序章
まるで、空から落ちる光のしずくのように。
「ルゥ」
甘く、甘く、囁かれる。
「……ルゥ」
優しい声で、求めるようにして、抱きしめられて。髪に貰う口づけに、『ルゥ』はどれだけ愛されているのか思い知る。
「どこに」
どこに。
「どこに行ったんだ、ルゥ」
どこに行ったの。
「ルゥ。今、どこにいるんだ」
この人を、おいて、どこに。
こんなにも、あなたを求めるこの人を。こんな場所に置き去りにして、どこに。
私を抱きしめながら、この人は『ルゥ』を求めている。執拗に触れてくる手は、『ルゥ』にあったはずの長い髪がない事に苛立ちを抱いているようで。
壊れそうなほどに抱きしめられる。どこにいるのだと、ひたすら愛した人の名を呼んでいる。
私は、ルゥじゃ、ないよ。王様。
この国の名も知らされず、この人の本当の名も知らず。
城に迷い込んだ私は、罪を犯し殺されかけた私は、この人の想い人に似ているというただそれだけで、生き延びた。
ただ、黙って『ルゥ』の代わりでさえあれば、生き延びられると。そう言われて。
愛されていないと知りながら、身替わりの愛を受ければ受けるほど。
心が傾く自分を知っている。
それは、なんて、




