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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第三話】 追憶と、貧乏なのと・・・ほんの少しの将来への希望と不安
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追憶と、貧乏なのと・・・ほんの少しの将来への希望と不安 ―2―


 自分が行っとる学校は、州立(州合体:管轄)の小学校で、教室に黒板なんてモノはない。

 大型VRモニター画面にタッチし、先生は教え。自分らは各机に置いてある、本来なんもない空間に映像を映し出す《VRモニター》っていう画面を見ながら授業を受けとる。

 ノートなんて骨董なモンはなくて、記憶用メモリーで持ち帰るのがこの時代の当たり前な授業風景や。

 もっと進んだ学校はもっと進んだやり方でやってるらしいけどなぁ。よう知らん。関係ないし。どうでもええもん。

 それよりも目の前の問題の方が大変なんや!

「あかん……とうとうメモリー一杯か。それにしても、なんつぅー悪いタイミングなんやろなぁー」

 まあもうそろそろ一年目やし、買う時期なんやけど……今日受けた授業の半分位は、持ち帰れへん。

 でも先生が、明日メンテとか言うのがあるから今日は念の為、データを全部メモリーに移しとくように、て言うてたし……。

 まあ~しゃあないわぁ。一旦帰って、勿体ないけどメモリ買い足して、また学校戻って来よ。


 ───ドン☆ グシャッ、パキン☆


「……うああぁあああぁあぁああああああ!!」

 メモリを取り出し、帰ろ、と立ち上がって席外れようとした所へ。誰かがぶつかって来て、自分がメモリ落とし。そのメモリーを、しかもそいつが踏み潰しよった!!!

「な……なにしてんねん!!」


 ──ガンン☆!


 頭きて、ド頭にカバンぶつけてやった。

 よう見たら、自分の隣の席に座るターメルや!

「いッ……痛ったいな! いきなしなにするんやぁ!! コウのドあほ」

「なにするやない。コレ、見てみ! 悲惨や!!」

 もうグシャグシャになったメモリの残骸がそこにはあった。


「……なんやコレ? ゴミかぁ?」

「メモリや!!」

「めもり……。お前、メモリ壊されたくらいでこんな暴力ふるったんかぁ?!」

「当たり前や! これ、一年分近くのデータ入ってたんやどぉ。どうしてくれんねん! 謝れ☆」

「なんでお前に、オレが謝らなあかんのや。

オレ、今、お前から頭ドつかれたんやど。謝って欲しいのは、こっちの方や。

大体が一年分って、お前なぁ……。別に家に帰れば、バックアップくらいあるやろ? それなら別にかまへんやないか」

「ぅ……」

「ハ? 

ハハ、お前まさか。バックアップもしとらんかったんか? ホンマのアホやなぁあー。

それとも何やぁ? 実は家にバックアップする端末もない、言うんやないやろなぁ? 今時。

そう言えばお前ン家、貧乏やったな。そりゃ無くても当たり前かぁ♪ 

恥やなぁあ~恥や♪」

「う……うるはいわい!!!」


 ──ゴンンッツ☆!!


 ターメルのドあほ、またドついたった。

 けど、図星や……家にない。メモリ壊れたら、もうどないしようもない……ホンマ、恥や。

「お……お前、本当のこと言われて。こないなことしよってからに、本当に最低な奴やな!☆」

「…………」

 言いながらターメルのあほ、泣きかぶっとる。情っさけない奴やなぁ~。

「大体お前、どの道データなんかあった所で。家帰って、勉強なんかしてないやろ!」

「ぅう……」

 し……してないんやない。す、する暇がないだけやあ! 

 い……言い訳やけど…。

「勉強もせんのに、データないとか。メモリー壊されたとか。何言うてんのか、オレには意味分からへんわ♪ ナハハハハハ! 

アホー♪ アホー♪ コウのドあほぅ~♪」

 ぐぅ~~……調子こいて来とる。図星やけど、腹立つなぁ~コイツはホンマに。性悪もここまで来ると、天性や。

「そもそも毎回テストで0点ばっかり取ってるお前が、勉強とかして意味あんの?

やめとき、やめとき。やるだけムダやぁあ♪ そもそもお前の場合はな──」


 ──グワツン☆☆………ミシッ


「死んだれ、ドアホ!」

 ターメルのド頭ぶちかまして帰ることにした。

 メモリー買って、また学校に戻らなあかんし。いつまでもこんなアホの相手しとれへん。仕事かてあるのやからな! 自分、メチャメチャ忙しいねん。ターメルの相手なんかしとられるか!





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