相♥愛♥傘 ~ツンデレ幼馴染とレイニー・フォーリンラブ~
「トホホ……急な雨とはツいてないっつーの……朝の天気予報では晴れだったのに……」
陽太は灰色の空を見上げながら言った。いつもはグラウンドから運動部の掛け声が響いてくる玄関も、今は雨の奏でる音だけが寂しく響いている。
玄関の中には、陽太と同様、突然の雨に途方に暮れている数人の生徒たちがいた。
「ふっふっふ……」
陽太の顔に笑みが広がった。そして、自分のカバンの中に手を突っ込む。
「クククーッ! なーんつって、実は折り畳み傘を持ってきたのでしたーッ!」
紐をほどき、柄のスイッチを押すと、異様に大きい折り畳み傘が広がる。
「あぁー! どっかに雨に困っているカワイイ女の子はいないかなー!? 俺の傘には後一人分くらい入るスペースあるんだけどなー!」
彼は何日もこの日のことを待っていた。彼女いない歴=年齢かつギャルゲ&ラブコメマンガオタクの陽太は、すっかり脳みそが二次元に汚染され、とうとう現実で胸きゅん定番イベントの『相合傘』を発生させようと、特注巨大折り畳み傘を購入し、雨の日に女子が傘を忘れてくるのを待っていたのだ。
「あーん! 天気予報では晴れだったのにーッ!」
クラスのマドンナ、天然系清楚美少女のマリさんが、廊下のほうから歩いてきた。
しめた! 陽太は思った。マリさんのほうにウィンクを連発しながら、傘を高速回転させ、『僕の傘、空いてますよ!』とメッセージを送り続けた。
「仕方がない、今日はカッパ着て帰るか!」マリさんはカバンの中からカッパを取り出して着た後、自転車置き場へと走っていった。
「ズコーッ!」
陽太はずっこけて後頭部を地面に打ち付けて悶絶する。
ドンマイ! こんなこともあるさ……まだチャンスが全て潰えたわけじゃない!
「あーん、雨だなんて聞いておらんのじゃーッ!」
陽太の耳に、別の美少女の声が聞こえてくる。お金持ちお嬢様の詩織さんだ。
しめた!
陽太は内心しめしめと思いながら、今度はより露骨に独り言を言った。
「うひゃーっ! 俺の傘でかすぎだっつーのーッ! こんなに大きいと一人じゃもてあましちゃうぜーッ!」(チラッ、チラッ!)
そのとき、玄関前の広場に強烈な風圧が発生し、陽太の顔に雨粒が叩きつけられた。陽太は「ヒャーッ!?」と情けない悲鳴をあげた。
広場の真ん中に下りてきたのはヘリコプターだった。その中から、黒いスーツを着た執事が下りてきて、詩織さんに向けて手を振った。
「お嬢様! 雨が降っていたので、ヘリでお迎えに上がりました!」
「うむ! ご苦労なのじゃ!」
お嬢様は執事に傘をさしてもらいつつ、優雅に歩きながらヘリコプターに乗り、飛び立っていった。
「クッソーッ! 富裕層がーッ!」バシャーッ!
