ、それはなかなか興味深いな。ところでハジメ、私の部屋に届く筈の荷物がそちらに届かなかったか?二つの大きな段ボールなんだが。」
「……何ですと?」
「ほほぅ、若いのに耳と脳髄が不自由になったのか?それは大変だな。私は今日届く筈だった荷物がなかなか来ないから配送先に連絡したら、確かに書かれた部屋に配達したと言われてな。……もしかすると先方が住所を入力した際に、テンキー入力の5と2をミスして、うちの部屋に標準装備されている雑用人間のキリューが受け取れなかったんじゃないか、と考えてな。それで伺ったのだが……どうやら予想通り無事に誤配送されたようだな。……安心した。」
「何ですとっ!?」
俺はお互いの状況を確認する為に、ひとまず部屋に彼女を招いて話をすることにした。だって……こんなカオスな事態、理解出来る訳ないじゃん。
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「……なるほどな。実は私の元に米国の知り合いから、この世界の常識からかけ離れた自動人形が好き放題に行動して困っているから何とかして欲しい、と相談されてな。それで交渉の末に身柄を引き受ける段取りになって……しかしこれは、なかなか興味深い味だな。どこの茶菓子だ?」
出された粗茶をすすりながら、チョコえびせんをかじりつつ語るコラマさん。
「歌舞伎揚げで有名な天乃屋のアウトレット店限定ですよ、って……自動人形?」
俺はコラマさんの語る内容と、傍らに座る白と黒の二人を照らし合わせながら、そーなの?と聞いてみる。
「あ、うん……えっと、私達、色々あって……上手いこと来れたんですよ?……ワームホームとか色々と使ってぇ……だよね?」
「もう……まずワームホームじゃなくて、ワームホール。それに色々ではザックリ過ぎです……次元転移に必要なエネルギー摂取と因子の結合を当該空間内で行う為にワームホールを活用したんです……勿論私達が、じゃないですが。」
そう言うつきみを呆れ気味に見つつ、ルナが補足する。勿論俺にルナが挙げた単語の意味は何一つ判らん。
「方法論を論じるつもりは私にもないが、そもそも二人はどうして米国からこの国に居るハジメを見つけたんだ?この男はどこから見ても目立つような存在ではないぞ?」
コラマさんにやんわり切り捨てられた俺が静かに沈むのを余所に、話は進む……。
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……私達は、二人揃ってアメリカのおっきな都市にズズーンとやって来たんです!バリバリって雷みたいになりながら!!それで色々あってムギゅ!?
……姉様のは説明になってませんから……コホン。えー、……アメリカの主要都市に漂着した私達は、とにかく情報が欲しかったので一計を案じました。名付けて「ドタバタすれば勝手に向こうからオファーがっつり大作戦」です。
そーなの!私ってこー見えてヤれば出来るタイプなんで、目立つにはどーしたらいーかな?って思って、とりあえず一番偉いヒトに会いに行きました!!
……米国大統領と直接対話をするために、首都ワシントンに赴いた私達を、政府の高官はよりによって宇宙からやって来た侵略者だと思ったらしくて……苦労はしましたが作戦は無事に発動しました。
んで、メンドーだったからそーゆーことにして、バッタンバッタンしちゃいました!!宇宙ナメんな!!って感じです!
……つきみ姉様は、短時間ならば宇宙船外活動も出来るし、演算処理速度は無意識下での並行処理速度ならば極めて高速です……考えてしまうと、アマガエル程度の速度ですが。それに飛来するスペースデブリ対策の外殻は、表皮は柔軟性に富みながら内皮は複合チタン構造を凌ぐ強度の多層構造で、HEAT砲弾でも撃ち抜けない強靭さを誇ります。……まぁ、この世界では間違いなく不死身です。
てっぽーをズバンズバンと撃たれちゃってもヒラリヒラリと避けて、バーンと当たってもガキーンって弾いちゃうからね~♪わっはっは!!
……それで、大統領との面談を希望した私達は、「当面の自由行動と互いの不可触の誓約書」を交わしました。それから衛星や情報端末を駆使してハジメ様を捕捉し、こうして巡り会った次第にございます。
そう!私とルナはダイトーリョーさんと握手して、ケンカしないよ?って約束してきました!凄いでしょ!?
その際、一応こちら側からの不可触の対価として、身元保証の確約を頂きました。たぶん私達の情報は連邦関連のホームページ経由で開示されていると思います……パスワードが必要ですが。
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「……なるほど。確かに言う通り、二人の身元保証は発行されている。これに依ると、二人はNASA預かりの研究者として登録されている。これのことだろう?」
コラマさんに言われて開いてみたホームページ上では、例の鷲のマークの下に英語でびゃーっ、と書かれた内容(翻訳文の意味を汲み取るのに苦労したが)は、確かに二人はNASAに所属する地上での研究施設勤務が記載されていて、文責にはよりによって大統領のサインまで添付されていた……誰も文句付けられんぞ?これは……。
「ふっふっふ~♪どーですか!どーですかこの圧倒的な達成力ッ!!ご主人様、私達の凄さを理解できましたか!?」
胸を反らしてドヤ顔で小鼻を膨らませるつきみ、そして若干だけ誇らしげに見えなくもないルナ。
「あーはいはい、確かにあんたらはスゴいよホント。……で、二人は俺を探し出して見つけたらどうするつもりだったの?」
…………?
………………。
……おいこら、なんでお前らそこで沈黙すんだよ。
「……んでね?二人して箱に入って配達される体で再会したら~ご主人様もアッハッハ~ビックリ!驚いたなぁ~♪抱いてやろう!て期待してたんですが、ねぇ……」
「……まずは、ご主人様が姿を消した理由をお話しいたしませんと、納得も説得も出来そうにありませんね……ねぇ、姉様?」
ナチュラルに難しい問題をスルーしやがるな、この二人。自慢の高性能情報処理電子脳は何故か一番大切なことを右から左に流しやがったぞ?変な所だけ人間っぽいよな、全く……。
てな訳でまだまだ続きます。何せ一日かけて書き上げた連作ですから……。