これを最初に使う日は
さて、これで何しましょ。
私はベッドの上でうつぶせになって、寝転んで考えた。目の前にはあの装置。
したいことはいっぱいある。
たとえば、たとえばよ。
試験よ、試験。
試験問題を見てから、リセットして受けたら、やっぱ満点かな。
でもよ。リセットしたら、記憶しか残ってない訳じゃん。
とするとよ、試験問題を全部自分で覚えないといけない訳じゃん。そんなの無理っ!
だめね。これは。
じゃさ、記憶だけが残って楽しい事か。
じゃさ、大好きないちごパフェを食べて、リセットする。そして、また食べてリセットするを100回繰り替えたらよ、私はパフェ1回分のお金で、100回パフェを楽しめるのかな。
えへっ。
それって、すごくない?
待って、待って、待ってよ。
本当に記憶だけなのかな。
それとも、私の体の中にパフェ100個分のカロリーが溜まっちゃうのかな。
自分のお腹のあたりに脂肪がついた姿を想像してしまい、顔をしかめてしまった。
そして、私はもっといい事を思いついた。
私がよ、年をとってしまった後で、これを連続して使ったら、青春時代に戻れるんじゃない?20年戻すのに、どんだけこれを使わないといけないのか考えるとちょっとぞっとするけど、青春時代を取り戻すためなら、やれちゃいます。
ベッドで寝転んだまま、拳を握りしめガッツポーズをしてしまった。
そこまで考えた時、私は非常に重要な事に気が付いた。
これって、何回使えるのよ?
電池交換したら、何度でも使えるのかな?
でも、交換するような場所無かったしな。
私は起き上がり、ベッドの上に座り込んで、その箱をまじまじと見た。
上下左右、ひっくり返しつつ6面全てを見たけど、開けられそうな場所はない。
これって、あれかな。電池が切れるまでは使えるけど、電池が切れると捨てちゃうしかない安物のおもちゃみたいなぁ。
だとするとよ。
色々試さないと分からない事もあるけど、あまり使わない方がいいって事だよね。
ここぞって時。
私は決めた。最初に使うのはバレンタインデーだ!と。