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予定された未来と戦う覚悟

 ちらりと視線を下に落とす。

 私を羽交い絞めにしている男の子が履いてるスニーカーが目に入った。

 相手は布の靴、私は革靴。

 しかもかかとは固いよ。

 思いっきり、右足を上げて、勢いよく相手の足のつま先を踏みつける。


 「痛っ!」


 ひるんで私を捕まえている腕が緩んだ瞬間、私は思いっきり右腕を振り上げ、右ひじをその男子生徒の鳩尾に打ち込んだ。


 「げはっ」


 そんな醜い声を上げて、うずくまった。

 ごめんね。

 私、お兄ちゃんに連れられて、警察がやってる護身術の講習会、何度か受けてんの。

 本当に使うのは初めてだけどね。

 それに私だってばかじゃない。

 そんな付け焼刃なものが、決め手になるなんて思っていない。

 でも、隙はつくれるよね。

 私は緒方君の手を取って、逃げ出そうとした。私の前にいた二人の男の子たちはしばらくは戦力外になってるし。

 でも、別の一人が殴り掛かってきた。

 女の子を殴ろうって、どう言う事よ。

 どんな教育受けてきたのよ。

 親の顔が見たいわよ。

 なんて、言ってる暇はない。

 私はしゃがみ加減に小さくなって、その男子高生のパンチをかわすと、前傾姿勢で全体重をかけながら、右足で思いっきり体を蹴りだして、右ひじで鳩尾を狙った。


 「げはっ」


 まじで?

 自分でも、こんなうまく行くとは予想外。

 でも、このチャンスに逃げるしかない。

 緒方君の手を取って、逃げ出す。

 最初に喉をやられた彼と、真帆の元カレが二人を追いかけてくる。

 私たちが公園を飛び出して、歩道に出た。

 歩道を緒方君の家の方向に駆け出す。

 でも、絶対的な体力の差は埋められない。

 追いかけてきていた二人が私の肩を掴んだ。

 その時、私の視界が明るくなった。

 車道を走って来ていた車のヘッドライトが私たちの姿を闇の中に浮かび上がらせた。


 「気安く、触んないでよね」


 私がそう言って、右ひじを振り上げようとした時、甲高いブレーキ音が夜の街の静寂を引き裂いた。

 私も、緒方君も、真帆の元カレとその友達も動きが止まった。

 車道には急停車した車が一台。

 すぐにドアが開くと、そこから人が降りてきた。助手席側から一人、運転席側から一人。

 私たちが何事と思って見ていると、私たちの方に駆け寄ってきた。


 「お前たち。

 何をやっている」


 その声は紛れもなく、お兄ちゃんだった。


 「お兄ちゃん。

 助けてぇ」


 私が叫ぶと、真帆の元カレと友達は逃げ出しはじめた。

 お兄ちゃんが警察とは思っていないだろうけど、動物的なカン?

 でも、所詮体力に差がありすぎです。

 警官から逃れる事なんて、その辺の不良高校生ではできません。

 あっちゅう間に、追いつかれたかと思うと、お兄ちゃんたちに捕まえられてしまった。

 これで助かった。

 私も、緒方君も。

 その瞬間、私の全身から力が抜けてしまい、へなへなと歩道に座り込んでしまった。

 結局、最初に暴力をふるったのが真帆の元カレだった事などから、4人は補導された。



 あの日、緒方君は一発殴られたけど、大きなけがも無く終わった。そして、何日か経ったけど、緒方君は襲われてはいない。

 どうやら、未来は変わったみたい。

 変える事のできない大きなイベントでつながった未来と言う私の考えは間違っていたようで、大きなイベントさえも変える事はできる。

 でも、それには大きな努力がいる。

 予定されている未来と戦う覚悟、それなくして未来は変えられない。

 そう言う事なんだと思う。

 そして、私はあの日、あそこで暴れた時に落としてしまったのか、あの装置を無くしてしまった。気付いて、あの公園を探してみたけど、見つからなかった。


 もしかしたら、あの装置はあの日のためだけに、私のところにやって来たのかも知れない。

 私はそう思った。

 まず、はじめに。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 完結できましたのも、拙い文章にもかかわらず、読んでくださった皆様のおかげです。

 前作の時から、他のキャラでもと言う構想はあったんですが、なかなか構想がまとまらず、前作は「俺」だけで完結してしまいました。

 今回は女の子バージョンで作ってみましたが、いかがでしたでしょうか?

 感想なんか聞かせていただれば、うれしいです。


 どうも、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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