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未来を変える瞬間

 次の日と言うか、二度目の今日? まぁ、何でもいいけど、あれが届いた。

 昨日と同じ、普通の双子猫の宅急便で、段ボールに入って。

 机の上に、飾りのようにおいてある問題集を隅っこによせ、小さな段ボール箱を机の真ん中に置いた。

 中を開ける前に、私はちょっと興奮した。私の頭がおかしくなっていないとしたら、この箱の中にあるのはぷちぷちにくるまれたあれである。

 私の手がちょっと震えている。段ボール箱のふたを閉じているテープを一気にめくろうと、テープの端に爪をかけた。

 そこで、私の手は止まった。

 昨日はこうやって、段ボール箱を開けた。場所を変えたら、どうなるのかな?

 未来は変わった!

 って、事だよね。

 未来を変える。そんな気分にわくわくした私は、それを部屋の真ん中にもって行った。

 私の部屋の真ん中と言っても、そんなスペースはない。壁際にはベッドがあるし、その反対の壁際には本棚にTVが置いてあるし。

 ごくりと喉が鳴った。

 未来を変える瞬間じゃないか。

 私はテープを剥がしはじめた。ぺりぺりと、段ボールの紙を引き連れながら、テープがはがれて行く。もう開くことを禁じる力が無くなったふたに手をかける。


 未来を変えた!

 たとえ、小さくてもね。


 そんな気持ちに震えながらも、頭の片隅には冷静な私がいる。

 ばっかじゃない。そんな事、本当な訳ないじゃんか。

 きっと、頭がおかしくなっているのよ。

 ほとんどの確率で一日をリセットするのは本当のはず。いえ、そう思いたい。でも、やっぱりそんな馬鹿げた事ある訳ないじゃんと言う気持ちが心の奥底に潜んでいる。

 ゆっくりと箱を開いてみる。

 頭の中に描いたとおり、いえ、昨日見たのと同じようにぷちぷちが全面を埋め尽くしている。そして、段ボール箱の真ん中あたりで、ぷちぷちを通してあの怪しげな箱が見えている。


 「やったぁ。やっぱり本当だっんだぁ」


 昨日、この箱を開けた時とは違って、今までに感じた事がないくらいのうれしさに包まれた。そのうれしさから、早くそれを手にしたくて、私はぷちぷちを一気にはがした。

 ぷちぷちから姿を現したそれを両手で包み込みながら、私は頬のあたりで愛おしそうにすりすりしてしまった。

 そんな自分のおばかな姿に気づいて、我に返った私はそれをじっくりと眺めてみた。

 やっぱ、何度見てもしょぼい箱。上下左右、じっくり見渡してみても、やっぱ知性のかけら?科学技術の気配も感じらんない。透明なふたでカバーされたボタンが一個あるだけ。

 でも、もうそれを見て笑ったりなんかしない。それを手に、にやにやといやらしそうにほくそ笑む私がいた。

 私はうれしくて、カバーを外してボタンに手をかけた。

 えいっ!

 もう少しでそのボタンを押しこむ直前で、私の手は止まった。

 ここでボタンを押しても、昨日を二回、いいえ本当の昨日を合わせたら三回の昨日を繰り返すだけ。押してみたい欲求を抑え、この使い方を考えようと、私はそれを持ったままベッドに飛び込んだ。

 勢いがついていたのか、枕元のぬいぐるみがちょっとはねた。私のかわいいぬいぐるみたちも、うれしくて飛び跳ねたと言う感じ?

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