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『クレイドル』 ―少年コウの物語―  作者: みゃも
【第四話】 雪とゴージャスランド
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雪とゴージャスランド ―2―


「そいじゃお好み焼き、ご馳走さん。これ酒代な。また来るわ♪」

「毎度おおきにぃー♪」

 前のお客はんが立ち去ったあと、ホーキンのおっちゃんが急にボソリと呟いた。

「やっと行ったか……」


 やっと、て……なんや。

「ホーキンのおっちゃん。そういうんは、本人の前では勘弁したってやぁ。正当な理由もないもめごとは、自分、迷惑やねん」

「ああ、ハハ。分かってるよ。すまなかった」

「分かってるんならええんや」

「それよりも、コウ君……今度の水曜、定休日とかの予定なんかは……?」

「……なんで? そんな予定はないよ。うちは年中無休がモットーや。生活あるしな。公職でのうのうと暮らしてるホーキンのおっちゃんとは、経済環境が違うもん」

「ハハ……これはまた、きっついジャブだなぁー……」


 そう言うとおっちゃん。悩み顔でまた「ンー……」てまた唸っとる。

「その日だけ、特別に休みとかには出来ないの?」

 ハ? 休み? なんや急に??

「休まへんよ。理由ないもん。もったいないだけや」

「理由かぁ~……」

 なんや更に悩んどるなぁ。なんかあるんやろうか……? 


 あ、待てよ! そういえばおっちゃん、連合公務員やったな。……ん?

「──あ! もしかしてアレかー!?

また、仰山の連合公務員のおっちゃんらが来るんやろう??」

「──☆

さ……さあ~? それはどうだったかなぁあ~~……ハ、ハハハ!」

 当たりや☆ 間違いない。表情見たら分かる! めちゃ、バレバレや! 

なんや知らんけど、『大人の都合』って奴でハッキリした事は言えんのやろう。なんにしても助かったわ!

「ありがとうな、おっちゃん! このイカとお好み焼き、おごりにしといたるわ♪」

 これくらいは当然やな。情報は宝やもん。これはいわゆるギブアンドテイクいう奴やしなー♪


「だから、それはちゃんと代金払います。後で問題になっちゃうんだよ」

「……」

 なんや、堅いやっちゃなあぁ~。そういうのが目的やないんかぁ?

「だったら、どぅお礼したらええの? 自分、悩むやないの」

「お礼もなにも、ワタシはなにも感謝されることなんかしていませんよ」

「白々しいこと言わんといてよ。返って困るやないの」

 受けた恩を返さんなんて、人でなしもいいとこや。

「困る……ですか。 ──あ、だったら!」



「……。それで、なんでテーマパークぅー??」

 行きたいトコがあるて言うから、日曜日の朝から電車に乗って来たら【ゴージャスランド】やった。

「だって前に一度、『行ってみたい』とか言ってなかった?」

「それはそうやけど……。今日は、自分からおっちゃんへのお礼なんよ? それやとまるで、あべこべやろぅ。

まぁ来てしまったことやし、もぅええけど……」

 ええけどココ、高っいんやろうなぁ~? 金、足りるやろうかぁ……。思わず財布の中身見て、心配になってしまうわ。


「あ、心配しなくても良いよ。お代は全部、ワタシが払うし」

 ――ハ?

「ちょっ、ちょっ! ちょ──っ!☆ それやとホンマに意味がない! 今日は自分がおっちゃんにやなあ──!」

「大丈夫。ワタシも前からココには一度、来てみたかったんだ。

だけど大人一人だけだと、なかなか恥ずかしくてね。だからさ、コウ君に今日一日だけ付き合って貰えると凄く助かるんだよ。コウ君を利用するみたいで悪いけど、いいかな?」

「……それ、ホンマかぁ? 気ぃ使ってのコトやないやろうね? そういうのなら自分、嫌やど!」

「そんなことはないさ。本当だよ」

「……」

 なんや分からんけど、それならええわ。折角やし、精々楽しんだろ♪





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