【短編】青空爆破計画
私たち二人はあの冬、あの大きな大きな空を飛んだ。
それが私たちにとって全てで、始まりで、終わりだった。
20xx年、計画実行まであと6ヶ月。
◇
もう6月だというのにまだ風は冷たく、衣替えには早すぎるのではないかと思うほど寒い。
しかし私は衣替えもなにもしていなく、まだ布団の中でぬくぬくと丸まっていた。
所謂、不登校。
引き篭り。
私は高校生になったばかりだというのに、まだ入学して二ヶ月しか経っていないというのに
家に引きこもっていた。
私は頭がそれほど良くないので地元の高校を選んだ。
しかしその学校には同じレベルの中学から上がってきた生徒が集まるので
私はすぐに嫌になり学校に行かなくなった。
でも、いいことがないかを常に私は求めている。
家では食事とトイレと入浴以外は外には出ない。
私の人生は終わったも同然なのです。
今日もネットで一日を過ごします…。
ネットの某SNSを見ている時にメッセージが来ていた。
「はじめまして、同い年で気が合うかと思ってメッセージしました。仲良くしてください。」と。
私はため息をつき、またかと思った。
こういうネットのSNSには出逢い厨と呼ばれる出逢いたがりの男がいっぱいいて危険なのです。
でも、その時の私は気がおかしかったのでしょうか。
いや、ただ、暇だったのです。
そのメッセージに返信をしました。
「はじめまして、私も仲良くして欲しいです、よろしくお願いします。」
何回かやりとりをして相手の情報を得た。
年は16歳の同い年。名前はトモ。学校が同じ、でもクラスは違う。学校は楽しいが何か物足りないらしい。
そして、今週の日曜日の14時に会うことが決まった。
その日曜日は明後日だ。不安と期待が入り混じっている。
『日曜日 午後二時 都内○△公園』
私は待ち合わせ15分前に着いた。
昨日は、少し緊張して寝ることができず、ネットをずっとしてしまった。
ようやく眠れたのが朝の4時。
目覚まし時計をセットしていたのでなんとか起きることができた。
不安は残るまま。
正直、逃げてしまおうかと何度も思った。今でも思う。
はぁ、空はこんなにも晴れているというのに、私の心は曇りのち雨である。
そんなことを考えていると彼、トモが来た。
「すみません、お待たせしました。はじめまして、トモです。ナナさん…ですよね?」
結構、礼儀正しいやつだった。
なんでもトモは学校内でトップクラスの学力の持ち主らしい。
納得いった。しかも、顔も悪くない。
私の曇りのち雨という今にも雨が降り出しそうな気持ちが少しずつ晴れていった。
とりあえず、話をするためにファミレスに行こうと言われたので二つ返事で着いていくことにした。
ファミレスに入り、禁煙席に案内され向かい合って座った。
トモはメニューを開くなり、「ハンバーグの目玉焼きのせ」とライスを注文した。
私は5分ほど悩み、結局トモと同じ「ハンバーグの目玉焼きのせ」とライスを注文した。
トモは食事中一切喋らなかった。私もそれに習い、一切話さなかった。
トモと私は食べ終わり、一息付いたあと、トモがゆっくりと話し始めた。
◇◇
学校は楽しいけど、何かが物足りない。
友達も男女問わずいる。
刺激が欲しい。
トモは下校中、携帯電話で某SNSを開いた。
名前も顔も知らないが一人だけ同じ学校名をプロフィールに書いている女の子がいたので
その女の子にメッセージを送ってみた。
名前は「ナナ」というらしい。
僕と同じ高校に通う同い年の女の子。
しばらくして見てみると、返信があった。
「はじめまして、私も仲良くして欲しいです。よろしくお願いします。」と。
何回かやり取りをしてお互いのことを話し合い、会う約束をした。
そして、待ち合わせの日、お互いの家の距離を考えて一番間くらいのところにある公園でナナは待っていた。
僕は、ここではなんだからと近くにあるファミレスに行こうと誘った。
ファミレスに行く間、ナナの話を少しだけ聞いた。
聞くところによると、ナナは待ち合わせ15分前から公園にいたらしい。
夜、不安で眠れなかったと少し照れながら話してくれた。
そうこうしているうちにファミレスに着き、食事を終えた。
僕は一息つき、ゆっくりと話し始めた。
