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第1話 冒険者とロマン

登場人物(とうじょうじんぶつ)紹介】


( ^ω^)【戦士】:恰幅のいい青年。攻撃と体重が重く、ノリと財布が軽い。


  ( 'A`)【射手】:痩せぎすな青年。弓を引けば百発百中。クジを引けば百連敗中。


(゜、゜*)【魔女】:三白眼の女性。魔法と調薬が得意。運動と早起きが苦手。


( ・∀・)【神官】:いつも微笑んでいる優男。信仰心は薄い。回復手段は投薬。


──魔法が存在する世界。さる王国の冒険者ギルドが運営する、通称『冒険者酒場』。ここでは冒険者を名乗る落伍者どもが日々集い、酒を片手に肴を片手に、旅の宴や情報交換、はたまた戦果によるマウント合戦などなど、世の為にならない下劣な与太話が繰り広げられている。



──これは、そんな『冒険者酒場』に入り浸る三流冒険者たちの(酔って記憶が飛ぶので)冒険譚には残らない日常の切り抜きである。




( ^ω^)「うーす。ただいまー」



 (’A` )「おつかれー、今日はどっかダンジョン行ってたのか?」



( ^ω^)「うん。迷いの森に」



 (’A` )「迷いの森かぁ」



(゜、゜*)「あぁ……先人の冒険者達によって整備され尽くしたという」



 (’A` )「迷う要素無いし、もはや遊歩道だよな」



( ・∀・)「この間、森の奥にカフェが開店したらしいね」



( ^ω^)「あ、俺そこ今日行ったわ。ピザトーストとコーラが美味かった」



(゜、゜*)「今回の冒険の目的ってそのカフェだったの?」



( ^ω^)「んなワケねぇだろ」



( ^ω^)「いや探し物してたら道に迷っちゃってさぁ」



  ('A` )「迷っちゃったよ」



(・∀・ )「戦士の探し物って、ギルドクエスト?」



( ^ω^)「そうそう。『千年樹の葉』の納品クエストがあってさ。それ探してたんだ」



(・∀・;)「『千年樹の葉』ッ!?」



(゜、゜;)「超高級品じゃない!」



( ^ω^)「そうらしいな。達成報酬100万(ゴールド)だってよ」



 (’A` )「マジで?ここのビールが一杯500Gだから……」



  ('A`;)「……2000杯!?」



 (’A` )「ゴチになりますッ!!」



(゜、゜*)「私、買いたい魔導書があるんだけど」



(・∀・ )「神殿はいつでも寄付を受け付けてまーす」



( ^ω^)「なんで奢る流れになってんの?」



( ^ω^)「つーか、まだクエスト達成してないし」



 (’A` )「だろうな」



(・∀・ )「超高級品が一朝一夕の冒険で手に入る訳ないしね」



(゜、゜*)「……そもそも、迷いの森で『千年樹の葉』なんか手に入らないわよ」



(;^ω^)「え?ハァッ!?ウソッ!?」



(゜、゜*)「『千年樹』はその名の通り、樹齢千年以上の樹のコトよ?」



(゜、゜*)「あの森、どう見ても千年の歴史なんてないじゃない」



(゜、゜*)「遠くなるけど『緑の霊峰』とか『ミツシㇼ原生林』まで行けば、千年樹も生えているでしょうけど」



(;・∀・)「『ミツシㇼ原生林』ってエルフが支配してるダンジョンじゃなかった?エルフって余所者(よそもの)には厳しいんでしょ?」



 (’A` )「無断で入ったら弓で頭ズドンッだな」



(;^ω^)「……いや、でも情報屋から買った本には迷いの森でも稀に見つかるって」



 (’A` )「それってアレだろ?『ダンジョン徹底攻略パーフェクトガイド~迷いの森編~』ってやつ」



( ^ω^)「お、それだよそれ!」



 (’A` )「あれ書いてあること全部テキトーだぞ」



( ゜ω゜)「」



 (’A` )「迷いの森なのにゴーレムが出現するってあるし。著者のオッサンはこの前投獄されてたし」



(;^ω^)「ちくしょォォッ!!騙されたァァッ!!」



 (’A` )「ったく、冒険者なら情報の精査も仕事のウチだぜ?」



(゜、゜*)「アンタもよくそんなデタラメ本の事知ってたわね」



 (’A` )「一度お世話になったからな」



( ・∀・)「まぁでも、『千年樹の葉』が迷いの森に無いって分かっただけでも、クエストとしては前進じゃない?」



(゜、゜*)「前向きに考えれば、そうね。報酬が100万Gもあるなら、『ミツシㇼ原生林』まで遠征しても十分黒字じゃない?」



(;^ω^)「うぅ~ん……いやでも『ミツシㇼ原生林』レベルのダンジョンとなると、D(ランク)冒険者の俺じゃあ単独遠征は厳しいんだよな……」



