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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第二話】 連合公務員のおっちゃん
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連合公務員のおっちゃん ―4―


「たっだいまあー♪」

 機嫌よう帰ったら勘兄(かんにぃ)がおった。いつもの如くなんもせんと、ゴロゴロしてテレビばっか観とる。

「おう! 今帰ったんか。今日はどえらい遅かったやんけ。

あ──お前っ、まさか!」

「ま、まさか、ってなんやぁ??」

 そんな言われ方されて、自分、一瞬どえらい悪いことでもしたんやろかぁ?? と思ったら。

「どっかええトコに一人、遊びに行っとったんやないやろなぁ??」


 ──ドテッ★


「遊びいくなら行くで、ちゃんとお兄ちゃんも、連れてってよ! 

なんや自分、寂しいやんけ」

「あんまアホ言うなや☆ 今日は新規の上得意さんが来て。遅くまでよう食べ、よう喋って、機嫌よう帰ったんや。

勘兄のコトまで聞いて来たからなぁ、うちの悲惨な現状まで聞いといて貰っといたわ。

エラい、ええ客やったでぇ~♪

なんや色々と、普段から溜まっとった勘兄に対する、自分の中の鬱憤みたいなものまで素直に話し聞いて貰ろうたらなぁあ~。なんや気分までようなったしなぁ~。気ぃ~軽くなった感じがすっごくあるし。たまにはこういうモンも『ええもんやなぁあ~』て、素直に思うたわぁ♪

よっぽど勘兄のコトで、ストレスっちゅーもんが自分、たまっとったんろかなぁ~? 

はぁ~ホンに、今日は気分も清々(せいせい)してスッキリとしたわ♪」

「な、なんやとぉおー?!」

「──!?★」

 気分よう話しとったら、なんや急に勘兄の奴、凄い剣幕や。

「いくら聞かれたからって、他人様にうちの恥、わざわざ話すアホがどこにおんねん!★

そこは黙って『うちの家内の事情です……』って言うたればええんじゃボケ☆」

「…………」

 恥って……なんや一応、自覚はしてたんやな?

 でも、自覚しとってコレか……なおさら、たち悪いと思えるで、ホンマに。

「少しは恥やと自覚しとるんやったら。そこ、直したらエエやないの?

なんで自分がそこ我慢せなアカンのぉ? 意味分からへんわ~」

「そんなの決まっとるやないけ!」


 決まっ……何が決まっとるの??


「弟が実の兄の為に働く。

コレ、《兄弟愛》って奴や! それの何が悪いねん!」


 あ、あかん……急に頭、痛とうなってきた……。


「あんまりアホなこと言わんといて!

それから自分、究極に疲れてるんやから。勘兄、早く布団敷いてよ。

その間にちょっとだけ、風呂浴びて体拭いてくるから」

「バカタレ☆ 自分の事くらい自分でせんで、一人前の男にはなれへんど!

今からちゃんとやっとき!」

「じ、自分のコトくらいて……」

 自分の世話一つようできてへんモンが、なに言うてんのやぁ~。

 もう言うてること、メチャクチャやろ……? ちょっと機嫌損ねると直ぐコレやから困る。

「もう相手しとれへんわぁ……自分で布団敷いて、勝手に寝ることにする」

「ああ、寝ろ寝ろ! 子供は寝るんが仕事じゃ! ナッハッハ♪」


 よう言うわ! 

 いつも家の仕事しとるのは、自分の方やないの。寝る方の仕事の時間なんか、削って生きとるくらいなんやどぉー☆ 


 サッサと布団敷いてその中に潜った。

 なんやもぅ~、全てがいやになりそうやわ。なんか自分、一人頑張ってアホみたいや……。

 神様お願いします。自分にドラえもん下さい。

 ホンマに頼みますよって……!


「はぁ~……お父はん、お母はん……なんで帰って来んの? 早よぅ帰って来てぇ……」





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