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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第三話】 追憶と、貧乏なのと・・・ほんの少しの将来への希望と不安
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追憶と、貧乏なのと・・・ほんの少しの将来への希望と不安 ―3―


「はあー。学校でそないなことがあったんか」

「うんうん! そいつヒドイ奴やろぅ?」

「まぁ~そうやけど……それは相手も悪いけど。コウちゃんも悪いな」

「そ……そうなんかぁ?」

「ああ、一言で言えばやり過ぎや。物で《ドつく》という所がなぁ。

まあ、ドついて気持ちの方は清々して良かったやろうけど♪」

 おっちゃん、そこでニッ♪と笑っとる。

「そ……そんなことはないんよ……ハ、ハハ」

 今日学校であったコト、話題のネタにしたら。おっちゃんがそう言って来よる。言われてみて、そうかな?って反省な気持ちが湧いた。

 ターメルの頭、割れてなければええんやけど……。

 でもまあ、学校戻って見たら。自分の《VRモニター》の射出面に『アホ!』て水性ペンで書いてあったからなぁ。心配せんでも憎たらしいくらいに元気やろ? モニタ画面開いたら、いきなり『アホ!』のでっかいのが映し出されてきよるから、びっくりするわ。

 仕返しに油性ペンで、ターメルんトコのVRモニターの射出面に『ドあほ!』って倍返しで書いたったから、明日どんな顔しよるか今から楽しみやなぁ♪ 


 でも……この件はおっちゃん達には言わんとこ……。言ったら間違いなく、叱られる気がするわ。

「でもコウちゃんは賢いんやから、多少勉強なんかせぇへんでも。学校の成績は、そこそこなんやろぅ?」

「そうやなぁー。コウちゃんしっかりしてるし。将来有望やで!」

「ぜ……全然、ぜんぜん!!」

 優秀どころか、ビリけつや……最下位もいいトコや。 思わずおっちゃん達に出した目の前の酒、飲み干したい気分にもなる……。

 顔も恥ずかしさで既に真っ赤や。まるで猿みたいや。

「またまたそんな謙遜しちゃって♪」

「全く、まったく♪」

 あ、アカン……こういう勘違いは、早めに取り除いとくに限る。

「ホンマよ、ホンマ!

今はそうでもないけど。一年半も前まで、色々と金の工面とか、この店出すための段取りやなんやで学校どころじゃなかったから。平気で週に一回しか学校行かへんかったこともあったし……。学校の授業とか習ってても、今はなんやよう分からんトコだらけで。分かるトコだけ頑張ってついていこうと努力だけはしてるけど。学校の成績は、落第点ギリギリで……」

 て言うより、落第点や……最悪。もうこんな言い訳でもしとかんと、恥ずかしゅうてたまらんもん。

 もう耳まで真っ赤や。ホンマに。

「そうかぁ~……そりゃあ~大変やったんやなぁー」

「オレらコウちゃんの家の事情もよう知らんと……好き勝手言っちゃって……なんやすまんかったなぁ……」

「ううん、いいんよ! 気にせんで、もう飲んだって♪ 食べたって♪ その方が自分、助かる♪」

ついでに儲かる♪

「ああ、そうやな! 過ぎ去ったこと気にしとってもしゃあーないしなぁ! 飲も! 飲も!」

「それにな。自分、たまにお客はんが話してくれる『けいざい』っていうのとか『せいさく』とかいう話をよく聞いてるから、なんや国語と社会だけはマシなんよ♪」

 事前に耳にしてる情報を目にすると、不思議と、頭に入り易いのや。

 他の教科に比べたら、壊滅的やない……て、だけやけどなぁ。

「ほぉおー! コウちゃん、そないにも難しい話に、もうからついて行けてるの?」

「そういう……訳でもないんやけどね。 なんとなくや、なんとなく! 分からんトコとかあったらな。その場でその人に聞いたり、学校の先生に次の日教えて貰ったり、他のお客はんに聞いたりしてな。コツコツとやけど、なんや身に付いとるみたいよ?

今でも、意味の理解出来んトコとか仰山あるけどな。結構楽しんで聞いてる♪」

 自分にとっては、一種の娯楽みたいなモンやからな。お金もかからんで、ええわ♪

「はあーこりゃたまげた」

「そりゃ凄いもんや! 天才やで、コウちゃん」

「デへへ♪ そりゃ流石におっちゃんら、言い過ぎやろぅ♪ 

でも、今日はもっともっと多目に言ってええんよ♪ 遠慮はいらん」

「そうかぁ~? よっ、天才!」

「コウちゃんは将来、大臣になれるで♪ 間違いないわ!」

「ホンマかぁ~? じゃ、このお好み焼きおごったるぅ~♪」

 ちょっとした出費やけど、まあええわ。お陰さんでちょっとええ思い出来たしね。たまには心のメンテナンスくらいしとかんと仕舞には病気になる──言うから、ありがたいくらいや。

