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やるっきゃないよね

 私の吐く息が白く凍りつく。所々にある街灯がそんな白い息を浮かび上がらせている。いくらの街灯を通り過ぎただろうか。目の前にあの公園が入ってきた。

 もうすぐで、緒方君の家。

 会って、一言「今日は外に出ちゃだめ」って、言わなきゃ。

 あいつのメアドか何か知っていれば、こんな事しなくてよかったのに。

 そう思いながら、急ぐ。

 その時、公園に入って行く二人の姿を街灯が浮かび上がらせた。

 二人とも制服を着た男子高生。

 一人の男の子が着ている青っぽい制服は間違いなく青木開明高。

 もう一人は。緒方じゃんか。

 何で、何で、何で?

 私は真剣に駆け出した。

 二人が入った公園の入り口から、中に飛び込む。

 公園の入り口から少し入った広い場所に5人の人影があった。

 一つの人影が別の人影を殴ろうとしている。

 そんな危ない場面に、突然現れた人の気配。

 殴られそうになっていた一人を除いて、一斉に私の方を振り向いた。

 殴りかけていた一人も、私の方を振り向いたため、力が弱まった。

 とは言え、そのパンチは相手の顔面に命中した。

 私が駆け寄ると、殴られたのはやっぱり緒方君だった。


 「緒方」


 私はそう叫んで、緒方君の前まで駆けて行った。


 「お前、無事だったのか?」


 緒方君が口元から血をにじませながら、私を見つめてそう言った。


 「何?何の事?」


 話の展開が私には見えない。


 「こいつらが俺ん家にやって来て、お前を拉致ったから、無事に返して欲しければついて来いって」

 「そんなの嘘よ。

 騙されたのよ。

 逃げるよ」


 私はそう言って、緒方君の手を取って、公園の出口を目指そうとした。


 「おっと、そうはさせないぜ」


 やつらは走って私たちの前に回り込み、進路を塞いだ。

 私たち2人は4人の不良たちに囲まれてしまった。


 「お前よぅ、俺の女奪っといて、別の女にもちょっかい出してんのか?」


 真帆の元カレがそう言いながら、ずいっと一歩近寄ってきた。


 「この子は関係ない」


 緒方君がそう言いながら、私を背後に回した。


 うーん。勝てないよね。でも、やるっきゃないよね。

 一つ有利なのはきっとこいつらは私が女の子だと思ってなめているところだよね。

 私は緒方君の背中に背中を合わせて、やつらと向き合った。

 よくあるよね。男の人たちの戦いの中で、味方の二人が背中を合わせるって。

 でも、それはお互いの力を信用していればこそ。

 緒方君はきっと、「何やってんだよ、こいつ」と思っているに違いない。

 そう。それはきっと、こいつらも。


 「関係ないのに手をつないで、一緒に下校かよ。

 だったら、俺とも手をつないでくれよ」


 私の近くにいた男子生徒が近寄ってきた。私は手にしていた鞄を地面に落とした。


 「おや、手をつないでくれるために、鞄を手放したの?

 それとも、怖くて力が抜けたのかな?」


 私は強く右手を握りしめると、右ひじを突き出し、体ごと見知らぬ男子生徒にぶつかって行った。

 私の右ひじが狙い通り、男子生徒ののどに突き刺さる。

 けほけほと涙目で、のどを両手で押える男子高生。

 突然の出来事に男子高生たちは一瞬呆然としていたけど、すぐに一人の男子高生が私を背後から羽交い絞めにした。

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