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第2話 冒険者と騎士団

登場人物(とうじょうじんぶつ)紹介】


Q.愛飲するお酒の種類は?


( ^ω^)【戦士】:蒸留酒をよく飲む。肴に合わせて酒の種類を変えるタイプ。


  ( 'A`)【射手】:ビール党。香り豊かな上面発酵のものを愛して止まない。


(゜、゜*)【魔女】:ワイン愛好家。どっしり重たい赤い奴。ワインは薬品の材料にも使う。


( ・∀・)【神官】:聖水(乙類)。

──魔法が存在する世界。さる王国の冒険者ギルドが運営する、通称『冒険者酒場』。ここでは冒険者を名乗る落伍者どもが日々集い、酒を片手に肴を片手に、旅の宴や情報交換、はたまた戦果によるマウント合戦などなど、世の為にならない下劣な与太話が繰り広げられている。



──これは、そんな『冒険者酒場』に入り浸る三流冒険者たちの(酔って記憶が飛ぶので)冒険譚には残らない日常の切り抜きである。




( ^ω^)「ふぅー!依頼達せーい!腹減ったぁ!」



(゜、゜*)「夜遅くまでご苦労だったわね。どんな依頼だったの?」



( ^ω^)「『迷いの森』の現状調査依頼だったかな?なんか指示書通りに森をうろちょろして、レポート書くやつ」



  ('A` )「あー、定期的にある"当たり(・・・)"の依頼か。受注できてラッキーだったな」



( ^ω^)「毎日早起きしてギルドに来てる甲斐があったぜ!」



( ^ω^)「さぁって仕事終わりは酒だ酒だァッ!!」



( ^ω^)ゴクッゴクッゴクッ



( ^ω^)「ぷはぁーッ!仕事終わりのビールは最ッ高だなッ!」



  ('A` )「っぱりビールだよな!ビールが最強なんだよ!分かってんなお前ぇい!」



( ^ω^)「まぁビールは一杯目だけで、次からはジャガイモ酒なんですけどね」



  ('A` )「えー、なんでジャガイモ酒よ。ビール飲めよビール」



( ^ω^)「今日は晩ごはんが塩漬け魚なんで」



( ^ω^)「俺はビール飲む時におつまみは要らないんだよ。ビールは単体で十分旨みが強いから」



  ('A`;)「お、おう。そうか?そういうの考えたこともねぇな」



(゜、゜*)「あら、お酒と料理の組み合わせって大事よ?ワインなんか特に」



  ( 'A`)「ビールはなんにでも合うんだよ」



( ^ω^)「言いたいことは分かる。原料が麦だもん、そりゃあどんな料理ともマリアージュよ」



( ・∀・)「それを言うなら我が神殿が造ってる聖水もなかなかどうしていい酒だよ!」



(゜、゜*)「そもそも聖水がお酒ってどういうことなのよ」



  ( 'A`)「蒸留酒は殺菌効果あるからだろ?」



( ・∀・)「神様の晩酌が麦焼酎だからだよ」



(゜、゜*)「神様の晩酌が麦焼酎だからだよじゃねぇわ」



( ・∀・)「聖典にもこう書いてある。『汝、晩酌は麦焼酎を水で割りたまえ。日々のランニングコストが抑えられるであろう』」



(゜、゜*)「聖典でランニングコストの文字列を見たくないわね」



  ( 'A`)「水割りかぁ……俺はソーダ割りの方が好きだな」



( ・∀・)「そこら辺は解釈が分かれるところだね。『水割り原理主義』と『液体で割ればなんだってOK派』、『そもそも焼酎なんて製造段階で加水されてるんだからストレートでもいいだろ派』などなど」