「ねぇ、空って爆破出来ると思う?」
ナナは唖然としていた。
一分くらい目を丸くし、僕を見つめていた。
ナナは僕が喋らない限り、止まったままのようだ。
僕はまたゆっくり、「計画」を話し始める。
話終わったあともナナは唖然としたままで一言だけ言葉を発した。
「おもしろそう」
僕は、少しだけ安堵した。そんなのは厭だとか色々言われると思っていたからだ。
これから“二人の計画”は始まっていく。
その日はそれだけで別れ、また日曜日に会う約束をした。
それからの僕は日曜日が楽しみになった。
ナナに会えるというよりも「刺激のあること」ができることに心を躍らせていた。
その“計画”というのはシンプルかつ危険な行為。
間違いなく「事件」になる。
僕は、ナナと別れたあとも震えが止まらなかった。
ナナには気づかれてなかったみたいだけどずっと震えていた。
その日、僕は眠れなかった。ナナとのことを思い返し、これから起こることに少し興奮していた。
ようやく眠れたのが、朝の3時だった。
今日は月曜日だから普通に学校はある。
ナナは学校には行っていないと話していた。
どうするつもりなのだろうか。
でも、ナナには悪いが僕にとっては好都合だった。
変に顔を見てしまうと意識を少なからずしてしまうからだ。
今日も変わらない日常が始まり、終わっていく。
◇
何を言い出したかと思うと、この爽やか少年は顔色一つ変えず
「空って爆破出来ると思う?」と言ってきた。
出来るわけないだろ。
この爽やか少年は学年トップクラスのくせに馬鹿なのでしょうか。
私は、何も言葉を発せず、ただ、トモを見ていると
続けて「計画」というのを話し始めた。
それを聞き終えた私は「おもしろそう」とだけ言った。
実際にそう思ったし、こんな馬鹿はほかにはいない。
トモと別れたあと、私は今日のことを思い返してみました。
トモが話す「計画」のこと。トモのこと。
ありきたりなのだけれど、私たちはどういう関係なのだろうか…。
恋人では当然ないし、友達と呼ぶには何か少し曲がりすぎている。
パートナー?一緒に「計画」をするパートナーなのかもしれない。
私は、昨日と違いよく眠れた。
朝、月曜日、変わらない日常、苦痛な日常。
私は日曜日が待ちどうしくなっていた。
今までは、すべてが灰色だったけれど、灰色の中に少しだけ赤い色がついた。
日曜日だけ赤い。
トモはどうしているんだろう。
普通に学校に行き、普通に友達と笑い合い、普通に帰るのだろう。
――それからしばらくして、私は学校に呼び出された。
入学してから二ヶ月も経たないうちに不登校になったのが問題となってしまったようです。
私は、母と一緒に学校へ向かった。
不登校になった理由やこれからのことを色々聞かれて、私はグッタリしてしまいました。
次の日は熱が出て全く動けず、嫌でも布団の中にいなければならなくなった。
くそ、学校に余計に行きたくなくなってしまったではないか。
それからして、私は一週間に二回くらいは登校出来るようになりました。
教室では静かにじっとして気配というものを消して過ごした。
それでも私は耐えられなくなり、昼前に帰ることが多い。
みんなからは多分、身体が弱い子というレッテル貼られ、そう認識された。
私はいつも辛い時、日曜の出来事を思い返します。
それから一ヶ月が経った。
梅雨が明け、ジメジメとした体にまとわりつくような暑さではなくなりました。
それでも七月は暑い。
トモとは毎週日曜日に欠かさず会いました。
計画の話はせず、日常のことを話した。
それでも私は良かった。心が満たされた。
鮮やかな赤い色はわたしを元気にさせた。
―八月。
いよいよ猛暑日が日々更新されるほどの暑さになってきました。
汗も吹き出ます。
学校は夏休み中です。
それでも日曜日にはトモと会う。私の心を鮮やかな赤い色にするために。
私はしばらくしないうちにSNSにログインしなくなりました。トモとの出来事が薄れてしまう感じがしたから。
―九月。
また灰色の時が来る。
私は憂鬱でした。
花が散るように私は急に生気を失ってまた私は不登校になってしまったのです。
五月病が今になって来てしまったのでしょうか。
そんなことを言えば、私はずっと五月病状態です。
