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冬なんて大っ嫌い


 冬なんて大っ嫌いだ。


 だって寒いし。めっちゃ寒いし!!


 外へ出るのも億劫になるし運動不足にもなる。つまり――――太る。


 ……最悪。



 冬の間、私は居間に設置されたコタツを拠点に活動する。離れるのはトイレに行くときくらい。



「少しは動かないと太るぞ?」 


 お兄ちゃんがそんなことを言いながら、私のお腹をプニプニ触ってくる。


 余計なお世話と言いたいところだけど、大好きなお兄ちゃんに触られるのは嫌じゃない。


 こうやって堂々と触れ合いできるのは冬の数少ない良いところかもしれないとは思ったりもする。



「……コタツが壊れた」


 私は絶望した。コタツが無くてどうやって冬を乗り越えれば良いの!? それ以前に今夜を乗り切る自信が無い。 


「仕方ないな買いに行ってくる。お前も来るか?」


 行くわけがない。わかりきっていることをなぜ聞くのか?


 私は布団に潜り込んで全力で拒否の姿勢を示す。


 でも――――おやつは買ってきてね。


 口を動かすのも億劫だ。視線だけでお兄ちゃんに訴えかける。


「了解、おやつも買ってくるよ」


 さすがお兄ちゃん、私のことをよくわかってる、大好き!!


 お兄ちゃんは布団から頭だけ出している私に苦笑いしながら車で出かけて行った。



 さて、新しいコタツが来るまでやることが無い。


 もっともコタツがあったとしてもゴロゴロ温まっているだけなのだからあまり変わらないのだが。 


 それ以前に寒くて布団から出るなど自殺行為だ。危険すぎる。

 


 私は寝ることにした。睡眠は大事だ、新しいコタツを堪能するために今は体力の温存と回復に努めるべきだろう。



「ただいま~!!」


 お兄ちゃんの声が聞こえて目が醒める。あたりはすっかり薄暗くなっていて、そろそろ晩御飯の時間だなと思いかけて――――コタツのことを思い出す。


 そうだ、コタツだ!! 私はすっかり嬉しくなってくる。


 

 玄関から大きなモノを引きずる音がするが、運ぶのは手伝わない。別に寒いからというだけじゃない。手伝おうとすると優しいお兄ちゃんは危ないからといって手伝わせてくれないのだ。


 だから遠慮なく高みの――――いや、寝床から見物だ。


 大きな箱を開けると、中からバラバラのパーツが出てくる。お兄ちゃんは手慣れた手つきでテキパキと組み上げて行く。あんなのがコタツになるなんて……まるで魔法みたい。


 面白そうだし私もやってみたいけど、私は不器用で以前も手伝おうとして壊してしまったことがある。


 だからあえて手伝わない。我慢出来て偉いでしょ?



「よし、出来たぞ。スイッチ入れて……おお!! さすが新型、めっちゃ温まるの速いぞ!!」


 新しいコタツにご満悦のお兄ちゃん。これは試さずにはいられない。


 私は布団から最短距離でコタツに転がり込む。



 ふおお……温かい~!! ぽかぽかだあ……。


 安心したら今度はお腹が空いてきた。


 ご飯を用意するのはもちろんお兄ちゃんだ。私は――――食べる専門。だって不器用だし、お兄ちゃんだって手伝わなくていいって言うしね。


 私はせいぜい美味しそうに食べている姿を見せてあげるとしますか。だってお兄ちゃんってばそういう時とっても幸せそうな顔してるんだよね。私、知ってるんだから。



「晩御飯出来たぞ、あとで買って来たおやつもあるからな」


 お兄ちゃんの料理は美味しい。おやつもあるなんて幸せすぎる。


 冬は大っ嫌いだけど――――


 お兄ちゃんとコタツとオヤツは大好き!



「うにゃああああん」


 私は感謝を込めてお兄ちゃんに身体を擦りつける。


 もちろん――――コタツに入ったままでね。

 

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― 新着の感想 ―
甘え大将な干物妹かと思いきや、そういうことならむべなるかな。当然にゃー。
わかるわー その気持ちわかるわー となりながら読んでおりました そして私の前世がもしかしたら主人公と同じなのでしょうか 出だしから「私もこの立場ならこうしたい!てか、こうするよね!」という解像度100…
最初、兄妹でそれはマズくねーか? って思って それから、どんだけ甘やかされた妹! と思って あれ? なんか変だな・・・。人間じゃねーな、こいつ? になって やっぱし! 霊とかじゃなくてよかったです。…
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