( ・∀・)「神学でも、これは聖水論争と言われて日々議論がされているんだ」



(゜、゜*)「限りなく無駄な議論ね」



( ^ω^)「そういや麦で思い出したけどよ」



( ^ω^)「魔王の討伐依頼ってどうなった?」



(゜、゜*)「どういう回路で出力されたの?」



( ^ω^)「麦→Mugi→Magi→Magica→魔法→魔王」



  ( 'A`)「繋がったな」



(゜、゜*)「支離滅裂よ」



(゜、゜*)「もう酔ってるの?」



( ・∀・)「あの依頼票なら次の日には剥がされてたよ。ギルドが依頼を取り下げたんだろうね」



(゜、゜*)「まぁ当然よね。あんなカスみたいな条件のクエスト、誰も受注しないでしょ」



(;^ω^)「カスって……でもよ、誰も受注しないような割に合わないクエストだってギルド本部も分からんもんかね?」



  ('A` )「王国騎士団から何かしら圧力があったんだろ。冒険者ギルドって立場弱いし」



( ・∀・)「まぁ冒険者なんて実態は国営の日雇いダンジョン派遣業者みたいなものだからね」



( ・∀・)「犯罪に手を染めて騎士団に捕まる冒険者も多いし」



(゜、゜*)「そういやこの前『バジリスクの卵』の納品クエストで、ニワトリの卵を(いつわ)って納品して捕まった馬鹿がいたわね」



  ('A`;)「なんでそれで騙せると思ったんだよ……」



( ^ω^)「冒険者なんて基本バカだからな」



(#^ω^)「でも、そういうバカのせいで真っ当にクエストしてる冒険者(オレたち)が割を食うのは許せん!」



(#^ω^)「今日だって『迷いの森』の入口に駐在してる騎士団連中に嫌味を言われるしよぉ!」



~回想はじめ~


[━十━ ]「……冒険者証よし。クエスト依頼票よし。ダンジョン立入申請書よし……うむ、『迷いの森』への立ち入りを許可する。行っていいぞ」



( ^ω^)「うぃ~ス」



[━十━ ]「……」



[━十━ ]「よいか、ダンジョン内ではギルドが定めるルールに従って冒険することだ。我々王国騎士団の手を煩わせるような行動は慎みたまえよ」



( ^ω^)「へいへい。言われずとも分かってますよ」



[━十━ ]「あまりにも貴様ら冒険者の素行が悪いようならば、騎士団は即刻全てのダンジョンを封鎖する。そのことを胸に刻んでおけ」



(;^ω^)「いやぁ~そんなことされちゃあ、俺達冒険者はおまんまの食い上げですわ。はっはっは」



[━十━ ]「そのような事態に陥りたくなくば、騎士団の言う事には黙って従うことだ。よいか?」



(#^ω^)「……ッス」



~回想おわり~



(#^ω^)「俺なんにも言ってねぇだろうがよォ!!」



(゜、゜*)「あ~……たまに居るわよね、ウソみたいに傲慢な騎士」



(・∀・ )「冒険者を完全に見下してる連中だね、大抵は貴族出身の」



(#^ω^)「けッ!いいとこのボンボン野郎がッ!」



(・∀・ )「……」



  ('A` )「……」ゴクゴク



  ('A` )「まっ、騎士の小言なんて、いちいち気にしてるだけ時間の無駄だ。飲んで忘れちまえよ」



(#^ω^)「おうよ!ジャガイモ酒おかわりだぁ!」



  ('A` )「……しっかし、戦士の話で疑問なんだが、騎士団がダンジョンを封鎖してどうすんだ?ダンジョン内のお宝総取りでもすんのか?」



(゜、゜*)「まぁ、ダンジョンにしかない資源も多いし、ありえそうな話よね。それこそ『バジリスクの卵』だって」



(゜、゜*)「王国騎士団……つまりは王国が資源を独占したいってことなら筋は通るでしょう?」



  ( 'A`)「でもよ、一応は冒険者ギルドだって国営だろ?」



(・∀・ )「立場が違うよ。冒険者ギルドはそもそも冒険者同士の寄り合い・互助会で、色々と政治的な経緯を経て王国の下部組織になったんだ。元々が民間の団体だから利益優先な風土は変わらないし、冒険者達の素行も良くない」