私は家にこもり、トモと会わなくなりました。
もう全てが灰色です。
どうしましょう、困りました。
そのような状態が何ヶ月も続き十一月になった頃、トモから一通のメールが届いてました。
「計画を実行する」と。
実行日は十二月十二日月曜日。終業式がある日。
トモから送られてきたメールの文はそれだけではなく「一度会おう」とありました。
私とトモは実行日前日に会うことになりました。
◇◇
ナナは相変わらず学校には行っていないみたいだ。
僕は学校であった出来事や友人との馬鹿話をして計画のことは一切触れなかった。
それだけでも充分だった。
まだ「あれ」のことは話すべき時じゃない。
数週間でナナに変化が表れてきた。
なんでも、ナナは最近学校に行っているらしい。
週に二回程度行って、彼女なりに頑張っているらしい。
「すごいじゃない、その調子で行けるといいね」というとナナは大変喜んだ。
僕の計画は頭の中で出来上がっていった。
「十二月十二日」、終業式の日に実行する。
僕とナナが通っている高校は朝礼や式を外で行う。
僕はそれを狙っている。「あれ」さえ手に入れば後は実行するだけ。
――十一月。
僕は父の趣味である、射撃競技で使う銃をこっそり盗んだ。
僕はそれを持ってX日に実行する。
◇◇◇
十二月十一日 日曜日
ナナは待ち合わせ場所である例の公園でまた15分前に到着していた。
今日も晴れている。明日もきっと晴れるのだろう。
ナナは意外なほどに冷静だった。
何を話すかもわかっていた。明日のこと。計画を実行すること。自分たちのこと。
しばらくして、トモが現れた。
「ごめんね、待ったかな…」といつもの爽やかな声で軽く謝罪をする。
「うぅん、大丈夫。でも、また15分前に来ちゃった…」
二人は笑いあった。
少しぎこちない会話をしたあと、トモが先に話し始めた。
「今日は、ここで話すね。計画日は明日の十二月十二日の終業式。僕たちは終業式開始前に屋上に集合で」
「わかった。私は何も持っていかなくてもいいんだよね?」
ナナは少し心が熱くなっていた。
「大丈夫。ただ、一緒に言ってほしいことがあるんだよ」
「なに?」
『さよなら世界』
それを言い終わったあと、トモはナナの返事を待たずに帰ってしまった。
【十二月十二日 月曜日 終業式 晴れ】
ナナとトモは約束通り、屋上にいた。
ナナにはもう全てわかっている。
これが始まりで、終わりで、そして全てなのだと。
チャイムが鳴り、終業式が始まる。
最初に言葉を発したのはトモだった。
「全校生徒の皆さん、おはようございます。これから僕たちはある計画を実行します!」
トモがそれを言い終わったあと、生徒全員と教員が屋上へと目を向けた。
教師の罵声を無視し、ナナとトモは息を合わして…。
「「さよなら世界!!」」と叫んだ。
その瞬間、トモが持っていた競技用の銃が冬の晴れ空に向かって放たれる。
大きな銃声を立ててまもなく教師がトモとナナを取り押さえて警察に連行された。
後日、その事件はニュースと新聞に取り上げられた。
ナナとトモは未成年者保護法により名前と顔は伏せられた。
――ナナとトモの計画は実行され、終わった。
それから数ヶ月して、ナナは引っ越すことになり、トモとは必然的に離ればなれになった。
ナナはそのことが原因で精神に異常をきたし、マンションの屋上から飛び降り、自殺した。
数日後、ナナの葬式が親族だけで行われた。
ナナの母がナナの部屋を片付けていると一冊のノートを見つかった。
そこには『青空爆破計画』と書かれており、トモと初めて会った日から自殺する直前までの記録が書かれていた。
一番新しいページの最後に「お母さん、お父さんごめんなさい」と書かれていた。
母は嘆き、涙を流した。
その日だけは雨が降っていた。
「青空爆破計画」というタイトルは中学生の時にすでに思いついていました。そのタイトルを元にお話を作りました。
話は展開が早かったり、ダラダラしたりと非常に読みにくかったと思います。
これからもっと勉強していいものを作っていきたいです。
ちなみに◇はナナ、◇◇トモと分けています。
◇◇◇は二人。
読んでくださった方、本当にありがとうございます。