(゜、゜*)「上位ランクの冒険者とパーティ組むのは?」



 ( ’A`)「あ~ダメダメ。どうせ報酬の殆どを上位ランクの奴らに持ってかれる。経費が返ってくるだけで御の字だ」



( ^ω^)「そうなんだよなぁ」



(゜、゜*)「あら、そうなの?世知辛いわね」



( ・∀・)「冒険者も格差社会だからねぇ」



( ^ω^)「はぁ……今日の冒険にかかった経費はもったいないけど、このクエストは中断して他のクエストを受けるかぁ」



 (’A` )「今日の冒険、森のカフェにピザトーストとコーラ食いに行っただけじゃねぇか」



(゜、゜*)「頑張るわねぇ、お金ないの?」



( ^ω^)「冒険者が金持ってるわけ無いじゃん」



 (’A` )「それはそう」



( ^ω^)「というか、お前らこそ最近はあんまりクエスト受けてる印象ないんだけど。生活費はどうやって稼いでんの?」



 (’A` )「近くの森で鹿とか猪を狩って市場に卸してる」



(゜、゜*)「薬作って売ってる」



( ・∀・)「寄付」



( ^ω^)「お前らよくそれで冒険者を名乗ってんな」



(#^ω^)「冒険しろよ!」



 (’A` )「仕方ねぇだろ。冒険するにも金がいる。かといって、俺達程度のランクじゃあ、クエスト報酬だけで生活できるほど稼げないしな」



(゜、゜*)「というか私は薬の素材を仕入れるのに、自分でダンジョン行った方が都合が良いから冒険者になっただけで、別に冒険したい訳じゃないし」



 (’A` )「そもそも、お前だって日雇いで働いてるだろ?街で」



(;^ω^)「ぐっ……たしかに働いてるけども……専業冒険者になりたいんだ俺ぁッ!」



( ^ω^)「クエスト報酬だけで食って生きたい!そう俺は、ギルドが認める最高ランク冒険者……"A級(・・)"冒険者になるんだ!」



 (’A` )「高望みしすぎだ」



(゜、゜*)「"A級(・・)"ねぇ……私は別になりたくないけど、A(ランク)冒険者になったからといってなんかあるの?」



 (’A` )「そらぁギルドの大看板みたいなもんだからな、色々と優遇してくれるぜ。冒険者ギルドでの飲食は無料、遠征費用の補助、提携店での宿泊費・武器防具・道具割引がある。専用のサロンも貰えるらしい」



( ・∀・)「あとは、特に保険やローンに入りやすくなるのが大きいよね。冒険者なんて危険と隣り合わせの信用ゼロ商売だけど、上級冒険者なら保険にも入れるしローンも組める、A級ともなれば掛け金も割安」



(゜、゜*)「へぇ。確かにそれ聞くと、A級になりたい気持ちも分かるわね」



( ^ω^)「……違ぇだろ?」



 (’A` )「は?」



( ^ω^)「"A級(・・)"冒険者ってのはなぁ……実利で目指すもんじゃねぇんだよ!」



( ^ω^)「俺はローンだとか補助だとかごちゃごちゃと!そんなもんの為に冒険者になったんじゃねぇんだッ!!」



(゜、゜*)「じゃあ何?」



( ^ω^)「ロマンだよッ!ロマンッ!」



( ^ω^)「『"A級(・・)"冒険者』!その肩書き、その響き!」



( ^ω^)「その為だ!それだけでいいじゃねぇか冒険者なんてモンはよォ!?」



(゜、゜*)「良くないわよ。生活があんのよこっちには」



 (’A` )「……お前の言葉(ソウル)、よく響いたぜ。俺の空っぽの(ハート)によぉ」



(゜、゜*)「反響してきやがったわね」



(゜、゜*)「空っぽなのは頭よ?」



 (’A` )「たしかに最近の俺は冒険者とは呼べねぇ、ロマンの欠片もねぇいい子ちゃんだったみてぇだ」



 (’A` )「先月なんて畑を荒らした大猪を退治して市長から表彰されちまった……」



(゜、゜*)「是非そのままのアナタでいて欲しいわね」



 (’A` )「そんなの冒険者とは言えねぇよな。冒険者ってのは、前人未到の地をロマンと剣で踏み荒らし、お宝を掻っ攫う……大猪側の存在だからな」



( ・∀・)「せっかく人間側に戻れたんだから良くない?」



 (’A` )「(わり)ぃ……俺、ようやく目が覚めたみてぇだ」



(*゜、゜)「頭冷やして来なさい。まだ酔ってるから」



( ^ω^)「よし!それじゃあ気持ちが冷めない内に、新しいクエスト受けようぜ!」



 (’A` )「そりゃいいな!じゃあさ、こういうのはどうだ?次に掲示板に貼られた一つのクエストを皆で受注してさ、先にクリアした方が勝ち!競争があった方が燃えるだろ?」



