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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第六話】 ゲショ鯛とシンゴ兄ちゃん
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【第六話】 ゲショ鯛とシンゴ兄ちゃん(特別追加話)


 惑星フライドの冬は、地域にもよるのやけど。大体、短い。自分の住んどるところやと、12月~2月半ば過ぎまでは寒いんやけど。3月くらいに近づいて来よる頃には、だいぶん暖かくなっててなぁ。もうすっかりと初春の様子で。気温も20度前後は当たり前やしな。それから3月の半ばには、25度前後って感じで、春と秋がとにかく長い。夏は、7月半ばから8月一杯くらいって感じ。

 なんや《惑星環境制御システム》、とかいう装置(やつ)のお陰らしいわ。なんとも便利なモンやなぁ~。

 因みに今は、もう直ぐ3月。初春の候、って奴やな♪


「なんや春やなぁ~……」

『春やなぁ~♪』

 朝から家の隣のガレージんトコで、運搬ロボットのタマと二人して風流に黄昏(たそがれ)初春を感じとったら。家の方から、ガハガハ♪ ゲハゲハ♪と下品に笑いよる勘兄(かんにぃ)の声が聞こえてきよった。

 思わず吐息をついて、頬杖ついてしまう有り様や。

 当然、顔は呆れとる。

「……なんや年中、春そうなのがおるなぁー……うちに、一人」

『頭ン中、春、一色そうやなぁあ~♪』

 そう言うタマを思わず半眼に見て、自分、言うたった。

「そこはちゃうで、タマ。『一色そう』、やない。まんま、『一色』や♪」

『一色……。なんやスッキリしとって、気分、清々してそうな春やなぁあ~♪』

「ホンマにもう、悩みの一つもない程の春一色や。羨ましい限りやで、ホンマに。

というても自分、ああはなりたぁないけどなぁあ~」

 そう言うて、ガレージ奥の冷蔵庫からオレンジジュースを二本取り出し、一本をタマにあげた。

 タマの奴、それを自分が蓋を開けとる間で一気にゴクゴクと飲んでしまいよる。

 メチャメチャ飲むの早いわ。

「……タマ。少しは味わって飲み。なんやもったいないて感じて、もうやりたあない思えてきよるでぇ、自分」

『ほぅかぁ? ほんなら、もう一本♪ 次のは、ちゃんと味わって飲みますよって』

「……」

 単にもう一本、飲みたいだけやないんかなぁ~? と思うたけど。まあ、ええわ。

「そんなら、タマ。ホレ、もう一本や。今度はちゃんと〝味わい〟いうのんを感じながら飲むんやど」

 そう言うてもう一本、やった。

 そうしたらタマの奴ぅ。ゴクン♪と半分も飲み、一息ついて、ゴクン♪と飲み干したった。

「……。今のって、前のと何か変わってたんかぁ~? 一瞬過ぎて、自分にはよう分からへんかったよ」

『一度で飲まんで、二回に分けてみたんや♪』

「それでなんか、〝味わい〟とかいうの……変わったんかぁ? どうなん??」

『同じやな。普通に、面倒なだけや。今度は三回に分けて、もう一本いってみようかぁ~?♪』

「……。もう、ええわ」

 ホンマ時間のムダやった。しかもジュース一本、損してしもうたわ。

 アホらしい話やで、ホンマに。

 流石に二本も飲むと、タマの燃料メーターが半分を軽く越しとった。今日は学校も休みの日曜日やし、鉄板は夕方過ぎからやしなぁ……ふむ。

「タマ。これから一緒に、河川敷まで遊びにいこかぁー?♪」

『ええな、それ♪』





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