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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第八話】『クレイドル スペシャル!』 《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》
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《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》 ―3― 


「コウちゃんが素直に言うてくれんから、自分ら、危うく『人でなし』になるトコやったやないかぁー!!」

「全くやで」

 人でなして……。なにもそこまで重たらしく感じるコトないやろうに……。

「ホントに、ホント! 大丈夫なんやから、気にせんといてやぁー♪」

「いいや、気にする。気になるわい。顔が『大丈夫やない』て言うてるモンな!」

「ホンマやホンマ。コウちゃんの気持ち、手に取るように伝わってくるわ」

 おっちゃんら……超能力者かいな。

「それは勘違い。気のせい、というものや! 人間、1度そう思い始めると、もぅそういう風にしか見えへんようになる、って誰かが言うてたよ!」

「なんや……随分とややこしいコト、ゴネよるなぁ……」

「コウちゃんて。そういうトコ、素直じゃないんだよなぁ」

「そんなこと……言われたかて……ホンマに、困るモン…」

 そもそも、そないなコトを言うたところで、どないにもならんのや。『だからお金ください♪』とか、まさか言えへんし。そんなコトで変に気を使われて、ムダに飲食されてもなぁ……。

 そりゃあ、その気持ちは嬉しいけど。そないな自分が、そないなコトされてる自分がや、惨めに思えてくるモン。

 本当に、美味しいと思って食べてくれる。

 本当に、ここでのお酒は『美味い!』と思って、飲んでくれる。

 あんまりムダなプライドなんか持っていられるほど、今の自分には生活の余裕なんてないけど。それでもや、ここでこうやって鉄板やってる以上は、そのくらいの心の意気みたいなのがないと。自分で自分の心を、支えていけなくなる気がするのや。


    『コウちゃん。このお好み焼き、ホンマに美味しいで!』

        『ここで飲む酒が、一番やなぁー♪』


 そう言って貰えた時が、自分、一番嬉しいモン。同情なんかで飲み食いされても……そんなの、悲しいだけや。なんやそういうの、嫌やモン。

「コウちゃん。困った時は、お互い様やで。なんも遠慮せんと、困った時にはオレらに相談するんやど」

「そうやで、コウちゃん。コウちゃんがそんなんで、店をたたまなくちゃならない、とかなるのがオレらからしたら。一番困るのやからなぁー」

「……え?」

「全くやな。

コウちゃんトコで飲む酒が、一番やし。コウちゃんの焼くお好み焼きが、一番なんやからな」

「そやけど今日のはちょっと、コゲてたけどな♪ わはは!」

「あ、あはは!♪」

 なんや良いタイミングで、嬉しいコト言うてくれよるわ。

「そ、そう? 

なんや嬉しいから、おっちゃんらにこのイカもサービスしといたるわぁあ~♪」

 大赤字やけど、まあええわ♪ 明日は明日の風が吹く、って言うしなぁあ~。

「おお! ゴチになりますわ~♪」

「いつも、すまんねぇー。

じゃあ、この際テキトーなお酒を頂きますわ! もちろんコレは、自腹やで」

「はいな! まいどぉー♪」

「まあ、実際。お金に困ってるんなら相談しぃな?」

「そうそう。今は特に、コイツなんか配達で大変なんやから。安いけど、仕事もあるしなぁ~♪」

 ……仕事かぁ。

「……因みに。もし、自分が『その配達やる』って言うたら。1本あたり、どの位くれるのや?」

「え? そうだなぁ……。1本あたり、5円が相場だけど。コウちゃんなら、10円払うわ」

「10円て、セコイこと言わず。20円くらい、払ったりぃな!」

「あほ言うな。20円は、流石に厳しいわ! でも、そうだなぁー……。

15円……までなら、なんとか出せるか。儲けも損もない、ギリギリのラインやな。メンテ代その他考えたら赤字やけど、今はホンマに、それでも助かるのやから」

「……15円。因みに、それ何本や?」

「300本の100軒くらいやな。だから……単純に4千500円か?」

 

  ──4千と500円!!?


 それ……今やと、メチャめちゃ家計的に助かる!!

「そやけど、100軒の300本とか。流石にコウちゃん一人じゃ、無理だろうしなぁー♪」

「──おっちゃん。それ、やるわ!! 自分に、任せときぃー♪!」

「……はぁ?」


 まぁ、そないな訳で。しばらく自分が日も昇らん暗い内から牛乳配達をすることになったのや。





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