陽太は水たまりにダイブした。
こんな調子で、何もかも上手くいかず、結局、玄関には陽太ひとりがぽつねんと残されてしまった。
「トホホ……なんだよこりゃあ……神様は俺が嫌いなのか? とんだ道化師じゃねぇか……計画が台無しだよ……しょうがない、一人で帰るか……」
傘をかついでトボトボと歩き始めた。折りたたみ傘はやけに重かった。
「なんだよこの傘……無駄にデカくてムカつくんだよ……誰だよこんな傘注文した奴……」
◆
陽太がしばらくとぼとぼと歩いていくと、シャッターの閉まったタバコ屋の軒先で一人の学生服の女の子が雨宿りをしていた。
タオルを頭に載せながら、カバンの中を漁っている。どうやら、傘を探しているようだった。
雨で冷え切った陽太の心に再び熱が戻ってきた。
(こ、これは……! おあつらえ向きなシチュエーションじゃねーか! どーれ、近づいていって、傘のデカさアピールしつつ自然に相合傘に誘い込み、青春実績『女の子と相合傘』を解除してやるぜーッ! って……あの女は……)
かわいい女の子との相合傘への期待は、雨宿りの女の子へと近づくにつれて薄れていった。
その女の子は、長い茶髪を濡らしながら、カバンの中をかき回して、「もー、なんで傘ないんだよーッ! いつもは入れてるのにーッ!」などとブツブツ言っている。
なんだよアカリかよ……。
陽太は思った。
彼女は陽太のご近所さんであり、腐れ縁の幼馴染だった。小学生くらいのころは男まさりの彼女に引っ張りまわされて、色々と痛い目を見てきた。
あいつ、どちらかというとギャル・ヤンキータイプだし、黒髪純情美少女派の俺の趣味には合わないんだよなぁ……。でも、さすがに声もかけずに通り過ぎていくのは人としてアレな気がするし……。
陽太が思案しているうちに、数日前、スマブラ勝負に負けて、アカリにプリンを取られた忌々しい記憶がよみがえってきた。
よし、ここは間をとって、冷やかした後放置して帰ろう。
そう心に決めて、近づいていくと、足音で気付いたのかアカリが振り返った。
「ん? あっ、おーい! 陽太ーッ!」
「おやおや、アカリさん、傘がないんですか、気の毒に」
ニコニコと笑顔を向ける。
「そうなんだよ~! ほんと参っちゃうよなー急に降ってきやがって。ところでお前の傘、ずいぶんとデカいよな」
「まっ、特注だからね」
陽太はわざとらしく、クルリと傘を回して雨水を払った。
社交辞令終わり。
「じゃっ! 僕は失礼するよ! バッハハーイ!」
陽太は後ろ手に手を振りながらスタスタと歩いた。
後ろからズダダダダっと走る音が聞こえてくる。
「待ちやがれコラーッ!」
アカリがいきなり後ろから抱き着いてきた。背中におっぱいの感触がある。
そして、キリキリと陽太の胸部を圧迫するアカリの両腕。
「ウヒャーッ!? な、何しやがるーッ!?」
「女の子が雨に濡れて困ってるのにそれを見捨てていくのかーッ!? 傘はでかいくせに器と身長はちいせぇーなーッオラーッ!」
「う、うるせーッ! 俺の傘はふわふわ華奢な美少女専用なんだよーッ!? お前が入ったら雨に濡れている可哀そうな美少女を入れる枠がなくなるだろうが、離しやがれーッ!」
「雨に濡れている可哀そうな美少女ってどう考えても私のことだろうがーッ!? いいから入れろオラーッ!」
タバコ屋の前ではしばらく、陽太とアカリの口喧嘩の声が響いた。
◆
「へっへっへー、最初っから大人しく入れとけばいいんだよ」
アカリは隣の陽太に向けて笑いながら言った。
結局、陽太は根負けして、アカリを水からの特注折りたたみ傘の中に入れることになったのだ。
「ち、チクショーッ……! 雨の日にデカイ傘を持ちだして、美少女とイチャイチャ相合傘計画が……」
「なんだよ、そのキモイ計画は……そんな下心丸出しで相合傘してくれる女子なんかいるわけねーだろ。目を覚ませよ」
「うぅ……うるせーッ! トホホ……女の子との初めての相合傘が、黒髪深窓令嬢美少女とじゃなくて、アカリだなんて……」
「えっ? はじめて?」
アカリが驚いたように聞き返す。
「な……なんだよ、悪いかよ? どーせ、彼女いない歴年齢のキモヲタ野郎に相合傘なんていう甘酸っぱい経験なんかそうそうないっつーの! だからこそ、高校三年間という人生で最も青春な時期に胸キュンラブイベントを発生させる確率を少しでも上げようと頑張ってるんじゃねーかよー悪いかオラーッ!」
