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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第八話】『クレイドル スペシャル!』 《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》
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《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》 ―7―


 それから次の日、朝日も昇らん内から牛乳配達。それから学校で寝て、またターメルをド突き! 先生に怒られ……。散々な思いで、今は夜の鉄板や。

 流石に今日辺り、ウトウトと眠たくて、疲れてきとる。

「コウちゃん、コウちゃん」

「は……はいっ!! もうターメルの頭、ド突いたりしません!!」

「……ハ? イキナリ、なんの話やぁ?」

「これはアカン。コウちゃん、完全に疲れてるのやろぅ?

今日はもうお店、休んじゃったら??」

「──ハッ!? だ、だいじょうぶいッ!!」

「だいじょうぶい、って……。こりゃホンマに、アカンなぁー。ダメだめや」

 大丈夫でピースしたら、おっちゃんらに呆れられてしもうたわ。失敗や。

「とにかく、配達ロボットの方は直ったから。もう明日からはいいよ、コウちゃん♪」

「……え? それ、どういうコト??」

「いや、そやからな。配達ロボットが今日、昼過ぎにメーカーの修理から戻って来たのや。そやから明日からは、早起きしなくてもいいよ♪ 

今日まで本当にありがとうございます。助かりましたわ、ホンマに♪」

「ん……ぅん……?」


 それって………あ、そういうコトかぁ……。


「コウちゃん、今日はそのイカだけ食べ終わったら自分たちも帰るから。コウちゃんも今日は、もう早目に帰って、休んだら? 疲れとるのやろぅ?」

「そうやな。なんや随分と疲れが顔に出てるし、ホンマに。体は大事にせな」

「ん……ぅん……」

 ほんなら明日から、アレかぁ……もう、ないんか……。

「なんやホラ、元気ないもんな? やっぱりコウちゃん。疲れとるのやで」

「毎朝、早くからの牛乳配達やったからなぁ……。エライ悪いコトしてしもうたで、ホンマに」

「全くだ。そもそもアンタがやればいいのに、コウちゃんにそれをやらせたのやからなぁー」

「そないな言い方ってないやろ?

なぁ~? コウちゃ……ちょっ──!?」


 アカン……もぅ、ダメや………。


「──コウちゃん。ちょっと、しっかりしッ!!」

「と、とにかく。救急車や!! 急げッ!! 早よするんや!!!」

「わ、分かった! 任しときー!!」

 なんや遠くで、そんなおっちゃんらの声が聞こえた……。

 でも、自分は大丈夫やぁ。平気やで。全然、大したコトないわぁー♪ 楽勝やでぇ~♪


「コウ……しっかりし。コウ……」

 なんや、おばさんの声が聞こて来る。おばさんが近くにおるのかと思うと、なんや気持ちがそれだけで楽になるわ。

 幸せな感じや。

「こりゃ、アカンな……くそっ、あの勘めッ! こんな時に、どこへ行ったのやあッ!?」

 おじさんや。なんや怒ってるなぁ……なんでやろ?? またなんかやってしもうたかなぁ??


  ──ガラッ☆


「なんや、おじさんにおばはん。来とったんか?」

「来とったんか、やないでぇー! こンのボケ!!」


  ──グワアンッツ!!☆


「い、痛いやんけぇえー!!」

「痛いやないわあー! 今まで病人ほったらかしにし、どこへ行っとったのやあー!?」

「メ、メシ喰いにや……なんや、文句あるの?」


  ──ゴオンンッツ!!☆


「コウが栄養失調で倒れた、って時に。なにを寝ぼけたコトをお前は抜かしとるのやぁー!?」

「そ、そないなコト言われたかて……ここで自分も食べなかったら、自分まで栄養失調で倒れちゃう、かもですよ?」

「そんなモン。全然、構わへんわ。お前が倒れたところで、誰も周りは悲しみもせん!」

「──ぬ、ぬわああぁッ!?☆」

「そもそも、コウとお前を同列に比べるコト自体が間違ってるやろ。そのコトに気づかん内は、お前は全く、ダメなままやろうな」

「そ、そこまで言うかぁあー!?」

「言われても仕方のないことを、普段からやっとるからやろ」

「まあまあ……とにかく今は。コウが目を覚ますのを、皆で神様にでも願っときましょう?」

「そやな……こんなアホに構っとっても、何の意味もないからな。ムダや」

「お……お……言うとくけど、自分だってなぁーッ!!」

「自分だって、なんや? 言うてみ。鼻ほじりながらでも、聞いといてやるわ」

「……コウの事を、心配してるのや」


  ──ぶわあきゃッツ!!☆


「そんなモン、当たり前やろ! これで、心配もしとらんとか抜かしたら。その場でお前、首絞めたるど、ホンマに!!」

「そ、そこまでいうかぁあー?!」

 ハハ……なんや知らんけど。勘兄がメチャメチャおじさんから怒られとるみたいやなぁ。

 なんや、いい気味やで、ホンマに♪ でも自分は元気で大丈夫やから、安心したってやぁー。



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