《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》 ―9―
……よかったわぁ~。分かってくれたんやな。
分かったら早よぅ、行かなアカンで、おっちゃん!! 急がな遅れる。
「今、コウの奴。なんと言ったんでっか?」
「ハハ。『もう心配はないから、大丈夫ですよ♪』って言ってます」
──へ?! ちょっ!? 今のうそや! デタラメや!! ホーキンのおっちゃんも、メチャメチャやぁあー!
「そうなんですかぁ? やぁ~、それはよかったですわぁ。ホンマにぃ~」
「うんうん♪ 全くやなぁ~!」
なぁに、納得してるのやぁあッ?! 今のデタラメやでぇー!!
もうメチャメチャやぁ~。もうみんなイヤやぁ~。
自分がそう怒っとると、ホーキンのおっちゃんが耳元で突然にこう囁いてきた。
「コウくん、聞こえてる?」
……聞こえてるわ! この大ウソつき! もうキライやぁあー!! 折角、人が親切で心配してやったのになんや!
ホーキンのおっちゃんなんてもう知らん、大キライやぁああー!!!
「そんな夢なんてね。その内、機会さえあればいつか叶う事もあるから、別にいいんだよ。
でもね。コウくんとの今は、今のこの瞬間しかないでしょう?」
……え?
「よぉーし! 外のみんな、早く、中に入って来てぇー!!」
──ガラッ☆
「なんや。安静に、って言うから外で静かに待機しとったのに。もぅ、良いんかい?」
アレ? この声……いつも、鉄板に来てくれてる……。
「やあやあー。コウの大将が倒れた、って聞いて。もぅびっくりしちゃったよ」
シ……シンゴ兄ちゃんかぁ~?
「いやぁあ~、ホンマに。よかったわぁー! これで逝ってもうたら、自分のせいかと思うて、ホンマに自分の方が精神的に逝って死んでまいそうやったでぇ~♪」
──ゴンンッツ!!☆☆
「逝く、とか。死ぬ、とか。縁起でもないこと、言うなやぁあー!?」
「あ……すんません」
アハハ♪ みんな……みんな、わざわざ来てくれたんかぁ……?
そんな騒がしい病室の中、ホーキンのおっちゃんが、自分の耳元で再びこう言った。
「分かるかい? コウくん。これがコウくんの、〝命の重さ〟なんだよ♪
それに比べたら、ワタシの夢なんて、小さなモンさ!」
「……」
そんなコト……。
そんなコトない……そんなコトないで、ホーキンのおっちゃん。
コレは自分の重さ、なんかやない……そないな小さなモノやないのや。これはみんなの、みんなの……。一人ひとり、みんなの……。
〝気持ちの重たさやぁ──!!〟
《挿入歌》
心に、あっ、いっ、がっ(愛が)♪ 芽生え、始・めっ・たっ♪
ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~♪
心が、いっまっは(今は)、【HOP】な きっぶっんっ(気分)!
ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~~~♪
苦しいことも時にはあっるー
悲しいことも時にはあっるー
そんな時は泣いて笑ってぇー
そんな思い、洗い流そうよ!
「あら、この子。急に泣いちゃって……よっぽど今まで、辛かったのやろうねぇ……?」
「……うん。もっとこの子のこと。大事にせなアカンなぁー、オレたち」
「ホンマやなぁ……」
そうやない……そうやないのや、おばはん。そういう涙と、今のは違うんや……!
嬉しいことも時にはあっるー
楽しいことも時にはあっるー
そんな時は皆と手繋いでぇー
この思いを、広げ伝えたいよ!
心に、あっ、いっ、がっ(愛が)♪ 芽生えて、いっ・たっ・らっ(行ったら)♪
ほぅ~ら、ボクを~見ぃ~てぇ~ごーーらん~~~♪
心が、いっまっは(今は)、【HOP】な きっぶっんっ(気分)!
ほぅ~ら、その手を~掴んでぇ~ごーーらん~~~♪
ほぅ~ら、この手を~繋いでぇ~ごーーらん~~~♪
そ~の~思いを~、繋げてぇーごーーらん~~~♪
「コウちゃん。みんなの声、いま、聞こえてる?
みんな、コウちゃんの笑顔が早く見たいって言ってるよ? だから早く、元気になってね」
ホーキンのおっちゃん……つくづく、大ウソつきや。
……でも、みんな……みんなどの道、勘違いもいいトコやなぁー……。
この時、自分、つくづくそう思うたのや。でも……みんなの気持ち、ホンマにホンマ。嬉しいでぇー!