 大体、学校のモニターでさえメンテナンスがある。自分にも、たまにはそのくらいあってええ筈やろ♪



あったらな。その場でその人に聞いたり、学校の先生に次の日教えて貰ったり、他のお客はんに聞いたりしてな。コツコツとやけど、なんや身に付いとるみたいよ♪

今でも、意味の理解出来んトコとか仰山(ぎょうさん)あるけどな。結構楽しんで聞いてる♪」

 自分にとっては、一種の娯楽みたいなモンやからな。お金もかからんでええわ♪

「ハーたまげた」

「そりゃ凄いもんや! 天才やでコウちゃん」

「デへへ♪

そりゃ流石におっちゃんら、言い過ぎやろ♪ 

でも、今日はもっともっと多目に言ってええんよ♪ 遠慮はいらん」

「そうかぁ~? よっ、天才!」

「コウちゃんは将来、大臣になれるで♪」

「ホンマかぁ~? じゃ、このお好み焼きおごったるわ♪」

 ちょっとした出費やけど、まあええわ。お陰さんでちょっとええ思い出来たしね。たまには心のメンテナンスくらいしとかんと仕舞には病気になる──言うから、良い思いしとかんとやっとられへん。

 大体、学校のモニターでさえメンテナンスあるくらいなんやからな。人間にもそのくらいあってええ筈やろ♪




「たっだいまぁ~♪」

「おう、コウ。今帰ったんか? ワシ腹減って死にそうや……。早よ、なんか作ってくれ!」

「早よ作れ、て……」

 人が仕事で疲れて帰って来たいうのに、家でゴロゴロしとるだけの奴がなんもせんと『メシ作れ』てなんや……。意味が分からん。

勘兄(かんにぃ)。もう二十二時やで。なんでまだ食べとらんのや?」

「あほ。可愛い弟がまが食べとらんのに、兄であるワシが一人で喰える訳ないやろ」

 そんならせめて、食べるモン温めて用意しとってくれてもええやろうに……(汗)

「言うとくけど自分、もう食べて来たど」

「なにッ?! お……お前一人でか??」

「そうや。お客はんと一緒にな♪ 別にいつもの事やろ? なに今更驚いとんの」

「お……お前! 兄一人食べさせんと、何一人で食べて来とるんや!」

「人聞きの悪いこと言わんでよ(汗) 事情知らん人が聞いたら、自分、最悪な人間やと思われるやないの」

「なに言うてまんのや。実際、最悪やろ。自分一人食べて、弟帰るまで我慢に我慢重ねとった優しい~実の兄にはモノも喰わせん。

これは事実や! 現実や! 横暴や!」

 どっちが横暴やねん。ホンマに……たまらんなぁ~もう……。

「わかったわかった。今からお好み焼き作ったるから、ちょい待っとき。

タマ。今からお好み焼き作るから、悪いけど鉄板焼きまたここに置いて」

『こんな奴にか? ほっといたら??』

「そうもいかんのや……あほやから、また騒ぐ」

「わぁ~い、わぁ~い♪ これだからコウちゃん好きーっ」

 別に好かれたい思わんわ、もぅ……(汗)


 はぁ……いつまでこんな暮らしが続くんやろ? ずっとやったら自分、最悪な人生やで。ホンマに……。


  ◇ ◇ ◇


「たっだいまぁあ~♪」

「おう、コウ。今帰ったんかぁ? ワシ腹減って死にそうや……。早よ、なんか作ってくれ!」

「早よぅ作れ、て……なんでや?」

 人が仕事で疲れて帰って来たというのに、家でゴロゴロしとるだけの奴がなんもせんと『メシ作れ』てなんや……。意味が分からん。


勘兄(かんにぃ)。もう二十二時やでぇ……なんでまだ食べてへんのやぁ?」

「あほ。可愛い弟がまだ食べとらんのに、兄であるワシが一人で喰える訳ないやろ」

 そんならせめて、食べるモン温めて用意しとってくれてもええやろうに……。


「あのなぁ自分、もぅ食べて来たど……」

「なにッ?! お……お前、一人でか??」

「ちゃう。お客はんと一緒にやぁ♪ 別にいつものコトやろぅ? なに今更驚いてんの。意味がわからんわぁ~」

「お……お前! 兄一人食べさせんと、何一人で食べて来てんのや!」

「ひ、人聞きの悪いこと言わんでぇ……。事情知らん人が聞いたら、自分、最悪な人間やと思われるやないの」

「なに言うてまんのや。実際、最悪やろ。自分一人食べて、弟帰るまで我慢に我慢重ねとった優しい~実の兄にはモノも喰わせん。

これは事実や! 現実や! 横暴や!」

 ど、どっちが横暴や。ホンマに……たまらんなぁ~もぅ……。

「わかった、わかった。今からお好み焼き作ったるから、ちょい待っとき。

タマ。今からお好み焼き作るから、悪いけど鉄板焼きまたここに置いて」

『こんな奴にかぁ? もぅ、ほっといたら??』

「そうもいかんのや……アホやから、また騒ぐ」

「うわぁあ~い、わぁあ~い♪ これだからコウちゃん好きぃーっ」

 別に好かれたいとか思わんわ、もぅ……。


 はぁ……いつまでこんな暮らしが続くんやろかぁ? ずっとこんなやったら自分、最悪な人生やで。ホンマに……。






          『―コウの歌―』~愛さえあれば~


     愛さえ、あ・れ・ば♪ 生きて、ゆけ・るっ・さっ♪

     ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~♪

     心が、いっまっは(今は)、【HOPホップ】な きっぶっんっ(気分)! 

     ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~~~♪


          不安なことも時にはあっるー

          泣きたいことも時にはあっるー

          そんな時は笑って遊んでぇ~

          そんな思い、弾き飛ばそうよ!


     愛さえ、あ・れ・ば♪ 生きて、ゆけ・るっ・さっ♪

     ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~♪

     心が、いっまっは(今は)、【HOPホップ】な きっぶっんっ(気分)! 

     ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~~~♪


     ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~~~♪




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