( ^ω^)「おおおッ面白そうじゃん!それ採用!」



(゜、゜*)「頭も言葉も行動も全てが軽いわ」



( ^ω^)「お前らもやるよなぁ!?」



(゜、゜*)「するわけないじゃない」



( ^ω^)「俺たち冒険者仲間だろ?」



(゜、゜*)「ただの飲み友達よ」



(゜、゜*)「ねぇ、神官?アンタも参加しないでしょ?」



( ・∀・)「僕は別に参加していいよ」



(゜、゜*)「アンタまで頭をやられたの?」



(;・∀・)「いや、そもそも僕は修業として冒険者となった身だからさ。困難なクエストの数々を達成することで、高位神官へのキャリアが(ひら)けるんだ」



( ・∀・)「ならばこれも修業の一環ってことだ!」



(゜、゜*)「なるほど」



(゜、゜*)「最近は修業をサボってたのね」



( ^ω^)「……よし!これで全員参加だな!」



(゜、゜*)「アンタは何を見、何を聞いてきたの?」



( ^ω^)「ロマンだ」



(゜、゜*)「何が恐いってアンタがまだ酒を一滴も飲んでいないことよ」



 (’A` )「そうだ。勝ちっていうからには勝者には報酬が必要じゃねぇか?」



( ^ω^)「あぁ、そらそうだ」



( ^ω^)「勝者は……敗者に『なんでも命令できる』……これでどうだ?」



 (’A` )「いいぜ。面白い」



( ・∀・)「僕が勝ったら皆には正式にミタス教の信徒になってもらうね」



( ^ω^)「地味に嫌だなぁ」



(゜、゜*)「……ねぇ。『なんでも』って、本当に『なんでも』?」



( ^ω^)「痛いのはダメだぞ」



(゜、゜*)「…………」



(゜、゜*)「いいわ。私もやる。丁度、被検体がいくつか欲しかったのよ」



( ^ω^)「だから痛いのはダメだって。俺たち男の子だぞ」



(゜、゜*)「成功すれば大丈夫よ。私の腕を信じなさい」



( ^ω^)「失敗したら?」



(゜、゜*)「痛みは無いわ」



( ^ω^)「おぉ……神よ……」



 (’A` )「やったな神官さんよ。神の信徒が一人増えたぜ」



( ・∀・)「三人減るかもれないんですが」



 (’A` )「おっと、そんなこと言ってたら、さっそく新しいクエストが貼り出されたぞ」



( ^ω^)「受注しろオラァ!」



(゜、゜*)「言い出しっぺが行きなさいよ」



──少しして、戦士はクエストの依頼票を持ってきた──



( ^ω^)「という訳ではい。クエストの中身は見てません」



(゜、゜*)「どうするのよ。これで薬草の納品とか、簡単なクエストだったら」



( ^ω^)「そらもう足の速さを競うことになるよ」



 (’A` )「だとしたら俺が優位だな」



( ・∀・)「あ、僕いま薬草持ってるよ」



(゜、゜*)「クエストクリアね」



( ^ω^)「ヒーラー職の鑑」



 (’A` )「はい。それじゃクエストオープン!」



( ^ω^)「俺達の冒険はこれからだッ!!」



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


【クエスト:魔王を征伐せよ!】


依頼者:王国騎士団

難易度:"A級"相当

 目的:魔王の捕縛、または誅殺

 報酬:総額10億G


極東辺境地方を占領している侵攻者の魁首・魔王バルバロスの奇襲的征伐を冒険者ギルドに依頼する。報酬は安心安全の国庫より支出。


魔王征伐には、王国内外に存在する特A級ダンジョンで入手できる素材から生成可能な武具、魔道具が必要との情報あり。素材の入手から道具の製造までの責任は受注者が負うこととする。また、特A級ダンジョンは現在、魔王に属する魔族集団により占領されている。受注者は、これらの魔族集団の撃退、及びダンジョンの解放を遂行する責務を負う。


長期間の活動が予想される依頼である為、クエストにはチェックポイントを設ける。チェックポイント達成により、受注者は報酬の一部を受け取る権利を得る(チェックポイントについては別紙)。


お問い合わせは郵送、通信、または下記のお問い合わせフォームから~~


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( ^ω^)「冒険者に頼む内容じゃねぇだろうがよ」



 (’A` )「10億Gってジャンボ宝くじと同額じゃねぇか」



(゜、゜*)「騎士団は何をやってんのよ騎士団は」



( ・∀・)「はいはい終わり終わり。やってられっかこんなもん」



【冒険者コラム】テーマ:千年樹の葉

 魔術や薬品、はたまた高級化粧品の素材として知名度の高い一品。その葉のエキスは高い消毒作用と抗炎症作用、さらには疲労回復作用があり、葉っぱ一枚を患部に擦れば、たちまち傷がふさがって痛みは収まり、その葉を噛んだならば10日は寝ずに働けるほどの栄養が摂れると云われている。

 千年樹とは、その名が示す通り千年を生きる大木、常緑性の針葉樹。かつては広い地域に自生していたが、その需要の高さにより殆どが伐採され、現在では人里離れた高山帯や、深い森でしか見かけることが出来ない。

 その希少性から価値が高騰しており、葉っぱ1枚で1000万Gの値がつくこともあるという。

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