二人の間を邪魔しちゃえ!
私は心の中がすっきりしないまま学校生活を送っていた。
緒方君の事は諦めきれていない。緒方君は真帆の事を好きなんだと思って見てみると、明らかにそうなんだと思う。って、言うか、今まで、私の事見てるじゃんと思っていた緒方君の視線。あれは私ではなく真帆を見てたんだ。
そう思うと、なんて私はうぬぼれ屋のおばかさんなんだろう。
はぁぁ。
ため息しかでないよ。
そんな気分で、朝の教室で自分の机に両肘ついて、ぼんやりと黒板を眺めている。左に目を向けると、教室の窓の向こうに、私の気分を映したかのようなどんよりとした冬の空が広がっている。それとは対照的に右側に目を向けると、開けっ放しの教室のドアから、クラスメートたちが、にこやかに教室に入って来る。
そんな中、緒方君が姿を現した。
何やら、私の左斜め後方辺りに視線を向け、にこりと微笑んだ。私の左斜め後方。真帆が座っているあたり?
私が左後方に振り返ると、真帆が小さく手を振っている。
この二人、できちゃった。
私はそう直感した。
きっと、どっちかが告ったんだろう。
昨日?それとも、もっと前?
もしも昨日だったら、もしも昨日の事だったら、リセットして邪魔してやろう。
私の心の中に、いやらしい思いが込み上げてきた。
私は真帆からそれとなく緒方君の事を聞き出した。
私が緒方君の事を好きだと言った過去はリセットされているので、真帆はそんな事は知りもしない。私の問いかけに、真帆は素直にそしてちょっとはにかみながら話してくれた。
緒方君は真帆の降りる駅を知っていて、昨日の帰り、改札口を出たところで真帆を待っていたらしかった。そこから二人、真帆の家まで歩いて帰り、真帆の家近くで、告られたらしかった。もちろん、真帆も緒方君に自分も好きだと言ったと言う事だった。
なるほど。じゃあ、今日、真帆を駅に行かさなければ言い訳だ。
私はその日、教室の中で、一日をリセットした。