(・∀・ )「んで、騎士団は国防とか治安維持が役割。そもそも騎士連中は一般人が都市や村の外に出ることすら快く思ってないんだよ。ダンジョンなんて危険で、辺鄙で、人の目の届かない場所なら尚更ね」



(゜、゜*)「利益を優先して冒険者にダンジョンを開放するか、国防を優先してダンジョンを封鎖するかって話ね」



(#^ω^)「ロマンが足んねぇよなぁ!騎士団ってのはよぉ!」



  ('A`)「国防にロマンはいらねぇだろうなぁ」



(゜、゜*)「そりゃあ国防なんて、どこまでも現実主義じゃないとねぇ……」



  ('A`)「ん?でもよ、今俺達が自由にダンジョンに行けるってコトは……」



(*^ω^)「王国はロマン派!?王様バンザイ!!」



(゜、゜*)「冒険者ギルドから上がってくる利益がオイシイってだけでしょ」



( ・∀・)「今のところはね。でも騎士団だってダンジョンを放置したくない」



( ・∀・)「だから定期的にギルドにダンジョンの現状調査の依頼をかけてくるんだよ。今日、戦士が受けたような依頼ね。モンスターが大量発生してないかとか、冒険者が徒党を組んでダンジョン内で不法行為をしてないか、とかね」



(*^ω^)「あー……あれ騎士団が依頼者なのか」



  ('A`;)「なんで依頼者知らねぇんだよ……」



(^ω^*)「だって受注も報告もギルド窓口で終わったし。そういう時はいちいち依頼者なんて確認しねぇだろ?」



( ・∀・)「いや?僕は受注時に確認するけど」



(゜、゜*)「アンタみたいな冒険者も多いけど、そこら辺はちゃんと確認しといた方がいいわよ?簡単そうな依頼内容で、実際は……みたいな詐欺まがいの受注を出してくる奴もいるし」



  ('A`)「"はずれ(・・・)"依頼な」



(;^ω^)「G(ランク)とかF(ランク)時代は何度か引っかかったなぁ」



(*^ω^)「忘れもしない……かつて射手と一緒に受けた『コカトリスの卵納品依頼』」



  ('A`;)「アレはキツかった……」



(゜、゜*)「そうそう、そういうのも依頼者で弾けるのよ?」



(*^ω^)「まぁでも大丈夫!だって俺ァもうDランク冒険者よ?」



(*^ω^)「怪しい依頼かどうかなんて、依頼票を見ただけで弾けるし!」



( ・∀・)「そうやって油断した時に痛い目をみると思うんだ」



(#^ω^)「むッ!?なら、今すぐに新しい依頼を受注してきてやんよ!」



(#^ω^)「それで俺の審美眼が高ぇことを証明してやるぜ!」



(゜、゜*)「……行っちゃった」



( ・∀・)「立った時、足がふらついてたけど」



  ('A`)「酔ってんな。空きっ腹に酒飲んでたし、やけ酒気味だったし、ちゃんぽんもしてる」



(゜、゜*)「……カスみたいな依頼を受注してくるに1000G」



  ('A` )「じゃ、俺も魔女と同じカスに同額。どうする神官?」



( ・∀・)「いいよ。僕はその逆に1000Gで」



(゜、゜*)「聖職者が賭け事ってどうなの?」



( ・∀・)「大丈夫大丈夫。聖典にも『汝、博打を打つ時でも交通費だけは残しておけ。負けた夜は寒い』と書いてある」



(゜、゜*)「なにやってんのよ神様」



  ('A` )「いい言葉だ。沁みるぜ」



  ('A` )「そういや神官よぉ、お前やけに騎士団について詳しいんだな?知り合いでも居んのか?」



( ・∀・)「あぁ、僕の二つ上の兄さんが騎士団に居たんだよ」



( ー∀ー)「……昔ね」



  ('A` )「……そうか」




(*^ω^)「っしゃおいコラ!受注してきたぜボケコラカスゥッ!」



  ('A`)「なんで酒瓶も増えてんだよ」



( ・∀・)「その瓶は聖水だね」



(*^ω^)「そりゃあ……んっく」



(*^ω^)「酒を飲むと頭が冴えるからな……」



(*^ω^)「あー……脳が……」



(*^ω^)「……」



(*^ω^)「脳が、消毒されてくぅ~~」



(゜、゜*)「着実に死んでってるわね、脳」



(*^ω^)「クゥゥゥゥエストォォォォ、オーップンッ!」



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


【クエスト:隊商の護衛】


依頼者:シーア・イーヤ商会

難易度:E(ランク)相当

 目的:王国南部大砂漠の交易路を通る隊商を、オアシス都市まで護衛(往路のみ)

