僕
朝、起きてニュースを見ると手宮が自殺した報道がやっていた。
いい気味だ。あいつは昔からの付き合いだったし幼馴染の親友だと思った時期もあったが、空気を読むのが苦手だったらしい。
自分のことばかりベラベラ喋って、勝手に会話に割り込んできて、ホントに迷惑だ。いなくなって本当に胸がスーッとした。
グループラインを見るとあいつの死の話題で溢れかえっている。
「小道~、手宮が勝手に自殺したってーwww」
「自業自得なのホント笑える」
「今日、授業つぶれるぜ!ヤッタ~」
そうだ、みんな手宮が悪いんだ。僕たちは正しいことをしたんだ。
これでもう話を割り込まれることも失くなるし、あの退屈な話をきかなくてすむ。
僕は自然に笑えてきた。
案の定、授業はほとんどつぶれた。みんなは誰もいない手宮の席にいろいろ書いてる。
死んだざまぁwww
復活すんなよ~
お前の人生終わりでおれらの人生快適!
僕も書こうかな…
それから僕たちの高校生活は快適だった。
前から好きなSNSも一層楽しくなった。
学校が終わり、夕方の街を歩く。きれいな夕焼けだ。
さて今日のSNSはどんな感じかな~?
僕はスマホを立ち上げた。面白そうな動画がいっぱいでてるな~…?
一瞬、見間違いかと思った。でもそれは本当だった。僕が動画に出てる!え?どういうこと?
その動画は僕が手宮の悪口を言ってる動画だった。
拡散希望、いじめです。
というタグまで…
誰がこんなことを…!ユーザーは?…手宮!?
ちゃんと30分前投降になってる…でも手宮は死んだんじゃ…
「ねぇ、この動画の悪口言ってる子あの子じゃない?」
「あ、ホントだ!ひどい子だなぁ。」
周りからそんな声がきこえる…あいつが悪いんだ!自業自得なんだ!
「酷すぎ…」
「お前が死ねよクズ!」
「さっさと地獄行け!」
「遺族の気持ちも考えろ!」
そんな声が街中から、スマホからきこえてくる。
僕は悪くない!あいつが…
「割り込まれただけで言い過ぎィ」
「心狭すぎんだろコイツ」
暗くなってきた。早く家に…
突然、僕の前に黒い影が数百人くらい現れた…
街中からきこえてくる声と同じようなことを言って僕に迫ってくる。
僕は正しいんだ!あいつが悪いんだ!それに僕だけがあいつの悪口を言ったわけじゃない!そんなことでいじめなんて大袈裟だ!
そう言ってもそいつらは追ってくる。必死に逃げた。丈夫そうなビルが建っている。あの中へ…
ビルに逃げ込んでも奴らら追ってくる。
屋上まで逃げた。でも奴らは追ってくる。
…あれ?ここは手宮が自殺した場所?
途端に僕の身体は黒い影に押されて真っ逆さまに落ちた。
下には手宮の白骨が笑いながら見上げている。
僕の身体は手宮の頭蓋骨に当たり、能ミソも内蔵もぶっ潰れて血が飛んだ。




