《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》 ―5―
「コウちゃん、お好み焼きくれっ! あと、酒もなぁー!!」
「はい、はい!」
「コウちゃん、酒や! それも大御所やど!! 今日はあるんやろう??」
「ほいっ! おまっとさん♪」
「……ホンマにあったんか。じゃあ、あの噂は本当なんかな……」
「噂て、なんや?」
「……なんでもないわ。とにかく今日は、ワシが酒というたら、大御所をくれ! 今日はそんな気分なんや」
なんやねん、一体?? まあ儲けて自分、助かるからええけどなぁ♪
「そんならコウちゃん。オレにも大御所や! あと、イカもな」
「あいよっ♪」
なんや今日はえらい大繁盛やでぇー! 助かるわぁあ~。
あ、でも……。
「おっちゃん……。さっきから高カロリーなモンばっか食べとるから、野菜たっぷりの《コウ特製お好み焼き》でも食べたがええよ。
心配せんでも、コレ。自分のおごりや! サービスにしといたるからなぁ♪」
「わはは♪ じゃあー遠慮なく、それも頂くよ」
「アホ!! 毎回そんなんやから、儲けが少ないんやろッ?!」
「──!?」
な、なんやねん急に……隣のおっちゃんが怒りよる。
「なにを怒りよるのや? おっちゃん」
「なんでもないわ……。今日は気分が悪いから、やっぱりこれで帰ることにするわ。
ま……雰囲気を害して悪かったな、コウちゃん。許したってくれ。
コレ、今日の分のお代な。あと、明日も来るから。ちゃんと大御所も仕入れとき!」
「う、ぅん……」
なんや自分、おっちゃんの気分を損ねる様なコトしてしもうたんやろうかぁ……アレ?
「ちょっと、おっちゃん! お釣り!! これ、メッチャ多いでぇえー!」
「そんな小銭なんぞ、いらん! 邪魔なだけや、とっとき!!」
「小銭、て……」
5千円は、いくらなんでも大過ぎやろぅ。小銭ていうレベルかぁあ? まあ、『明日も来る』って言うから。その時にその分、サービスしたら良いか♪
機嫌よぅして貰わんとなぁ~。
「……それはそうと、コウちゃん?」
「ん? なんや??」
「ソレ……ちょっと、コゲてない? 端っこの方、真っ黒の炭になってるで」
「あ……」
また、やってしもうたわ!!
「だ、だいじょうぶ!! か――かんぺきや!!!」
「え? なにがや??」
「し、知らんの? 今はちょっとコゲてる位のが流行ってるんやでぇ♪」
大嘘や、最低や、デタラメや!! おっちゃん、ごめん……。
取りあえずなんとか誤魔化したって、サービスもようして。機嫌よぅ、帰ってもらった。結局のところ今日もちーとばかし赤字になってもうた。
他のお客さんも帰ったし。なんや自分、疲れてるみたいやし。今日はもう鉄板閉めようかなぁ……。
と、そんなことを独り思うてたら。
「よっと」
「ん? なんや、ホーキンのおっちゃん。お久しぶりぃ~♪」
「ああ、ハハ♪ 久しぶりだねぇ~」
2週間振りくらいやろうかぁ?
「最近、あんまり来てへんかったけど。急がしかったんかぁ?」
「うん、色々とね。コウくんの方は、最近どうだったの?」
最近……は、別として。
「〝今〟は、ええ感じやぁ♪」
「今は?? ということは何? その前はちょっとよくなかったの?」
「……ぅ」
おばさんといい、ホーキンのおっちゃんといい。どんだけ勘が良いのやら。
「いや、今のは間違いや。手違い、って奴や! 勘違いや!! ずっとええ感じやでぇ~、ホンマに♪ ナハハ!」
「ふぅん……。それならいいんだけど」
なんやホーキンのおっちゃんも、疑り深い目で見よるなぁー……。とにかくここは、テキトーに誤魔化しとこ。
「取り敢えず、お好み焼き食べるか? 久しぶりやからコレ、特別サービスにしとくわ♪」
「だからそれは、ダメなんだ。ちゃんと払います。あとそれと、イカもください」
「はいなぁー♪ お酒は? 今日は、大御所もあるよ♪」
「いや、このあとまた仕事でね……。コウくんは《銀河惑星連合》の首都星ってどこか、知ってる?」
「え? エト……どこでしたっけぇ?」
恥や……恥さらしや、自分!
「ハハ♪ 惑星ファシスだよ。ちょっとそこへ1週間くらい行かなくちゃならなくなってさ。
それで今、忙しいし」
「はぁー……。出張ってやつぅ?」
「そうそう♪ 自分はどうも、《オーバードライブ》酔いをしちゃう体質みたいだから。今日の内から体調を整えとかないとね」
オーバードライブかぁ……。




