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証明された私の仮説

 そして三回目の試験の最終日。朝の日差しが窓から差し込むダイニング。昨日の今日とも違って、私は一昨日の今日と同じような時間にダイニングに下りて行った。

 朝の日差しが窓から差し込むダイニング。テーブルの上にはほかほかと湯気の上がっているごはんにお味噌汁。その前にはアジの干物と厚焼き玉子。私のお父さんが新聞を読みながら、お箸でご飯を口に運んでいる。お母さんはキッチンで私のお弁当を作ってくれている。

 私はTVに気を払いながらも、食事に注力。アジの干物の身をお箸で取っては口に運ぶ。TVのニュースはようやくアジアの国の新しい国家主席の話。

 来た、来た、来たぁ。

 私は全神経をテレビに集中させた。でも、私は昨日のように身を乗り出したりはしない。お箸を手にしたまま、口も全てを止めて、テレビをじっと見つめる。


 「県立大和水川高校生2名が暴走の巻き添えで死亡」


 やっぱり事故は起きたんだ。

 それはある意味、私にとってはがっかりな情報だったけど、これで諦めもつくと言うもの。あとは、あの二人が今回はどうやって死んだのかである。一昨日の今日とも、昨日の今日とも違う死に方なら、私の仮説は証明されたことになる。

 私が画面を注目していると、歩道に乗り上げ、前部が大破した車が映し出された。

 一昨日の今日とも、昨日の今日とも違う。また新しいパターン。やっぱ、未来は大きなイベントがつながって出来上がっているんだ。

 残念だけど、私はそう確信した。

 つまり、あのスイッチを使っても、大きく未来を変えることはできない。特に意味のない事しか、未来は変えられない。

 そう思っていると、画面にやはりあの二人の名前が表示された。

 安西翔太。

 山崎翼。

 ニュースでは暴走を見に来ていたギャラリーが集まっている場所に、暴走車が突っ込み、二人ははねられて死亡したと言う事だった。


 「はぁぁぁ」


 私は未来を変えられない事実にため息をつくしかなかった。

 もう役に立たない。そうは思っていても、手放すには惜しい気がする。とりあえずは、持っておこう。

 思わず私は一人で、大きく頷いていた。




 それから、何日か経った日だった。朝の教室で自分の机に両肘ついて、ぼんやりと黒板を眺めている。最近、気分が重い私はずっとそんな感じ。

 何かを見ている訳でもない私の焦点はぼんやりとした空間に合っていて、頭の中にはただ教室の雰囲気が映し出されているだけ。

 そんな中、教室内にざわめきが起きた。ざわざわしながら、皆が見ているのは教室のドアのあたり。 私がそこに目を向けた。

 えっ?

 緒方君?

 そう思って、一旦否定した。

 左頬のあたりに青あざをつくり、顔が腫れている。右目の周りにも大きな青あざが。足もどこか怪我しているのか、何か足取りもたどたどしい。

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