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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第八話】『クレイドル スペシャル!』 《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》
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《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》 ―8―


「しっかし……全く、目も覚まさんなぁ~」

 ……え? いや、自分なら起きてるで……なにを言うてるのやぁ??

「栄養失調に、極度の疲労とストレス……医者の話を聞いてたら、メチャメチャ最近無理していたみたいやど」

「ええ……私がもっと早くに、コウの異変に気づいて上げていたら……」

「気にすなっ。一番悪いのは、この勘や!」


  ──ガラッ☆


「コウくん!」

 ホーキンのおっちゃんの声や。

「あ、どうもこれはおはようさまぁー。ところで、あの……あなたは?」

「あ、おはようございます! 失礼しました。ワタシは、カナワン・ホースキンと申します。

いつもコウくんには、鉄板の方で大変お世話になっておりまして……。

昨晩遅く、コウくんが倒れたと聞いて。それで……少し来るのが遅れてしまいましたが」

「それはわざわざどうも、ありがとうございます。

でも、ご覧の通りでして……まだ本人は、一向に目を覚ます気配もなく……」

「はぁ……一昨日の夜、会った時、少し様子が変だとは感じていたのですが……」

 だから自分は大丈夫や。気にせんでええよ。

 それよりもホーキンのおっちゃん。軍用艦船で、首都星のファシスまで行くんやなかったかぁ?

 軍用艦船に乗るのが、ホーキンのおっちゃんの夢やったのやろぅ?? 

「あの、それで……倒れた原因は?」

「ええ、それが……栄養失調と」

 栄養、って……そういえば、この前まで生活苦しかったモンやからついつい自分の食事減らしてたモンなぁ~。アレがちょっと、まずかったんかなぁ……? そのあとも、なんや疲れてて食欲なかったからなぁ。

 考えたら、ちゃんと食べてなかったわ。

 アカンなぁ……自分の体調管理、ちゃんと出来てへんかったわ。堪忍や、おじさんおばさん。今度からちゃんとやりますよって、許したってやぁ~。

「そればかりではなく。極度の過労とストレス……相当この子は最近無理してたみたいで」

「そう……でしたか」


  ピリリリン☆ ピリリリン☆


 なんや着信みたいな音が急にした。

「あ、すみません。ちょっとここで失礼をさせて頂きます。

はい、ホースキンです。はい。ええ……今回はちょっと、誠に申し訳ないのですが。どうしても外せない用事が出来てしまい……はい、はい。本当に、最新配備のUAFAまで突然に使わせて頂き、ご迷惑までお掛けしまして。はい、はい。それについても大変、ありがとうございました。本当に助かりました。艦長の方にも、出来ましたらよろしくお伝えください。

はい、はい。では、失礼します。どうも本当に、ありがとうございました」


 外せない用事て、なんや?? なにを言うてるのや……まさか、自分のせいか?


「仕事の方は、大丈夫なんですかぁ?」

「ええ。全然、問題はありませんよ。そもそもどうしても、という程のコトでもなかったので。

それにこのまま行っても、気になって仕事に集中できませんからね。

今はコウくんの方が、なによりも心配ですから……」

 なにを言うてるのや……アホやな、ホーキンのおっちゃんは! 今日は軍用艦船に乗る日なんやろう??

 なんでそないに簡単に……自分の夢を、諦められるのや!!

「──あ……。コウの口が、今……微かにやけど、動きましたわぁ……」

「はぁ……よかった。本当に、動いてる」

「でも、なにを言うてるのか。サッパリ分かりませんなぁ?」

「〝ほ〟、と、いま言うてたみたいですけど?」

「ん? 今、〝ば〟って聞こえたなぁ?」

「そぅですかぁ? ン~……。

ば……か? ……ほ…ほぅ……? ほー……き…ん? の……お…ち……ゃん?」

「ば、か、ほ、ほぅ、ほーきんの、おっちゃん……て、なんのことや??」

「え? 今のもしかして、ワタシのコトでしょうか??」


 ホーキンのおっちゃんが、次に近づいて来るのが分かった。だから思いっきり、自分、言うてやった。

 

〝なにをやってるのや!! 早よぅ、宇宙へ行って乗らな!〟

「な、に……や…って………は…はよ……う、ちゅう……へ…はょ…」

〝だって夢なんやろう?? それがホーキンのおっちゃんの、『夢』なんやろう!!!〟

ゆ……ゆ、め……なん、やろぅ…………ほ…キ…ちゃ……はょ…」

「……うん。ハハ! そうだね。よく、わかったよ、コウくん♪」



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