第4話 冒険者と階級
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:農村育ちの三男坊。
( 'A`)【射手】:都会生まれの一人っ子。片親。
(゜、゜*)【魔女】:出自は都会の中流階級。両親ともに魔法使い。
( ・∀・)【神官】:貴族。
(*ФωФ)【王女】:ロマネスク第三王朝の王女。
──魔法が存在する世界。さる王国の冒険者ギルドが運営する、通称『冒険者酒場』。ここでは冒険者を名乗る落伍者どもが日々集い、酒を片手に肴を片手に、旅の宴や情報交換、はたまた戦果によるマウント合戦などなど、世の為にならない下劣な与太話が繰り広げられている。
──これは、そんな『冒険者酒場』に入り浸る三流冒険者たちの(酔って記憶が飛ぶので)冒険譚には残らない日常の切り抜きである。
──前回までのあらすじ:戦士( ^ω^)が、ピラミッドに封印されていた古代の王女(*ФωФ)を復活させた。
( ^ω^)「ただいまー」
(*ФωФ)「なのじゃー……」
('A`;)「うわっ!生きてた!」
( ^ω^)「ひどくない?」
(・∀・ )「いやぁ、騎士団から出頭命令が出た時はどうなることかと思ったけど、戦士達が生きて帰ってきてくれてよかったよ」
( ^ω^)「そりゃどうも」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「……で、今日は何を賭けてたの?」
('A`)「お前が処刑されるかどうか」
( ^ω^)「犬の糞にも劣る鬼畜外道めが。今宵はヤケ酒じゃ」
(゜、゜*)「ウソよ。流石の私達もそこまで外道じゃないわ」
( ^ω^)「……ほんと?」
('A`;)「ホントホント、からかっただけだよ」
('A`;)「しかし……ほんと、よく生きて帰って来られたな」
(・∀・ )「うん。『封印されてた古代王朝の王女を復活させた』なんて、大事件だからね」
( ^ω^)「ああ、それがさぁ」
(*ФωФ)「……」
( ^ω^)「コイツ、どうやら古代王朝の王女では無いらしい」
('A`)「は?」
(゜、゜;)「だってアンタが言ったのよ?『古代王朝の王女を復活させた』って。どういうこと?」
( ^ω^)「いや、そもそもさ。『古代王朝の王女』って言うのがさ……」
(;ФωФ)「……わ、妾はロマネスク第三王朝の王女なのじゃ!本当なのじゃ!」
( ^ω^)「コイツが勝手に言ってるだけなんだよね」
('A`)「え?」
(゜、゜*)「え?」
(;ФωФ)「し、信じてくれぃ!」
(・∀・;)「"副葬品"とかその子の服装とか、なんか根拠があって言ってたんじゃないの?」
( ^ω^)「俺にそんな考古学的見地があるワケねぇだろ」
('A`;)「いや……まぁ、そりゃあそうだけどよ」
( ^ω^)「俺はコイツが『なんとか王朝の王女』だとか言うから、それをそのまま冒険者ギルドに報告しただけだ」
( ^ω^)「そんで、王国騎士団がその真偽を確かめる為に動いたんだと」
(゜、゜*)「それじゃ、その子の身辺調査の為に王都に呼ばれたってこと?」
( ^ω^)「うん。王立大学に行ったら学者の先生達がズラッと並んでてよ」
(*ФωФ)「色々と質問されたり、身体中を触られたり、よく分かんない薬飲まされたり、魔法かけられたり、血を抜かれたりしたのじゃ!」
( ^ω^)「ちな、俺はその間別室で騎士団長にガン詰めされてた」
(゜、゜*)「怒られはしたのね」
( ・∀・)「事がコトだしね」
( ^ω^)「まっ。そんなこんなで、コイツが王女ではないことが科学的に証明された」
(;ФωФ)「妾は王女なんじゃあッ!誰が何と言おうと王女なんじゃ!」
(^ω^ )「じゃあ自分の名前は?王女なら大層な名前が付いてるだろ」
(;ФωФ)「そ、それはっ!」
(^ω^ )「親父とお袋の名前は?生前はどんな時代だった?どんな飯を食ってた?」
(;ФωФ)「……」
(;ФωФ)「思い出せない、のじゃ……」
( ^ω^)「とまぁ、こんな感じでコイツが王女だという証拠は何一つ見つからなかった。故にコイツは王女ではない」
