《カナワン・ホースキンの夢と小さな命》 ―2―
「……それよりも、コウちゃん。そのお好み焼き、ちょっとコゲてない?」
「え? うわ、うわあああああぁぁあああぁッツ!!!
だ、大丈夫やあーッ!! ギリギリ、セーフや! 完璧や!♪ 見事な出来やぁー♪!」
「だ、だいじょうぶて……コレ」
「今、メチャメチャ。一瞬、慌ててなかったかぁ?」
「気のせいや!!」
「そうかぁ?
それにしても、コレ……ちょっと、ホンマにコゲてるよなぁ?」
「さっきの『見事』いうのも、意味わからへんかったど」
す……するどいツッコミや!
「おっちゃんら、まさか知らんのかぁ!?
今は、ちょっとコゲくらいのが流行ってるのやでぇえー!」
今のはうそや、デタラメや! テキトーや!! おっちゃんら、ごめん……許したってぇ~。
「え? そうなんか。流行ならちょっとコレ、試してみますわぁー」
「言われて食べてみると、アレやな……。ちょっとコゲてる味も、イケてる気がしてくるモンやなぁ?」
「そう言われてみると、そんな気がしてくるのやから。不思議なモンやなぁ~」
「ナハハハハハハハ!」
なんややはり物凄く、気の毒に思えてきたわ……。
「頼まれてもない勝手なコトして悪い気がするから。おっちゃんらにもう一枚ずつ、焼いたる。ちょっと待っとってやぁー♪」
赤字やけど、しゃあ~ないわ。自業自得やモンなぁ~。
「ああ、コウちゃん。そんなにどうせ食べ切れないから、もうええよ。気にすなや」
「うんうん。そのくらいのコト気にせんでええからな、コウちゃん♪」
「そぅかぁ……。あ、それなら代わりにそのお酒、おごりにしといたるわ♪」
「おお。いいの?」
「ええんや!!」
「そりゃ助かるわぁー」
「今日はなんや、結果的にコウちゃんのおかげで儲けた気分やなぁあ~。わっはっは♪」
自分は大損したけどな。今度からもうちょっと注意して、焼こ……。
「明日から大変やけど。なんやコウちゃんの元気を分けてもらえ気分や、なんか急に頑張れる気がしてきたわ!」
「うん。頑張ったってやぁあ~♪」
「がんばれよぅー♪」
まぁ、こないなコトくらいで、おっちゃんが頑張れる、言うのやから安いモンやと思うとくわ。
ホンマは他にもおごってやりたいけどな。自分も今は、生活が苦しいから。これ位までが限界やしなぁー……。お金がないと、気持ちがあっても、何にもでけへんモンやなぁ~。て、つくづく思うわ。
「コウちゃん。景気づけに、大御所くれや♪ これは自分が払うから!」
「え? 悪いのやけど……大御所は今、売り切れてないのや」
「そぅかぁ? それなら、中納言でええわ♪」
「……中納言も今は…そのぅ………売り切れててな。あはは♪」
というか、買えんのや。恥やなぁ……。
「なんや? そういえばこの前も、なかったやないか」
「そうやなぁ~。最近はそんなにええモンばかり飲んでる景気のいい奴が来てるの?」
「う、ぅん……。まあ……色々とあるのや! ナハハハハハ♪」
それやと、まだええのやけど。実際は、逆や。景気が悪くてどうにもならんから、仕入れが満足に出来へんのよ。出費も最近は多いしなぁ。
そうは思うても流石によぅ言えへんわぁ。情けない話やモンなぁ、ホンマに。
「……コウちゃん。実は逆に、仕入れが満足に出来てない、なんてコトじゃないの?」
──げえっ!! メチャメチャ鋭い!
「あ、まさか……それか?!」
「いや! そんなコト、全然ないよ!! ホンマやでぇー!♪ 楽勝やぁ~♪」
「……うそやな」
「うん……今の、全然の当たりや」
「……」
なんでそないなコトが分かるのや!? このおっちゃんら……。
「コウちゃんとは、こう見えても長い付き合いやからな。誤魔化しても、ムダやど!」
「そうやな。というか、コウちゃん。
なんでそうならそうと、素直に早く言わなかったんやぁ? 水臭いやないか!」
「い、いや!! そないなコトは全然ないんよ! 気のせいよ! アハハ♪」
──ダン!!☆
「コウちゃん!!」
「うわああッツ!?」
酒が入っとるからやろうかぁ? なんや迫力があって、びっくりしたわ。




