episode5 -初任務-
初めまして「あるき」と申します。
初投稿になります。
小説書くのは初めてですが、夢に見た物語が面白そうだったので書いてみました。
誤字脱字どころか日本語がおかしいところあると思いますが、ご容赦ください。
放課後、図書室の隠し扉の奥──
まるでスパイ映画のセットのような部屋に、健一は再び足を踏み入れていた。
「今日の夜。お前の初任務だ」
槇村先生の口調は、いつになく真剣だった。
「いきなり現場かよ……」
健一は小さくつぶやいたが、それ以上の文句は出なかった。
やると決めた。迷う余地はない。
「心配するな。とっておきの先輩たちがついてる。お前は後方支援と記録、そして──」
先生は棚から一本の黒いケースを取り出し、健一の手に渡す。
「これは“悪切包丁”。呪物のひとつだが、妖異のコアにも扉にもならない。戦闘能力の低いお前用の護身武器だ」
ケースを開くと、そこには重厚で古風な包丁が静かに納まっていた。
先生が鞘を抜いた瞬間、ぞわりと負の気配が空気に滲む。
「見た目は物騒だが、“人”は絶対に傷つけない」
「……妖異や呪物には効くってことか」
「そういうことだ。こいつ自身、妖異を憎んでるのかもな。お前には“目”がある。しっかり見極めて使え」
健一は無言で包丁を受け取った。
ずしりとした重みは不思議と、手に馴染んだ。
「はーい、こっちで装備チェックするよ〜!」
優里先輩が軽やかに現れた。仮面はまだつけていない。
「じゃーん!これが私の特製・封札セット!
火・水・風・結界・祓の五属性で、妖異のタイプに合わせて色々できちゃう!」
その隣で、朱鷺原茜は黙って黒革のグローブを装着していた。
指先から手の甲にかけて、淡く浮かぶ“紋”のような模様。
「……準備、完了」
健一の視線に気づいたのか、茜はちらりとこちらを見た。
「……あんたも、ちゃんと役目果たして」
どこか突き放したようでいて、そのまなざしは“戦いに必要な距離感”を保っているようにも感じた。
支給された黒い服に着替え、ミーティングルームへ向かうと、
先生が大きなモニターを指差していた。
「今回のターゲットは、ある古い邸宅から見つかった“手鏡”だ。戦後の建築家の遺品で、最近になって異変が多発している」
「どんな異変?」
「鏡の前で気を失う。誰もいないのに声がする。鏡に“別の顔”が映る……よくある初期兆候だ」
「ふーん、どうせ、中に“いる”んでしょ」
優里先輩が飄々と口を挟む。
「今夜、潜入して鏡を回収する。壊すな。ターゲットは“鏡そのもの”だ」
健一は、ごくりと喉を鳴らす。
これが、自分の──初めての仕事。
「お前は現場で“目”を使え。見えるものを、見えたまま言葉にする。それが判断材料になる」
「……わかった」
優里が仮面をつけながら、ふっと微笑んだ。
「緊張しなくても大丈夫だよー。私たちがついてるんだから」
仮面の奥の瞳が、静かに光る。
それを見て、健一もゆっくりと深呼吸し、仮面をつけた。
そのとき、先輩が指をパチンと鳴らす。
「それじゃ、行こうか」
夜の空気が、静かに、音もなく動き出した。
ご覧いただきありがとうございました!
ついに動き始めた…