【第二話】 連合公務員のおっちゃん ―1―
学校は午後の三時には終わる。
普通の家の子は、それから塾とかに行くけど。自分の場合は、これから鉄板の具材を仕入れに行かなぁアカン。
仕入れといっても、自分のおばが店をやってるから、そこから安くいつも仕入れてる。
お好み焼きの材料代なんて、実は百五十円程度なんやけど。これを三百八十円で焼いて売ったって、それでお客はんからは『安い!』って喜ばれてる。
自分はなかなかの商売上手よ♪
凄いやろ? 遠慮せんで、褒めたってやぁー♪
しかも《鉄板焼き》っていうだけで、なんやムダに高級至高なイメージあるみたいやからなぁあ~。
これの屋台なんて斬新で珍しいによって、いつも客には困らんしなぁあ~。
「そうは言うても、あの勘のせいで。コウばかり苦労してるんやないの?」
「苦労ぅ? そんなの当然しとるよ。もうイヤになるほどな。うんざりもしとる。
誰か〝アレ〟つくづく何とかして欲しい毎日思うて生きとるわぁー」
「…………」
おばはん、なんや頭をそこで大いに抱えての悩み顔や。
「ま、まあ……そうやねぇ~。なんやったら《アレ》、うちで雇って上げてもええんよ?」
「あはは♪ おばはん、そんな無理せんでええわ。どうせあんなの雇っても、サボってばっかで大して役にも立たんやろうし。それやとおばはんの儲けが、その分だけ少のうなるによって。自分、なんやおばはんに申し訳ないし。それでまた、無駄な気ぃ使うだけのことや。
これ以上、気ばっか使っとったら自分、そのうち精神的な病気になってしまうどぉー」
「気なんて……コウは甥っ子なんやからね。遠慮なんていらんのよ」
「ありがとな、おばはん♪ けど、そうはいかんねん!
そこで甘えとったら、自分まで勘兄と同じ穴のムジナになり下がる。
それは最悪や! ああは成りたぁあ~ないねん!」
「コウはしっかりしているし。そうはならんと思うけど……。
むしろまだ子供やし、もう少し甘えてもええのやないやろうかぁ……?」
「おばはん、ありがとな! でも大丈夫よ。お陰さんで商売も上手くいってるし。まだまだ元気もあり余っとる。
お金もたくさん貯めたいし。将来これが何かの機会で活かされることだってあるのやもしれへんからな!」
「……そう? おばさんが心配し過ぎなんやろうかねぇ……」
「《ありがたい》とは、いつも思ってるよ♪」
ホンマ優しいおばさんや。いつも助かる。心の支えや!
おばさんから売ってもらった材料を運搬ロボットのタマの荷台に載せ、ヨイショと跳び箱を飛び越えるみたいにして乗った。
「ほな、行こかぁ♪」
『ハイナ~♪』
「コウ、ホンマになんや困ったこととかあったら、直ぐにでも相談に来るんよ!」
「ありがとな、おばはん。自分、おばはんのこと、ほんに大好きや!
じゃまた明日なぁあ~♪」
ヒュイーンと高速な速度違反で走っていった。
「……あの子の、あの陽気さだけが。救いやなぁ~」