誕生日
瑠璃蝶草さんに頼まれ書きはじめました。
と言っても、この話には春都ちゃん登場せず・・・・・。(苦笑
本当に、大切な日だから。
だから、最高の思い出にしてあげたい・・・・・・・・。
地獄
そこは、生前に罪を犯した者が逝く、あの世の監獄。
囚人たちは、己のした咎を後悔し、懺悔しながら拷問に処される。
死ねば、あの世の風で蘇り、再び拷問にかけられる。
死ぬことすら許されない。
脱出も許されない。
まさに、恐怖の巣窟・・・・・。
「で、相談って何なんだよ、豹牙。」
そんな地獄の、閻魔の住む館「地獄殿」で、酒を酌み交わす者が居た。
「いや、別に大した事じゃねぇって言うか、お前からしたら「しょうもね~」って思うような話なんだけどな?」
地獄の鬼の1人で、「閻魔の副官『殺鬼』」こと神風 豹牙と、
「いやいや、そんなだったら俺に相談すんなや。時間の無駄じゃねぇかよ・・・。」
「地獄の王」、「稀代の悪鬼」など、様々な通り名を持ち、武力で地獄はおろかその他の神話の世界までも平定した「第八代、第十代閻魔大王『滅鬼』」こと獅子王 砕牙だ。
そんな、住人によっては片方だけでも恐怖の権化に見えるような2人が共に酒を飲んでいる。さぞかし恐ろしい地獄の相談事なのかと思いきや・・・・・・。
「まぁ、そう言わずに頼むよ。お前にしか相談出来ないんだよ、彼女へのプレゼント、どんなのがいいかなんてよ。」
どうやら、そうでもなかったようだ。
カップルなら誰でも1度は悩むであろう悩みを友に相談する「閻魔の副官」、その相談にブツブツ言いながらも乗っている「閻魔大王」、そこにはとてもシュールな光景が広がっていた・・・。
「つまりはアレだろ?もうすぐ春都の誕生日だからプレゼントやりたいってんだろ?そんなもん自分で考えろや。」
面倒臭そうにそう言い捨て、酒樽の酒を一気に呷る砕牙。口ではああ言いつつも、メモを取って話聞いてるあたりは面倒見がいいのかもしれない。
「いや、そう言われても、俺今まで人の誕生日祝うとかやった事ねぇからさぁ・・・。」
「まぁ、お前の境遇考えたらそうだろうけどさぁ・・・・・。」
そう言って溜息を吐く砕牙。
確かに、豹牙は今まで戦場で暗殺兵として生きてきた男であり、今でこそ久遠ヶ原学園で平和(?)な学園生活を過ごせてるものの、1年前まではそんなことも考えられなかっただろう。
その学園生活の中でも、閻魔の血を入れ鬼として生き、何人もの敵を殺し、およそ平穏と言える生活ではなかった。
だからこそかも知れないが、僅かに顔を顰め申し訳無さそうな顔をする砕牙。
だが、それも一瞬のことで、次の瞬間には笑顔が彼の顔を覆っていた。
「まぁ、他でもないお前の相談だしな。俺も考えてやるよ!」
「おぉ!マジでか!!?ありがとう!!!」
こうして完成した誕生日プレゼントのオルゴール。
でも、豹牙が、ウッカリ誕生日忘れてて、彼女の機嫌損ねちゃったんだってさ・・・・・。
次回は多分、彼女も登場します。