4話『へい、アレクス、能力(スキル)って何?』
「へい、アレクスの兄貴! かしこまりました!」
筋肉リーダー、ボズゥが俺の指示に頷き作業にかかる。
一月程たった。
この村はどんどん発展し、立派な街になった。
俺は、毎日忙しい日々を送っている。
畑の管理や、作物の栽培、建築、狩りなど、やる事が多いのだ。
いや、正確に言うと、第三騎士団が出来る事が多すぎて、色々とやれてしまう。
「おい! アレクス! またドラゴンを狩ってきたぞ!」
この戦闘専用脳筋女以外。ただ、コイツは本当に強い。
コイツの能力は【身体強化】。ただ、その威力が凄すぎる。
ドラゴンを一人で狩る人間なんて王国でたった一人じゃないだろうか。
そんな女が褒めてほしそうにこっちを見ている。
俺は、その頭を撫でる。
「よくやった。流石だ」
「えへへ」
俺が撫でると、嬉しそうに笑う。
そんなルン犬は置いといて、俺は周りを見渡す。
最近では、この村、街の噂を聞いて、人が沢山やって来るようになった。
「それにしても……」
「ん? どうした? 相棒?」
ルンがドラゴンの肉を頬張りながら聞いてくる。もう焼いたの? それとも生?
「いや、みんなよく俺なんかについてくるなあ、と」
俺は、疑問に思っていたことをルンにぶつける。
すると、ルンはキョトンとした顔で言ってくる。
「だから、お前が好きだからだろう」
またこの脳筋女は恥ずかしげもなしに言い放つ。
「いや、だってさ。俺、スキルないし」
「は? お前は何を言っているんだ? スキルがないから? お前は確かに無能力ではあるが、無能ではないだろう」
俺は、驚く。
この脳筋女は馬鹿だ。だから、物事を深く考えない。だけど、深く考えないのに本質を捉えたりする。そういう所は、まあ、嫌いではない。
「お前ほど人を使う頭が良い人間をアタシは見たことがない」
ルンは、真剣に俺の事を見てくる。
でも、そう信じていいのなら……。
「兄貴! 【建築】で城が出来ましたぜ!」
「おにいちゃん! 【嗅覚強化】でいっぱい猪狩ってきたよ!」
「弟君、天才【薬師】のエルフが薬を買って欲しいって」
「心の友よ! 【黒魔法】の使い手魔王四天王の一人が遊びに来るぞ!」
「兄者! 【鍛冶】で伝説の剣にも劣らぬ一本が出来た!」
「へい! アレクスさん! またここで暮らしたいって人が!」
俺にちゃんと使われてくれないかなあ。
俺はそう思いながら、予想の五倍以上の働きを見せるスキル持ち共を見て呟く。
こうして、気付けば都市レベルの村が出来上がっていた。
「へい、エーアイ! 新設した第三騎士団がうまくいかないし、民衆も最近不満だらけだぞ! どうしてくれる!」
「分かりました。では【人心掌握】のスキル持ちを連れてきてください」
「出来たらしてる! 馬鹿!」
次回! 5話『へい、アレクス、お前の持つ力って何?(ルン視点)』は14時更新!
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