陽太は熱弁したが、アカリはほとんど最初から耳を塞いでいた。
「うるせーな、大声出すんじゃねーよ誰も悪いなんていってないだろ……。 そ、それにしても……そうか、陽太の初めての相合傘の相手が私か……え、えへへ……」
アカリは何故か頬を緩ませていた。
「何笑ってるんだよ気持ち悪いな……」
そのとき、アカリはふと、陽太の肩が傘から突き出ているのに気づいた。
「ん……お前の肩、なんか濡れてない?」
「ん……あぁ、別にいいよ、このくらい」
「いや、良くないだろ。傘に入れてもらっておいて持ち主がそんなにビッチャビチャになってたらさすがに寝ざめが悪くなるっつーの。おらっ、もっとひっつけよ」
そう言って、アカリは陽太の腕に手を回し引っ張った。
「あっ、ちょ、ちょっと……!」
陽太の腕に、おっぱいの感触が伝わる。わざとなのか天然なのか、アカリはまるで無頓着。むしろ赤面している陽太を見ながら「ん? 顔赤くないか? 風邪でも引いてんのか? 悪化するとマズイからもっとひっつけよ」などとすっとぼけたことを言って、より強く引き付けようとする。
そんな風に引っ張ったり離れようとしたり乳繰り合っていたとき、反対側の歩道を歩いていた小学生のグループ先頭の女の子が、陽太とアカリのほうを指さした。
「あっ、見て見てーッ! あの二人イチャラブだーッ!」
「あっ、ほんとだ道の真ん中でイチャラブしてやがるーッ!」
「ヒューヒューッ 熱いねぇーッ!?」
女子小学生たちは冷やかしの言葉を二人に投げかけながら歩いて行った。
「い、イチャラブって……!」カァァーッ
アカリの顔が真っ赤に染まる。
「ほ、ほらなっ、だからくっつくのはダメだって言っただろ」
陽太は腕の力が弱まったすきに、身体を離した。学生服の肩を再び雨が濡らした。
「むっ……な、なんだよ、私と恋人同士って思われるのが嫌だってか?」
アカリは拗ねるようにいった。
「い、いや、そうじゃなくてさ、お前のほうが困るだろ……? 俺なんかと一緒にいるって噂されたら……」
陽太にとって、この言葉は半分は恥ずかしさから、半分は本心から出たものだった。アカリはちょっとヤンキーっぽい怖い見た目だが、誰とでも分け隔てなく接する奴で、一緒にいると楽しいし、顔も可愛い。
アカリ以外の女の子と話すと途端にしどろもどろになる俺のようなオタク野郎じゃまったく釣り合わない。
と陽太は思っていた。
「……」
あかりは、黙って陽太の腕を再び握り、自分の身体のほうに引き寄せて、ぎゅうっと抱きしめた。
「あ、アカリさん……!?」
「べ、別に、勘違いする奴には勘違いさせとけばいいだろ……! それより、そんなに肩濡らしたら風邪ひくぞ……!」
アカリは耳まで真っ赤にしながら言った。
「お、おう……お前が良いなら……」
そして、二人は一緒に歩いた。身体をくっつけすぎて、時々転びそうになった。
◆
「……」
陽太はただ黙って歩いていた。目線は斜め前上方。いわゆる明後日の方向を見やりながらただ黙って歩いていた。
「なぁ、なんでさっきから黙ってあらぬ方向を見てるんだよ」
アカリは沈黙に耐えかねて尋ねた。
「しょ、少年はいつだって未来を見据えるもんなんだよ……! うひゃっ!?」
言っている途中で、陽太はズレた地面のタイルに引っかかって転びそうになる。濡れた地面に倒れる前に、アカリが慌てて腕を引っ張って支えた。しっかりしろよと声をかける。
「未来を見据えるならならせめてまっすぐ前を見ろよ……こけたら危ないだろうが」
「う、うるさいなーッ、お前のほうに視線を送れない事情があるんだっつーの!」
陽太の言葉に、アカリはちょっとだけムっとした。
そんなに私のほうを見るのが嫌なのかよ。
「な、なんだよ……ちょ、ちょっとくらい私のほうを見てもいいだろ……そんなに私と話したくないのかよ」
「べ、別にそんなことは……あっ……」
陽太が再び視線をアカリから外したとき、前の方からトラックが走ってくるのが見えた。
雨の日なのにスピードを出し過ぎているように見えた。減速することなく、二人のそばの車道へ向けてタイヤが回転する。
「あっ、あぶなーい!」
陽介は車道に背を向けて、アカリの身体を抱きしめるように引き寄せた。
「ふぇっ?」
バッシャーッ!
