私って、鬼?
無残な試験最終日前日の結果。
それをまた繰り返して経験するなんて。自分のバカさ加減をまたまた認識して、気分は落ち込むばかり。それでも、やっぱり私は確かめたかった。
折角のあの装置が何の役にも立たないなんて、思いたくなかった。もう一度、もう一度だけ試してみたかった。担任が教室を見渡した。
「起立、礼。ありがとうございました」
「はぁぁ」
教室内にそんな声があふれた後、席を立つ音と私語が飛び交い、教室の中が一気に騒がしくなった。 私は席を立って、昨日の今日と同じように、このクラスの不良 安西の所に行った。
「ねぇ、安西君」
いかめしい顔つきで鞄を手に、椅子から立ち上がろうとしていた安西に話しかけた。ほぼ金髪と言っていいほどの長髪を揺らしながら、睨み付けるような目で私を見た。二度目の接触。しかも、私の忠告に従うなんて、実は臆病なところもありそう。そう思うと、怖さなんて感じない。昨日の私と違って、にこりと微笑んで名前を呼べた。
「ああ?」
「あのさ。
今日の夜なんだけど、埋め立て地の県道で暴走するのかな?」
「はぁ?
なんだ、てめぇ。
なんで、そんな事お前に言わなきゃなんねぇんだ」
「はは。そうなんだけどね」
そこに昨日の今日と同じで、山崎がやって来た。いかつい不良二人相手に、か弱い女の子。そんな私たちをクラスメートたちが何事?って感じで見つめている。真帆と夏織なんか、私の近くまで来て、心配そうに見ている。でも、大丈夫よ。私には自信がある。
「今日さ、埋め立て地の県道で暴走すると事故っちゃうよ。
そんな占い。
今日はさ、乗るのを止めた方がいいかなぁって」
「ざけてんのかぁ?
もっぺん言って見ろ。
そんなもの、誰が信じるかっつうの」
「黒の原付に乗ってないかな?
アニメの少女キャラを描いた」
「な、な、何だお前。
何言ってんだ」
「占いの人が、そんな原付に乗っている安西君と山崎君が赤信号無視して突っ込んだ交差点で事故るって、予言したんだよね。
でも、信号無視をしなかったとしても、乗ったら同じ結果になっちゃうから、乗らない方がいいと思うよ」
「だ、誰がそんな事言ってんだよ?」
「ごめん。
私も実はまた聞きなんだ。
でも、とにかく気を付けてね。
じゃ」
私は軽く手を上げて、その場を離れた。真帆と夏織が何してんのよぅと言うような表情で私に駆け寄ってきて、私の腕をとって引っ張った。安西たちは怪訝な表情でそんな私を見つめていた。
二人が私の話を信じる事はすでに証明済み。問題は私の話を信じた二人が今日はどんな行動をとるのか。そして、その結果、二人の運命はどうなるのか。
そう思った時、私ってもしかして鬼?って、思ってしまった。
二人の運命を知っていながら、それを助けると言う事より、どうなるかに興味を持つなんて。