( ^ω^)「Q.E.D.証明終了」
(゜、゜;)「ま、まぁ王立大学の高位な学者がそう結論づけたんなら……そうなんでしょうけど……」
('A`;)「じゃあ王女でもなんでもないソイツは何者なんだよ?」
( ^ω^)「先生方が言うには、奴隷階級じゃないか、だと」
('A`)「奴隷?」
('A`)「ピラミッドって王家の墓じゃなかったか?なんで奴隷が封印されてんだよ?」
(・∀・ )「……」
(・∀・;)「まさか……もしかして……」
(・∀・;)「その子が"副葬品"?」
(;'A`)「!?」(゜、゜;)
( ^ω^)「先生方が言うにはな」
(゜、゜;)「どういうこと?副葬品って普通は宝石や装飾品でしょ?」
(;・∀・)「はるか昔には、そういう風習があったんだよ。王が死んだ時に、召使や兵士、果ては妻なんかを殺して、故王と一緒に葬るっていう……」
('A`;)「げぇ……独りで勝手に死ねよ」
(゜、゜;)「古代人ってムチャクチャねぇ」
(;・∀・)「その辺りは、古代人には古代人の価値観があるから、今の僕達がどうこう言えることでもないけど」
(;ー∀ー)「とは言っても胸糞悪い風習だよねぇ」
(#ФωФ)「妾は殉葬などされておらん!そもそも王女じゃし!」
( ^ω^)「まぁまぁ、こうして復活できたんだからいいだろ」
(#ФωФ)「よくない!」
(#ФωФ)「今すぐにでも王都にとんぼ返って、学者連中の誤解を解くのじゃ戦士よ!」
(^ω^ )「止めとけ、無駄だ。何回も言ってるけど証拠がねぇ」
(#ФωФ)「ぐぬぬぬぬぅ……」
(*ФωФ)「……はっ!」
(*ФωФ)「そうじゃ!ピラミッドじゃ!妾が眠っていたピラミッドに行けば、なにか思い出せるかもしれん!」
(*ФωФ)「それに妾が王女だという証拠も……」
(^ω^ )「無理。『メンタイシーのピラミッド』はA級ダンジョンに認定されたから」
(*ФωФ)「……A級ダンジョン?」
(^ω^ )「簡単に言うとA級冒険者じゃないとピラミッドには入れないってこと」
('A`)「マジか、あそこ元々D級ダンジョンだったじゃん。それも砂漠の中で単純に到達困難ってのが理由だし」
(゜、゜*)「それがなんで急にA級に上がったかしら。騎士団から理由は聞いた?」
( ^ω^)「『回答は差し控えさせて頂きます』だって」
(・∀・ )「これは濃厚な政治の匂り」
(;ФωФ)「お、お主らでも入れないのか?そのA級ダンジョンとやらには」
(;ФωФ)「冒険者なんじゃないのか?」
('A`)「おう冒険者だぞ。D級のな」
(・∀・ )「僕はF級」
(゜、゜*)「私はG級」
(;ФωФ)「D……F、G?級ってなんじゃ?」
( ^ω^)「冒険者にはAからIまでの9つの階級があって、受注できるクエストとか入れるダンジョンが決まってるんだよ。A級は最上級冒険者で、I級は見習い冒険者って感じかな」
( ^ω^)「だからD級の射手はC級以上のクエストは受注できないし、C級ダンジョンにも入れない」
('A`)「C級に昇格できればプロ冒険者を名乗ってもいいんだが、なかなかな……」
(*ФωФ)「なるほどぉ……」
(;ФωФ)「って、魔女と神官のランク低ッ!」
(゜、゜*)「まぁ私は別にランクなんかどうでもいいからね」
(゜、゜*)「私は薬屋で、自分で作った薬を売るのが生業なの。その薬の原材料がダンジョンでしか採れないから冒険者になっただけで、戦士みたいにロマンを求めて冒険してないのよ」
(・∀・ )「僕も神殿で働いてるし、そんなしょっちゅうクエストをこなせないからね」
(・∀・ )「それに僕はパーティの回復役としてサポートするのが主な活動でね……こういうのは評価されにくくて、階級が上がりにくいんだよ」
('A`)「冒険者の大半はコイツらみたいに他に本業があって、その傍らに何らかの目的でダンジョンに入る……いわゆる"兼業冒険者"って奴だ」
('A`)「ま。冒険を目的に冒険者になるような奴なんて、近頃はそう居ねぇよ」
( ^ω^)「ここにいるが?」
('A`)「お前みたいなバカが沢山いてたまるか」
