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5話『へい、アレクス、お前の持つ力って何?(ルン視点)』

「へい、アレクス!」

「なんだよ、ルン」

「ふふふ」


 わたし、ルンは隣のアレクスを眺めていた。

 アレクスが隣にいる、今日も。

 アレクスは無能力で、出会った当初は、わたしも戸惑っていた。

 だが、アレクスは無能力ではあったが、無能ではなかった。


「おい、アンタ。なんでそんな仕事させられてるんだ?」


 その頃、わたしは第一騎士団の伝令役をしていた。

 腕に自信があったが、配備されたのは伝令役。

 あのムゥワに報告に行く役割だった。

 正直あの男の、ムゥワのいやらしい目が大嫌いだった。

 そんな時に、アレクスに声を掛けられた。


「なんで……?」

「ああ、わかった。もういい。今度、俺が自由に使っていい第三騎士団ってのが出来る。よかったらそこの試験受けろ」


 意味が分からなかった。

 何故、そんな事を言うのか。

 数日後、本当に第三騎士団の入団試験が行われた。


「よお、来たか。まあ、頑張れよ」


 第三騎士団は、始まる前から騎士のゴミ捨て場と言われていた。

 要は、雑用係。

 それを行うのに買って出たのがアレクス。

 わたしは、あのムゥワの視線から逃げられるなら、それでよかった。

 いや、それだけじゃない。

 アレクスの目。あの目は、わたしを一人の騎士として見てくれている目だった。

 アレクスは、わたしをいきなり第三騎士団の団長にした。

 最初は、本当に大丈夫なのかと思った。

 だけど、アレクスは本当に凄かった。

 アレクスは、異種族や問題児が集まる第三騎士団を一つに纏めた。

 国の難題を必死になって片づけ、多くの民に感謝された。

 そんなアレクスの『力』に、わたしはなりたかった。

 すると、いつの間にか、わたしは王国で最強と呼ばれるようになっていた。

 王国最強の騎士団の団長。

 とても名誉なことだ。

 しかし、わたしはそれ以上に、アレクスの力になれていることが嬉しくて仕方がなかった。

 ムゥワが余計な事をしていなくなった時には暴れた。そりゃそうだ。

 わたしの半身がいなくなったのだから。

 でも、アレクスの隣に帰ってこれた。

 今、わたしはアレクスの隣にいる。


「ん」


 その瞬間腹が鳴る。

 アレクスが肉串を差し出している。

 わかっていたと言わんばかりに差し出された肉。頬張る。うまい。


「うまい!」

「馬鹿正直か」


 アレクスはそう言って笑う。

 それが嬉しくて。


「さあ、アレクス! 今日もいくぞー!」

「はいはい」


 わたしはアレクスの手を取って今日も走り出した。


「へい、エーアイ! ルンはやはり未開の地に! アレクスの所にいるらしいじゃないか! この馬鹿がぁあ!」

「すみません、聞き取れませんでした」

「もういい! ゴミが! アレクスを殺したら次はお前だ!」

「……失敗の可能性が高いです」

「うるさい! 馬鹿!」


次回! 6話『へい、アレクス、戦いって何?』は15時更新! 残り5話!


お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。


同じコンテスト用短編もよければ!

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