歩道にいる二人に向かって、水しぶきが襲い掛かった。車道の水たまりの上をトラックのタイヤが通り過ぎたのだ。トラックは歩道の二人を振り返ることもなく走り去っていった。
「ぐぇーっ! つめてーッ!」
跳ねた水をもろに浴び、全身びっしゃびしゃになった陽太が叫んだ。
「と、トホホ……雨の日に水たまりの上を走るんじゃないっつーの」
「ほんとだよ……あぁー、ビショビショになっちゃった」
陽太の身体が盾になったおかげで、比較的に被害は少ないとはいえ、アカリの服もびしょ濡れだった。
「これもうスカートの中までビッショビショだよ」とぼやくと、隣にいた陽太が突然前傾姿勢になり、「うぅっ……」とうめいた。
「ど、どうしたんだ? なんで前かがみになってるんだ? 風邪でもひいたか?」
「い、いや……大丈夫、気にしないでくれ、男の子にはよくあることだ」
「ふぅーんっ……? まぁ大丈夫ならいいけど……」
アカリはひとまず陽太のことは置いておいて、自分のスカートの裾をひねり、雑巾のように搾った。布地にしみ込んだ雨がびしゃびしゃとコンクリートの地面に落ちた。
「かなりビショビショだな……」
陽太がアカリの姿を見て残念そうにつぶやいた。
「そうだね。でも車道側にいた陽太のほうがもっとひどいことになってると思うけど」
「お、俺は別にいいんだよ……、へ、へぶしっ!」
陽太はクシャミをはなった。全身ずぶ濡れでかなり寒そうだった。
「……あのさ、もしかしてさ、私を守ろうとして、車道側を歩いてたの?」
「は、はぁーッ!?」
陽太の視線が斜め上から戻ってきた。顔が真っ赤になっている。
「いやだって、さっきかばってくれたじゃん」
「い、いやっ、あ、あんなの偶然だし……! そ、それに結局かばえなくて、びしゃびしゃになってるし……」
声がだんだんと小さくなっていく。陽太の視線が再び彷徨った。アカリはそんな彼のアゴをつかんで無理やり視線を固定した。
「ありがとなっ」
そう言ってアカリは笑った。
「あっ……」
その顔を見て、陽太の顔の赤みが増した。
「ぷっ……何、真っ赤になってんだよ。照れてるのか?」
アゴを固定された陽太は目だけを上のほうに動かし、なるべく下を見ないようにした。
「い、いや、そ、その……最初っから言おうとは思ってたんだけどさ……」
「ん?」
「その……お前の、ブラジャー、透けてる……」
「へっ?」
アカリは下に目線を向けた。
白のブラウスが雨で濡れ、その下の水色のブラジャーが周囲にその存在をアピールしていた。
「―――~~~~ッ!? そ、そういうことは、早く言えよ、エッチーッ!」
「い、いやっ、言おうとしたけどセクハラっぽいかなって、う、うひゃっ!? 脇腹つっつくなーッ!?」
「うるさいっ、変態ーッ! アホーッ!」
アカリは、陽介の腕を掴み、逃げられないようにしながら、人差し指が脇腹をつつき続けた。
◆
結局その後、二人は無言で歩いた。アカリはブラジャーが見えないように、カバンを胸の前で抱きかかえている。
陽太はアカリのほうから妙な緊張感を感じて、口を開いても、言葉が出てこなかった。
そうしているうちに、アカリの家の前に到着する。陽太の家はもう少し先だ。
「つ、ついたぞ」
「う、うん……」
アカリは小声で言った。しかし動かない。二人の間を沈黙が流れる。
(ち、チクショーッ!? なんか黙っちゃってスゲー気まずいぞーッ!? やっぱ透けブラ指摘が原因か!? い、いやっ、でもあれは不可抗力みたいなもんだし……)
