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冴えない男の薔薇色物語

 私はとある大学に通う大学生だ。

大学では情報工学を専攻している。

正直、情報工学を選んでしまった事にしごく後悔の念を抱いている。

入学後、周りを見渡せば外見だけで世間一般で言う「オタク」という部類の人間だとわかるむさくるしい男共ばかりだった。

いわゆる、若い女性からは「キモい」と呼ばれる男達ばかりだったのである。オタクだから「キモい」のではなく、オシャレに意も介さないそのいかにも冴えないオーラを纏っているそのルックスがキモいのである。現代の一般の若者とは遥かにかけはなれた服装、髪型。極めつけはダサい丸眼鏡。いかにも冴えない。彼らが生まれてこの方彼女居ない暦が年齢と同一であるという事は明白であった。かくいう私も生まれてこの方恋人がいた時期など一切ないが、私はこの手の人間ではないし、この手の連中と四年間を過ごすにはかなり抵抗があった。

 なぜなら、私が思い描いていた大学生活とはしごくかけはなれたものであるからである。入学前私は大学のパンフレットを眺めて、若い男女でコンパにふけり、騒ぎ倒し、恋人を作りいちゃいちゃするそんな楽しい大学生活を思い描いていたが、そんな理想の大学生活はあまり送れそうにない事は冴えない男達を見ていると想像に難くなかった。

 大学ともなれば、かなりの人数がいるのだから自分の好みの異性が一人や二人いるものと誰もが一度は思うはずである。しかし、私の学部には好みの異性どころか、異性であるかどうかを疑う様な異性しかいなかった。工学系には異性など都市伝説である事を悟った。失礼ながら、私は男性であるかと最初は思っていたぐらいである。女性であるはずなのにオッサンくさいのである。しかし異性は外見だけでは評価を下せないと良く言うし、私はそれは真実であると思っている。それは真実ではあるが、相手の外見を一切無視しろというわけではない。私にも妥協できないラインはあり、どうしてもあの手の女性は恋人としても絶対に考えられない。中身はどうかというと、洗練されたものがあるとは到底思えない。学部で恋人を作るというプランはナンセンスだったというわけだ。

 前述したとおり、私は生きて来た中で恋人が出来た事はない。入学当初、私は現役で大学で入学したので年齢は18歳だった。18歳にもなって一度も恋人がいないというのは、かなりマイノリティな部類である。周囲の友人を見ても、一度も彼女が居なかった友人は10人中、2〜3人程度しかいない。せいぜい2割から3割しかいない統計になる。このまま大学卒業まで、いやそれどころか30歳、いや一生恋人等できないのではないかと焦燥にかられていた。30歳まで恋人が居ないとなると、魔法使いにでもなる勢いである。あいつはゲイではないかという噂も立つに相違ない。これは是非とも回避すべきである。私は入学当初、恋人作りに俄然燃えていた。

 

 




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