(;ФωФ)「……つまり、お主らではピラミッドには入れない、と?」
('A`)「そういうコト」
('A`)「あっ。ちなみに、そこのバカも俺と同じD級冒険者だから無理だぞ」
( ^ω^)←バカ
(ФωФ;)「なっ!?お主もド三流じゃったのか!?」
(*^ω^)「ん~?……んにゃ。俺はC級冒険者」
('A`)「は?ウソつくなよ。お前もD級だろうが。ずっと二人で同時に昇格してきただろうが」
(*^ω^)「うん。でもピラミッドの冒険でさ、俺色々と活躍したじゃん?」
(・∀・ )「活躍……?」
(゜、゜*)「その子を復活させて、無駄に騎士団に迷惑かけただけじゃない?」
(*^ω^)「まぁまぁまぁ。それもあるけど単純に500万Gのお宝もゲットして納品したし」
( ^ω^)「その辺りで昇格条件を満たしたんだよ。今年は結構クエスト頑張ってこなしてたしな」
('A`;)「くそっ先越されちまったか」
(゜、゜*)「まぁ……でも、昇格は素直に喜ばしいわね」
(・∀・ )「今度昇格祝いしなきゃね」
(*^ω^)「昇格祝いっても、どうせ冒険者酒場で飲むだけだろ」
(・∀・ )「他になにが?」
(#ФωФ)「ちょっと待つのじゃ!C級かD級か知らぬが……」
(#ФωФ)「どっちにしろピラミッド無理なのじゃ!入れんのじゃ!」
(^ω^ )「だから無理つったべや」
(#ФωФ)「~~~~~!!」
( ФωФ)「…………」
( ФωФ)「…………フフフ」
(*ФωФ)「フフフ、フハハ、フハハハハハハハッ!」
(^ω^ )「気でも狂ったか」
(*ФωФ)「ならば、妾がA級冒険者になろうではないかッ!A級冒険者になって、ピラミッドに凱旋するのじゃ!」
(・∀・;)「いやいや……」
(゜、゜;)「何年かかると思ってるのよ……」
(*ФωФ)「一年もあれば十分じゃ!」
(・∀・ )「その自信はどこから?」
('A`)「ちなみに俺は十数年は冒険者をやっててD級な」
(*ФωФ)「フンっ!だからどうした、妾を誰だと思っておる!」
(*ФωФ)「妾はロマネスク第三王朝の王女!庶民の十年など、一年で通り越してやるのじゃ!」
(^ω^ )「『妾はロマネスク第三王朝の王女 』」
(#ФωФ)「がぁぁ!うっさい!だから、それを証明する為にA級冒険者になるのじゃ!」
(*ФωФ)「そして戦士よ!お主には妾をサポートする大役を与えようぞ!」
(^ω^ )「断る」
(#ФωФ)「勝手に他人の墓に入って、妾を復活させた責任を取れい!」
(^ω^ )「嫌だ。なにせ俺って社会的責任から逃げて冒険者になった所あるし」
(・∀・ )「シンプルな落伍者」
(*ФωФ)「……"ロマン"」
(^ω^ )「ん?」ピクリ
(*ФωФ)「"ロマン"、あるんじゃないかえ?」
(^ω^;)「どういうことだ……?」
(*ФωФ)「もしも妾が王女だと証明されたら、お主は『没落した王女を救った冒険者』という栄誉を得られるのだぞ……?」
(*ФωФ)「これって"ロマン"、なんじゃないかえ?」
(^ω^ )「……」
(^ω^;)「……」
( ω )「……」
(^ω^ )「っふぅ~~」
(^ω^ )「……お嬢ちゃん、バカ言っちゃいけねぇ」
(;ФωФ)「!」
(^ω^ )「冒険者ってのはな、ただロマンを追い求めるだけの酔狂じゃ務まらなぇ。冒険には常に現実的な打算がついて回る。それを両立してこその冒険者稼業ってもんだ」
(^ω^ )「お嬢ちゃんをA級冒険者に育て上げる。へぇへぇ、大した"クエスト"じゃねぇか。たしかにロマンはありそうだ」
(^ω^ )「なら、その"クエスト"の具体的な内容は?俺はどこまで面倒をみればいい?手取り足取り、冒険者とは何たるか教えればいいのか?いやいや"お姫様"なら、お食事の用意までご所望かな?それとも子守唄まで歌ってほしいか?」
(^ω^ )「そしてなにより……」
(^ω^#)「クエストの報酬は用意できてんだろうなぁ?あぁ?」
(;ФωФ)「っ」
(^ω^#)「……」
( ^ω^)「……って近頃のつまらねぇ冒険者なら言うだろうな」
(;ФωФ)「へ?」
