【第七話】 シンゴ兄ちゃんと封筒
「ン~……アカンなぁー……」
電卓をポチリポチリとやって、計算結果見て、ついついそう零してしもた……。
「どう計算し直しても、今月は赤字や。最近は不景気も増してきたのか、お客はんの足運びも減っとるし。それに……」
居間の方へ目をやると、シンゴ兄ちゃんと勘兄がなんや楽しそうにしとった。
「まあまあ、喰えっ喰えっ! 遠慮はいらんからな! ガッハッハッハッハ」
「やあーやあー。いつもいつも、すまないなぁー♪」
「心配すなっ。ワシのおごりや、全部ワシのおごりやからな♪」
……こっちの気も知らんと、いい気なモンやなぁ~……。
『おごり』と言うからには、その内、勘兄に返して貰うにしろ。取り敢えずは今を、どう乗り切るかやな。残高1万と3千3百20十と7円……。
今日の仕入れで7千円は使うから、あんまもう余裕はないな。酒も流石にもう一本くらい、仕入れとなあかんけど。そこどうしようかな? 取りあえず3千円くらいの一本だけ仕入れて、高いの頼まれたら『今日は売り切れました』とでも言うしかあらへんかぁ。
オレンジジュースと、家の食材も買わなあかんしなぁ……ふむ。
「勘兄。今から自分、仕入れに行って、そのまま仕事行ってくるからな。帰りは遅うなるし、なんかテキトーに食べとってやぁ~」
「おう! 自分のことくらい、自分でなんとでもしたるから。心配すなっ!」
よう言うわ。何を基準に、そないなことを言うとるのやろうか? ホンマにもぅ、呆れた話しやで。
「ほぃじゃあ~」
そういうて、ガレージのタマに、跳び箱乗りで乗った。
「タマ、早よ起きやぁ!」
『お、おお! よぅ、寝とったわ♪』
「……タマもよぅ眠れとって羨ましいな。自分なんて、睡眠時間まで削って生きてるのやど。たまには代わって欲しいモンやで、ホンマに」
『大丈夫や!』
「だ、大丈夫て??」
『人間、誰しもその内、「永眠できる」て言うとったわ♪』
「えッ!? な、なんやて?!
メッチャ縁起でもないわ、ホンマに! 今の自分からしたら、洒落にもならん。それ言うたの、ろくでもない奴やな。間違いないわ。
ホンに、たまらんなぁー……。勘兄以外にも、そないな奴がおる、ちうこっちゃなぁあ~。しかし誰やろ?
「それ、誰が言うてたのやぁ?」
『勘兄や♪ 「そやから自分は、今を楽しく生きるんやぁ~」て言うてたどぉー♪』
──ドテッ★
「ぬわっ、ぬわんやとお──っ!?」
そのうち、しばいたろかホンマに!
「……。まあ、ええわ。とにかくタマ、仕入れ行くから、おばはん家に向かってやぁー」
『ハイナ~♪』
相変わらずのスピード違反振りで、おばはん家まで、たったの5分で到着した。
歩けば、1時間は掛かる距離なんやけどなぁー。