陽太の脳内で様々な考えがグルグルと逡巡していった。結局、「じゃあ、俺はこれで」と言って、できるだけ早く緊張の現場から逃れようとしたとき、
「あ、あのさ……」
と、アカリが口を開いて、陽太の服の裾をきゅっと掴んだ。
「な、なんだよ。どうかしたのか?」
陽太の問いに答えず、アカリは目を瞑って深呼吸した。
そして、目を開いて、陽太の顔をまっすぐに見た。
「きょ、今日は傘入れてくれてありがとなっ、陽太が入れてくれなかったらビショビショで帰らないといけないところだったよ。あっ、でも結局ビショビショになったか。い、いやそれはともかくとして、なんか、お礼したいんだよねっ、傘に入れてくれたお礼! そういえばもうすぐバレンタインデーだったよな? 私としてはああいう俗世間の騒ぎ的なものにはそれほど全然興味はないんだけど、まぁちょうどいいことだし、あんたにチョコでも作ってやろうかなーって、思ってみたり? あっもちろん義理だけどね! それでさっ!」
女は一息でそこまで言った後、再び深呼吸した。
「陽太って、甘いもの、すき?」
アカリの勢いにあっけにとられた陽太は、しばらくポカンとしてから、答えた。
「あ、あぁっ、どちらかというと甘いもの好きだけど……」
「そ、そうか……じゃあな!」
アカリはそれだけ言うと、バーンッとドアを開けて家の中に消えていった。
「……」
陽太は一人残され、ぽつねんとしていた。
「な、なんだったんだ……?」
とりあえず、ひとつだけ確かなのは、アカリが陽太にバレンタインデーにチョコを作ってくれるらしいということだけだ。
「まったくわけが分からないぜ……もういいや、さっさと帰ろう」
陽太は背中をアカリの家に背中を向けて少し歩き、立ち止まり、腕をさすった。
アカリの胸の感触とぬくもりが、まだ残っていた。
「ま、まぁ……今日のは一応……青春イベント『相合傘』達成ってことでいいよな……うん……」
そういうと、陽太は再び家に向かって歩き始めた。
◆
「はぁ……はぁ……」
陽太と別れて家に帰ったアカリは、玄関で顔を真っ赤にしながら胸を押さえていた。しばらくそのまま動かなかったが、やがて、えへへと笑い始めたかと思うと、とうとうガッツポーズしながら叫んだ。
「や、やったーッ! 男と相合傘した上に、バレンタインデーチョコプレゼントの先約も取り付けたぞッ! わ、我ながら天才じゃねぇか……! 全部計算通りーッ!」
玄関で叫ぶ彼女の姿を見て、姉を出迎えにきた中学生の妹は内心ドン引きしていた。
「お姉ちゃんおかえり。なに笑ってるの? 気持ち悪いよ?」
「う、うるさいなーッ! べ、別に笑ってないっつーの!」
と言いながらも頬は緩みっぱなしだった。
「っていうかお姉ちゃんずぶ濡れじゃん、あーあ、カバンもビショビショ……あれ?」
妹はアカリのカバンの中に手を突っ込み、中から折り畳み傘を取り出した。
「お姉ちゃん、傘持ってるじゃん。なのに使わずに帰ってきたの? なんで?」
「ふふふっ……」
アカリは笑いながら人差し指を自分の唇にあてた。
「女子高生には、色々秘密があるもんなんだよ」(ウィンクッ)
終わり
「……お姉ちゃん今日いつにもましてテンション高くてキモイね。どうせ陽太くんに相合傘してもらおうと忘れたふりをしただけでしょ」
「なんでバレたーッ!?」ガビーン!
終わり
「ぼくのかんがえたさいこうのいちゃらぶ相合傘SS」です。
くぅ~! エロSSとは別ベクトルで死にたくなりますねぇ!(血反吐)
『この美術部には問題がある!』
『月刊少女野崎くん』
『からかい上手の高木さん』
相合傘シチュありの作品は無条件で好きですねぇ!(ステマ)