 人数:1名

 報酬:15万G(※1)

 条件:E(ランク)相当モンスターの討伐実績がある方



 護衛とは言っても、砂漠交易路は整備されており、モンスターや盗賊団による襲撃の危険性は低く、万が一を考えても護衛は1名で十分と考えています(※2)。


 なおオアシス都市から王国への復路は依頼に含まれておりません。報酬は目的地のオアシス都市にてお支払いします。


 また砂漠で野営する時には、その為の準備等を手伝って頂きます。

 夜間には周囲の警戒をお願いします。

 依頼中、必要な場合は水・食事・薬品・衣服等特別価格にてご提供いたします(※3)。



──冒険者ギルド特記事項──

(※1)砂漠交易路横断にかかる平均3日の旅定における概算。1日あたり5万G。出発日と到着日は報酬を時間割します。

(※2)冒険者ギルドにて王国騎士団に相談し、妥当性は確認済

(※3)経費計上不可。受注者の実費で購入して下さい


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽




  ('A`)「はい。はずれカス依頼決定」



(*^ω^)「ウソ!?全然いいじゃん、だって」



(*^ω^)「……だって報酬15万Gよ?見てぇッ!?」



( ・∀・)「報酬しか見てねぇ」



  ('A`)「審美眼ってなんだっけ?」



(゜、゜*)「これは勝ちよね。1000G頂戴」



( ・∀・)「……いや、待って。実際に依頼をこなしてみないことには、まだ本当に"はずれ"の依頼か分からないじゃないか」



( ・∀・)「分からないじゃあないかッ!」



  ('A`)「どんだけ金が欲しいんだコイツ」



(゜、゜*)「いや、いいわ。依頼が終わったら、戦士に"当たり"か"はずれ"かを聞きましょう。それで勝ち負けを決めましょう」



( ・∀・)「うっす!」



(*^ω^)「なに?なんの話?」



  ('A`)「お前の審美眼が曇ってんなぁって話」



(*^ω^)「?」



  ('A`)「うっわ、綺麗な瞳」



( ・∀・)「これは人を疑うことを知らない瞳だ」



(*^ω^)「つまり?」



(゜、゜*)「アンタは生粋の冒険者ってこと」



(*^ω^)「っ……おうッ!!嬉しいこと言ってくれるじゃあねぇか!!」

【冒険者コラム】テーマ:王国騎士団

 王国騎士団は、国王に任命された『騎士』を団長とする集団。王国騎士団の主な任務は国防、治安維持、及び諸侯の監視である。


 騎士団員であることは名誉とされ、また身分の別なく入団出来ることから、農村の次男坊・三男坊が騎士団員を目指すことも珍しくない。その道は険しいが、だからこそ騎士団の練度と団結、そして忠誠心は非常に高いのである。ただし頭も固い。なお、士官クラスの地位は貴族出身の者が独占している。

 

 騎士団員は諸侯が支配する都市や街、ダンジョンに派遣され、そこに駐屯しながら広大な国内の情報を常に王へと送っており、これにより王国は強力な中央集権体制を確立している。しかし一方で、騎士団による監視を窮屈に思う諸侯も当然ながらおり、少なからず中央と地方の軋轢を生んでいる。これが解消されることは、遠い未来であろう。


 なお諸侯の私兵は王国騎士団とは別に『憲兵』と呼ばれ、各都市の治安維持を任務としている。都市から離れた農村の治安維持はほぼ自衛である。

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