('A`;)「おい戦士、お前まさか」
(^ω^*)「いいぜ王女様(仮)!お前の"クエスト"、受けてやろうじゃねぇか!」
(^ω^*)「俺がお前をピラミッドまで連れてってやる!」
(^ω^*)「報酬はさっきお前が言った"栄誉"!それだけで十分だ!」
(*ФωФ)「……おぉっ!」
(*ФωФ)「お主なら、そう言ってくれると思ってたのじゃ!流石はロマンの分かる男ッ!妾を復活させただけはあるわい!」
(^ω^*)「へへへっよせやい照れるべ」
(・∀・;)「安請け合いにも程がある」
(゜、゜*)「自分もA級冒険者じゃないくせに」
('A`)「クエスト失敗に1000G……ん?」
(;'A`)「うわっ!おい見てみろ、戦士の足元!」
(゜、゜*)「はぁ?なによ急に……」
(゜、゜;)「って酒瓶多ッ!しかも全部空っぽよ!」
(・∀・;)「いつこんなに飲んだんだ!?」
(*^ω^)「そらぁここぁ酒場だからなぁ」
(*^ω^)「ずっと飲んでたぜ」
(*^ω^)「最初からな」
(゜、゜*)「呆れた……アンタ、今すっごい大事な約束をしたの、分かってる?」
(*^ω^)「大丈夫だいじょーぶ、頭で忘れても心が覚えてるさ」
('A`)「あ、これ明日の朝には全部ぶっ飛んでる奴だ」
('A`)「9年前にこれを言われてコイツに貸した2200Gがまだ戻ってきてなねぇからな。俺は金の貸し借りはぜってぇ忘れねぇ」
(゜、゜*)「心が覚えてるのね」
(・∀・ )「まぁ、でも。戦士が忘れてても僕達が覚えておけばいいか」
('A`)「だな。今のうちに契約書作ってサイン書かせるか」
(゜、゜*)「まったく……ロマンロマンって、なにがそんなにいいのよ」
( ^ω^)「俺ァ馬鹿だからよォ。高いところが好きなのさ」
( ^ω^)「カンタンには手が届かない程の、な」
(゜、゜*)「うるせぇわ」
【冒険者コラム】テーマ:冒険者ランク
冒険者になるのに階級は関係ない。貴族でも平民でも、あるいは奴隷であっても、入会金さえ支払えば誰でも『冒険者』として登録が可能である。
しかし冒険者は厳然とした階級社会である。冒険者にはA級からI級までの9つの階級があり、下位ランクの冒険者は、上位ランクのクエストを受注できない・上位ランクダンジョンへの立ち入り禁止など、冒険者活動において著しい制限を受ける──なお、上位ランクの冒険者とパーティを組むことで、これらの制限は一部緩和される。例えば、D級冒険者がA級クエストを受注することは叶わないが、A級冒険者とチームを組み、そのA級冒険者が代表してそのクエストを受注する、という形であればD級冒険者であってもA級クエストを行うことは可能である。ただし、このような場合、クエスト報酬やダンジョンで入手した素材の配分の決定権は上位ランク冒険者にあり、大抵は下位ランク冒険者にとって割に合わない仕事となる(『クエスト達成実績・モンスター討伐経験が積める』と、下位ランク冒険者にクエスト遂行を押し付け、報酬を独占する悪辣な冒険者も存在する)。
殆どの冒険者は一律にI級から冒険者として活動し始めることとなり、基本的にはクエスト達成実績や素材の納品数などの"冒険者ギルドへの貢献度"に応じて、G級、F級と一つずつランクアップしていく。ただし見習い扱いのI級冒険者は例外的に、授業料を払って訓練クエストを受講するか、C級以上の上級冒険者の承認を得ることで、H級冒険者にランクアップできる。
冒険者ギルドは、このような階級制度を取っている理由のひとつに『冒険者の安全確保』を挙げている。そもダンジョンとは人が生活するに適さぬ過酷で危険な区域であり、低ランクのダンジョンであっても、冒険者は常に死と隣合わせである。冒険者証を得たばかりのI級冒険者などにそのようなダンジョンを開放すれば、たちまち死体の山が築かれるであろう。またダンジョンでの活動にも慣れてきたF級やE級の冒険者が、その技量に見合わぬモンスターの討伐クエストなどを受注し、案の定窮地に陥る事例は枚挙に暇がない。冒険者ギルドは厳格な階級制度によって、無謀な冒険者が無茶な冒険を行わないように手綱を握っているのである。




